今回のフライドポテトも追加し、比較表も500種類を超えた。好きなタイプのポテトがどこにあるか調べる手がかりにしていただけると幸いだ。(点は僕の理想に近いかどうかなので美味しいかどうかとは微妙に異なる)
お気に入りのポテトがあるか探してみて欲しい。
フライドポテトには太いものや細いものなど色々な種類がある。
以前、主に全国規模のチェーン店にどのようなフライドポテトがあるかまとめたので、今度は地方限定チェーン店のフライドポテトを調査すべく沖縄、静岡、函館へ向かった。
※編集部より
フライドポテト超ガチ勢の岡本さんのこれまでの活動まとめはこちらの記事でどうぞ!
フライドポテト、チェーン店別徹底比較
調査ポテトの怒涛の一覧は記事末尾にもついております。
「どのチェーン店にどのようなフライドポテトがあるか」
太さや味付け、ジャガイモの皮の有り無しなど人によって好みは様々だ。地方限定のチェーン店にはどのようなフライドポテトがあるか調べるため沖縄と静岡、函館へと行ってきた。
地方限定チェーン店のフライドポテトといえば、まず訪れなければならないのは沖縄だ。沖縄には独自の有名ファストフードチェーン店があるからだ。
コロナが落ち着きをみせた昨年12月、間隙を縫うように僕の住んでいる岡山から沖縄へと向かった。
チェーン店フライドポテトを食べるためだけに。
沖縄行き飛行機の出発は朝早だ。
岡山空港に到着するともう営業中のはずだが静まり返っている。静寂の中、遠くで誰かがキャリーケースを引きずる音のみが響く。まるでまだ夢の中ようだ。
飛行機での移動中、徐々にピントが合うように目が覚め、那覇空港に着くころには完全に覚醒していた。
この時すでに12月も中旬に差し掛かっていたが、飛行機から降りると空気は完全に南国だ。寒さで縮こまっていた体がふわーっとゆるむ。
少し歩くと暖かいを通り越してむしろ暑く、汗が噴き出す。沖縄の気候をあなどっていた。
なるべく日陰を歩き、今回の旅の目的地のひとつJef(ジェフ)へと到着した。
Jefは沖縄の有名ファストフードチェーンの一つで沖縄県内に4店舗展開している。まずはここのフライドポテトを食べてみる。
店内に入り、さっそくレジで注文を済ませると番号札を渡される。
席について待っている間、改めて周りを見渡す。コロナで遠出がままならない時期が長かったこともあり、やっと沖縄に来られたんだなと感慨深い。
そうしていると店員さんが届けてくれたのが、この沖縄らしさがつまったゴーヤーバーガー。
ハンバーグの代わりにゴーヤーの玉子とじが挟んであり、味はさっぱりあっさりしている。あまり味わったことがない不思議なバーガーだ。
そして肝心のJefのポテトは見た目はマクドナルドのポテトに似ている。靴紐のように細いことからシューストリング(=靴紐)カットと呼ばれるタイプだ。
食感はマクドナルドのポテトよりサクサク感がある。味はややあっさりしていて塩味もやや薄め。しかしケチャップがついてくるので調整が可能だ。
やはり現地で実際に食べないとこの美味しさは分からない。
そして朝から何も食べていなかったので、こちらのマッシュフライポテト(6ヶ入り)も追加注文した。
マッシュポテトを松ぼっくりのように成型して揚げた、いわゆるポムピンと呼ばれるタイプ。(ポムピンとはフランス語で松ぼっくりのこと)
表面はサクサクで、口の中に入れるとホロホロと崩れていく。中身はクリーミーでホクホク、ほんのりとした甘みも感じる。とっても美味しい。
ポムピンをフライドポテトに含むのは異論もあるかもしれないが揚げた芋には違いないはずだ。
店内ではJefのロゴ入りオリジナルTシャツが売られていたので、これ幸いと買って着替える。
これでずいぶん涼しくなった。
Tシャツに着替えると足取りも軽く、ずんずん歩く。街中に沖縄のピザチェーン、ピザパルコを見つけた。
ピザパルコとは沖縄県内に8店舗ある持ち帰り専門のピザチェーンだ。
ピザにはサイドメニューでフライドポテトは付き物だし、どこもレベルが高いのでぜひとも食べてみたかったのだ。
受け取った袋を開けると、ガーリックの香りがガツンとくる。切り口は波型で皮が着いているカットだ。食べると表面はパリパリとしている。
かなりスパイシーで鼻を胡椒の風味が抜けていく、胡椒の辛みがあとからあとから効いてくる。やはり想像通りかなりうまい。
沖縄の観光地を一通り回り、晩ご飯に訪れたのがハンバーガーチェーンのA&Wだ。
