フルーツポンチの思い出
フルーツポンチって、現象としては知っているがいまいちとらえどころがない。ネットで調べてみると、そもそもは「パンチ」というアルコール飲料に果物を加えた飲料をフルーツポンチというらしい。おまえ、パンチありきだったのか。
そういえば小学生のころ、フルーツポンチのレシピが「夏休みの友」に載っていたのを見て親に作ってもらったことがある。
近所のスーパーに買い出しに行って白玉を作るところからやってみたものの、できあがったものがマズい。粉を頑張ってこねて、こんなに色とりどりで、シュワシュワしてるのに、まずい。当時の僕は幼くてなにが起こったのかまったく理解できなかった。
いま思えば、甘いサイダーではなく無糖の炭酸水で作ったのが失敗の原因だったのだ。たしかレシピにはそうするように書いてあって、甘みは果物の缶詰のシロップでまかなえるとかなんとかだった。まかなえて、ねえじゃん。
発育上の配慮だったのかもしれないが、そのいびつな親切のせいで20年もマズかったことを引きずっているのだ。そのマズさ記憶の保存領域で有意義なことを覚えていれば、今頃は博士か大臣になれていたに違いない。
フルポンパ、やりましょう
フルポンパの話だった。そう、たこ焼きパーティーの要領で果物を持ち寄ってフルーツポンチにして食べるパーティをやるのだ。そんなの楽しいに決まっているだろう。
楽しいことは皆でやったほうがいいので職場の人に声をかけつつSNSでも告知したところ、僕のほかに4人の参加者が集まってくれた。あなたたちを親友、いや、フルポンヨウ(※)と呼んでいいですか。
※ポンヨウ=朋友(ほうゆう・友達の意味)の中国語読み。フルポンヨウはフルポンのポンヨウ、フルポンパだけの間柄であることを指す。
集まった具材は冷凍フルーツが多めで、それらはパッケージが華やかでとても楽しい。これがたこ焼きパーティだったら卓上に並ぶのはタコの足・キムチ・ネギなど、居酒屋のスピードメニューみたいなラインナップになっていることだろう。
具材がかぶるのも面白いだろうと思ってあえて相談せずに持ち寄りをしてみたら、なんとナタデココを持ってきた人が3人もいた。そこが被るのか…!!みんな表立って言わないだけでナタデココが好きだったんだ。なんだか嬉しい。
ちなみに白玉を手作りしてたのが僕を含め2名で、これはまあ予想していた通りである。しかし前日に仕込みをすると白玉が固くなってしまうことだけは先に伝えておこう。
フルポンパの醍醐味はスピード
たこ焼きパーティは時間がかかる。集合して具材を切るところからやる場合なんかだと、食べ始めるまでに30分以上はゆうにかかるだろう。しかしフルポンパは早い。圧倒的に早い。
全員が集まって準備が整うまで3分くらいだっただろうか。早すぎる。
そして昨今のフルポンシーンでは、サイダーにラムネ菓子を入れて噴射させるのがスタンダードだと聞いた。メントスコーラの善良なバリエーションとも言えるだろう。
とにかく今はそんなことになっているらしいので、主催者特権で僕がラムネを入れますね。
悔しいことにめちゃくちゃ面白い!サイダーが吹き上がるのが!
食べおわるのも早い
できあがったフルーツポンチをみんなでよそって食べる。同じ釜のポンチを食べた仲になろうじゃないか。
器も持ち寄りにすると、それぞれのフルーツポンチへの向き合い方がわかっていい。
冷凍フルーツたっぷりで冷えていて、真昼に28℃を記録した暑い一日の夕べにぴったりの清涼感だった。三ツ矢サイダーで作っているので甘さも申し分なし。いろんなフルーツが食べられて栄養価的にもすばらしい。
せっかくストローを用意したので、ずぞずぞと吸いながらフルーツポンチと向き合う。これは食べ物なのか、飲み物なのか。原義的には飲み物だから吸うのが正しいだろう、うん。大口のストローはブルーベリーを吸うのにちょうどよかった。喉に詰まらせないようにしないとな。
そんなふうにゆっくり味わいつつ顔をあげると、周りの人達はほとんど食べ終わっていた。いや、早くない?僕の器にはまだまだ残っている。次の瞬間にはもう片付けが始まっていた。とにかく早い。みなさん。フルーツポンチは徹頭徹尾早い食べ物のようです。
みんな喜んで食べてくれてよかったね。