ちょっと聞いてよ 2023年8月7日

イオンはヨーグルトにケーキを躍らせる ~「ガトー・ソワイユ」を食べた

今年の6月ごろだろうか、近所のイオンのヨーグルトのコーナーで、結構なスペースを割いて茶色いカップの商品が並び出した。

ヨーグルトのパッケージが茶色のデザインとはめずらしい。それにひとつの商品をこんなに大展開するとはよほどの力の入れようだなと、よく見れば、あれ、これ2種類あるのか。

なんだかキャッチされてしまって、今日ついに買った。

東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

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> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

「なんか似てる」だけでおもしろがっていいのか

ものすごく変わってるとか、意外だとか、見たことがない新製品だとかそういうことではない。

デザートとして普通のパッケージだし、コンセプトがトリッキーなんてことでもない。

ほんのちょっとおもしろいな……と私がつい思ってしまったのは、なんだか似てるのだ。

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こんな感じでたくさん陳列されていると思ってください、同じものがやけにたくさん並んでいるな……と思うでしょう
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あっ! 微妙にちがう! というこの大したことない驚き

担当の方が、真剣に真摯に顧客のことを思って思って作った商品だろう。

そこを、ほんのすこしパッケージが似てて見分けがつきにくいだけで気軽に「なんか……おもしろいな……」と思ってしまうことについては後ろめたさもある。

けれど毎日通う店だけに、その可笑しみは日々重なってどんどん大きくなっていった。

そうなるともう両方いっぺんに買うしかない。

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ハーゲンダッツなんかもこんな感じのはずなのに、なんだか見分けがつかないなと思ってしまう

ヨーグルトにケーキを躍らせる

シリーズ名の「ガトー・ソワイユ」はフランス語で「絹のようなお菓子」。ヨーグルトだけど、デザートとして機能させようぞ、というコンセプトだそうだ。

朝ごはんについてくるヨーグルトとはちがう、おやつにデザートとして食べる、ケーキとかアイスとしてのヨーグルト、ということだと思う。

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ひとつ148円(税抜)だから気取った値段でもないのだけど、ご褒美としての主張がぐいぐい来るからついこちらもその気になる

フレーバーはバスクチーズケーキとアップルパイ。

つまりヨーグルトにケーキを躍らせる、そんな商品だ。

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これ(背景のケーキ)が、こうなった(手前のスプーン)

もちろんヨーグルトだからカロリーはケーキやアイスクリームに比べると低い。

おいしさだけではない、「ありがたみ」を研ぎ澄ませるとデザートはこうなるのだなと思わされる。

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カロリーはチーズケーキ風が110kcal、アップルパイ風が115kcal
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ちゃんとケーキの味がする

食べて見ると、ヨーグルトの種類としては、もったりして酸味の少ない、ギリシャヨーグルトのような水切り系のヨーグルトだ。

どちらもソースがたっぷり入っていて、しっかり混ぜて食べるようにと書いてある。

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蓋をあけるともったりしたテクスチャの重い部分がぺりぺりはがれておもしろい

バスクチーズケーキ風の方は、そもそもチーズとヨーグルトが近しい食べ物だから口にふくんでいきなりからもう違和感なく「あ、チーズケーキだ」と感じた。

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しっかりソースと混ぜて食べよとのこと

ふしぎなのはそこからで、混ぜたカラメルソースの焦げたような香ばしさから、バスクチーズケーキの焼いた感じがふわっと立ち上がってくる。

あ、なるほどそうやるのか! と、ちょっと手の内が分かるだけに、感心の味がする。

いっぽうアップルパイケーキ風はチーズケーキに比べると実装が難しいんじゃないか。と、思ったのはふたを開けたところで飛んだ。

かおりがアップルパイとして100点だ。

そうか、シナモンと煮リンゴのかおりでもって、ヨーグルトをアップルパイ側に持っていくんだな。

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白いみなもからアップルパイそのものがかおりから立ち上がってくる

舌にのせると、しっかり入った果肉にあわせて、なんだかちょとパイ生地のようなしゃりっとした食感がある。

砕いたパイ生地が入っているのかと思ったがそうではなく、ヨーグルトの中でも失われないサクサク食感を再現するため、細かく削って乾燥させたココナッツが入っているらしいのだ。

そんなことまでするのか……。確かにこれはかなりアップルパイかもしれない。

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りんごの果肉は視認できるのだけど、ココナッツはちゃんとは見えない

イオンなら牛丼もヨーグルトでいける 

人気があるケーキの中から、ヨーグルトでうまいこと味が再現できた、ということでバスクチーズケーキとアップルパイは選ばれたのだろう。

でもそうとは思いつつ、あまりの再現力に、イオンだったらもうなんでもヨーグルトにできちゃうんじゃないかと、可能性みたいなものも無責任に感じてしまった。

本気出せば牛丼味とか、もうぜんぜんヨーグルトでできちゃうんじゃないか。

そんなふうに考えるだけ考えて、でも牛丼ヨーグルトは売っていても買わないなと思った。

私も買わないし、誰も買わない、だから賢いイオンは作っていない。

そうか、これは秩序の話だったのだ。

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