A&Wもまた日本国内において沖縄にしかない地方限定チェーンである。
A&Wはもともとはアメリカで誕生したチェーン店で、1963年にアメリカ統治下だった沖縄にオープンする。それが日本初のハンバーガー店とされる。(沖縄の返還が1972年なので、1970年オープンのドムドムバーガーを日本初とする説もある)
ちなみにマクドナルド国内1号店がオープンするのは1971年のことだ。
そんな長い歴史を持ちつつ今なお人気なので、あえて晩ご飯として食べにきた。
その目論見通り昼は混雑する店内も空いていて、学生さんが2組いるのみだ。
しばらくすると運ばれてきたのは店名を冠するA&Wバーガーだ。フラッグシップバーガーである。
全ての食材が絶妙なバランスで引き立てあっている。今まで食べたハンバーガーの中でも断トツでうまい。
そして、A&Wには何種類かフライドポテトのメニューがあるが、一番美味しいと聞いていたのがこのカーリフライだった。
名前の通り、くるくるとしたカーリーカットで衣付きの皮付き。とてもスパイシーな香りだが思ったほどは辛くはない。写真に写っている三日月形と、奥から出てきた長くてばねの様にくるくると巻いているカットとで食感がずいぶん異なる。
三日月形ほぼカリサク感で中味のホクホク感はわずか。バネの様なくるくるは表面のカリカリ感より中のホクトロ感が強い。三日月の中でももっと細かい切れ端はポリポリとしていて、どれも違ってどれも良い。
これは掛け値なく美味しい。沖縄まできた甲斐があったというものだ。
そしてポテトにベストマッチするA&Wの代名詞ともいえるこのルートビアだ。
ビアという名前だがビールではない。ハッカのようなスースーとした味のコーラのような飲み物。僕が今まで飲んだ最も近い飲み物はドクターペッパーかな。ポテトをルートビアで流し込むのは至高の瞬間だ。
そして、なんとこのルートビアはおかわり自由でもある。
ただ、店員さんは忙しそうだし、僕はA&Wのライバル(?)チェーンであるJefのTシャツを着ている。鋼の精神をもって恐る恐るお願いするが快くおかわりを頂けた。ただし2杯飲めばお腹がいっぱいだ。
大満足のうちに退店しようとすると、出入り口にはこのようなベルが置かれていた。
めちゃくちゃ大満足したので気持ちとしてはベルを鳴らしたいところだが、店内中の注目を浴びてしまうのはこれまた鋼の精神が必要だ。心のベルを鳴らすのみにとどめておいた。
那覇の市街地にはガジュマルの樹がいたるところに立っている。
ガジュマルの大木にはキジムナーという妖怪が住むと言われており、首里周辺の言い伝えでは芋をあげると友達になれるとも言われる。
フライドポテトの場合はどうなんだろうという疑問を抱きつつ、沖縄でのフライドポテト調査は終えた。
沖縄でのフライドポテト調査から2週間も経たないうちに、今度は静岡へ向かう事になった。
というのも、静岡には学生時代の友人が10年以上住んでいて「コロナが落ち着いたらいつでも遊びにおいで」と言ってくれていたが、その友人が急遽、1月から大阪に転勤が決まったと言うのだ。その前にいかねばならなくなった。
今回の移動には青春18きっぷを使用する。
青春18きっぷはJRの在来線が乗り放題で、安くて移動の自由度が高い青春18きっぷはフライドポテトの食べ歩きにうってつけだ。
そして兵庫県の姫路駅まで行けば新快速に乗る事ができ、一気に距離を稼ぐことができる。新快速は青春18きっぷ旅行者の強い味方だ。
そんな新快速をもってしても静岡県に入るころには夕方になっていた。
飛行機や新幹線のような移動も楽しいが、在来線の移動はその土地の人たちが乗ったり降りたりするのを見られるのが生活を感じられて楽しい。
ただし長時間座っているとお尻がものすごく痛くなるので覚悟が必要だ。
静岡駅に着くころにはすっかり夜になっていた。
静岡県の東西の長さを肌で…尻で感じることができた。
静岡に着いてまず最初に訪れたチェーン店は五味八珍。静岡県を中心に展開している中華料理チェーンである。
この日はほとんど移動で食事をとることができず、つけ麺と浜松餃子のセットを頼んだ。
浜松餃子はモヤシが添えられていて、ジューシーで濃厚な餃子にさっぱりとしたモヤシがよく合う。
そして、もちろん五味八珍にもフライドポテトがある。
運ばれてきたフライドポテトはさっくさくでポリポリだ。皮と衣も付いていて味がとても濃い。ややしょっぱいほどだがこれくらいが好きな人も多いはず。太さはマクドナルドくらいだ。
