特集 2024年5月22日

大きな鏡を運ぶと宙に浮くという話は本当か

むかし読んだまんがで姿見を運ぶと宙に浮いてるように感じるというお話があった。

ずっとそれが気になっていた。本当だろうか?

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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宙に浮くとは

これがそのまんがである。25年前だった。

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中崎タツヤ「じみへん 6」p.27 小学館 1999 より引用

姿見を2人で運ぶシーンだと記憶していたがちょっと違った。ただ「こえ~」は合っている。新しいことは何ひとつ憶えないが、若い頃に読んだまんがのセリフはくっきり憶えている。

本当に怖いのだろうか。足元が見えないから?

足元を見せないためには姿見よりも幅広の鏡のようがほうが良さそうだ。

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幅広の鏡を買いました!

ぴったりの鏡があった。姿見よりも幅が広くて足元が見えない。べつやくさんが個展開催中のギャラリーに持ち込んで試させてもらうことにした。身近な広い場所がそこしかないからだ。
ギャラリーオーナーの大図さんにもう片方を持ってもらう。

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なんかベコベコだね。

歪んでいるから、宙に浮くとかそういう話ではないかもしれない。ガラスの鏡は高いし重いのでアクリルの薄いものを買ったのだ。安物買いのぜ…という言葉を飲み込んだ。

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改めて段ボールの板の上に鏡を乗せて試してみる

同じ場所で回転したり動いてみる。鏡には天井が写っているが宙に浮いているような感覚にはならない。自分の鼻の穴が見える。

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「屋内じゃないのかもしれないですよ」
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「夜だからだめなのかな」
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天井の梁(はり)の下を通ると浮く

このあともべつやくさんに持ってもらったり、ギャラリーの中を鏡を持って動き回ってみた。そして時は訪れた。

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この通路を通ったときに違和感があることに気づいた。
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あれじゃない?
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天井に大きな梁(はり)がある

この梁の下を通るときに不安な気持ちになるのだ。

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そーっと下を通ると……
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怖い!浮いてる!!!

鏡に集中して梁の下を通過すると浮くのだ。

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硬い鏡で試す

やっぱり鏡の歪みが気になるのでギャラリーにあった姿見で試してみることにした。

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キャスターがついているので移動しやすい

鏡を地面に平行にして梁の下を通ってみる。鏡に映っている視界に集中して進むと

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きた!怖いの来たぞ。

梁の下をこえるとき、足を出すのが怖い。

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大図さんも戸惑っている
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どういうことなのか

これが梁の下で鏡を持っているときの視界である。

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鏡に天井と梁が映ってますね

この梁が実際の床の高さと同じに感じるのだ。

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このときは梁の上に立っているように感じる

だた、梁のむこうは天井が高い。

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大図さんがお札を天井に貼ろうとしてますが、それは忘れて梁の向こうは天井が高くなっていることを憶えてください

梁の向こうは天井が高い、それは鏡に映すと逆になる。

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高い天井は鏡に映すと凹んで見える

このまま鏡を持って前に進むと、天井が高いエリアに入る。つまり、床がへこんでいるように感じるのだ。だから浮いているように感じる。

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梁の下で鏡を持っている状態。鏡に映ったみせかけの床と実際の床が偶然合っている
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このまま進むと、実際の床よりも、鏡に映った見せかけの床が低くなる=浮く

たぶんこういうことである。

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鏡に映った梁と実際の床が合っている

梁にお札が貼り付けてあるのはなんとか床に見せかけようとした苦労の跡です。

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浮いてる~

浮いた

天井が凸凹していること、鏡越しに見る世界に没入するための時間が必要だが、浮いて見える瞬間はある。

もっと小さい鏡をあごあたりに固定してもできるかもしれない。
やってみよう。

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この歪んだ鏡の使い道はこれからの課題

名作

じみへん 6 (スピリッツじみコミックス)

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場所協力:
TOKYO PiXEL. shop & gallery
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ちょっと映り込んでる素敵なイラストはヒダカナオトさん個展「うたうたう森」です。こちらも5月26日まで開催中。

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