翌日は友人と合流して静岡県内を案内してもらうことに。
静岡のご当地チェーンとして有名な…というかご当地チェーンの代表格とも言える「さわやか」にも連れて行ってもらう。
自分の中でめちゃくちゃハードルが上がっていたのにもかかわらず美味しい。
また、牛肉とフライドポテトは最強の組み合わせであり、多くのハンバーグレストランにはサイドメニューにフライドポテトがある。さわやかも例外ではない。
さわやかのフライドポテトは表面がものすごくポリポリだ。うすーいポテトチップスをはりつけたよう。中身はトロトロで粉っぽくポテトの風味がしっかりしている。ガーリックっぽい味とハーブの風味も感じられる。塩味はややはっきりしてごはんのお供になりそうなほどだ。
さわやかはフライドポテトも期待を裏切らない。
夜にはお弁当のどんどんへも行く。
静岡県を中心に東京から愛知県まで店舗があるお弁当チェーンだ。
お弁当どんどんのポテトは粉っぽさが際立つ。皮付きで表面部分は極めて薄いほくほくなポテトだ。おしぼりも付いてくる。
こうして静岡のチェーン店フライドポテト巡りを終了した。
天気予報を見てなんとなく嫌な予感はしていたのだが…。
翌日、大雪が降って名古屋あたりから帰れなくなってしまう。青春18きっぷをもってしても電車が運行していなければどこへも行くことが出来ないのだ。
待っていれば運行が再開されるのか、それとも迂回すべきか悩んだ挙句、大きく迂回してなんとか帰る事ができた。(その日のうちに運行は再開されなかった)
静岡で見上げた富士山を半年後に見下ろす。
静岡へ行ってから6ヶ月後、この5月には僕は函館へと向かっていた。もちろんフライドポテトを食べるために。
岡山空港からは札幌へは直行便があるが、岡山空港から函館空港へは羽田空港で乗換えが必要になる。百億回使い回されたあの名フレーズを歌いたくなるほどに函館は遠い。
到着した函館空港から歩いて函館市街地へと向かう途中、小樽なると屋の看板が目についた。
小樽なると屋は鶏の唐揚げが有名な北海道のご当地チェーンだ。そしてメニューにフライドポテトがある。
注文したざんぎ定食には大きく口を開けても収まりきらないほどの大きさのざんぎが5つ。から揚げよりも味がしっかりついていてご飯がすすむ。
そして肝心のポテトは、メーターが振り切れるほどほくほくだが、断面はジャガイモのはずなのにアップルパイかと思うほどにツヤツヤでジューシー。食べるとほわっとジャガイモの風味が口の中に広がる。
この旅で最初に食べた北海道のフライドポテトは、驚くくらいレベルが高い。これが北海道の実力か。
つづいて函館で訪れたのがラッキーピエロだ。 ローカルハンバーガーチェーンといえば必ず名前が挙がるほどの有名チェーン店で、今回はラッキーピエロのために函館に来た。
建物の外観はサーカスのように楽しげだ。
一番人気のチャイニーズチキンバーガーを注文する。ラッキーピエロでは注文を受けてから調理するこだわりで、その分時間がかかるが出来立てを食べられる。
チャイニーズチキンバーガーは、甘辛いソースにからめた鶏から揚げをはさんだバーガーで、そのボリュームは圧巻だ。とってもかあ揚げはとってもジューシー。
そしてフライドポテトはこちら。袋にはピエロのロゴがプリントされている。
袋の中身にはちょっと太めのカットで、こんがり揚がっており表面にはさくさく感、中身はなめらかな粉感がある。ジャガイモの味が濃く、塩味もちょうど良い。とっても美味しい。
そしてそのフライドポテトにクレービーソースとチーズがかかったラキポテというメニュもある。これも間違いの無いうまさだ。
実は、フライドポテトは実際に現地へ足を運ぶと売り切れていることがやたらと多い。
わざわざ長距離を移動して売り切れの憂き目にあうと目も当てられないが、今回の旅行先では奇跡的に目標としていたフライドポテトはほぼすべて食べることができた。
幸運で充実したフライドポテト旅だ。しかしフライドポテト調査もだんだんと惰性になっている気がする。
今回のフライドポテトも追加し、比較表も500種類を超えた。好きなタイプのポテトがどこにあるか調べる手がかりにしていただけると幸いだ。(点は僕の理想に近いかどうかなので美味しいかどうかとは微妙に異なる)
お気に入りのポテトがあるか探してみて欲しい。
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