浮いた
天井が凸凹していること、鏡越しに見る世界に没入するための時間が必要だが、浮いて見える瞬間はある。
もっと小さい鏡をあごあたりに固定してもできるかもしれない。
やってみよう。

むかし読んだまんがで姿見を運ぶと宙に浮いてるように感じるというお話があった。
ずっとそれが気になっていた。本当だろうか?
これがそのまんがである。25年前だった。
姿見を2人で運ぶシーンだと記憶していたがちょっと違った。ただ「こえ~」は合っている。新しいことは何ひとつ憶えないが、若い頃に読んだまんがのセリフはくっきり憶えている。
本当に怖いのだろうか。足元が見えないから?
足元を見せないためには姿見よりも幅広の鏡のようがほうが良さそうだ。
ぴったりの鏡があった。姿見よりも幅が広くて足元が見えない。べつやくさんが個展開催中のギャラリーに持ち込んで試させてもらうことにした。身近な広い場所がそこしかないからだ。
ギャラリーオーナーの大図さんにもう片方を持ってもらう。
歪んでいるから、宙に浮くとかそういう話ではないかもしれない。ガラスの鏡は高いし重いのでアクリルの薄いものを買ったのだ。安物買いのぜ…という言葉を飲み込んだ。
同じ場所で回転したり動いてみる。鏡には天井が写っているが宙に浮いているような感覚にはならない。自分の鼻の穴が見える。
このあともべつやくさんに持ってもらったり、ギャラリーの中を鏡を持って動き回ってみた。そして時は訪れた。
この梁の下を通るときに不安な気持ちになるのだ。
鏡に集中して梁の下を通過すると浮くのだ。
やっぱり鏡の歪みが気になるのでギャラリーにあった姿見で試してみることにした。
鏡を地面に平行にして梁の下を通ってみる。鏡に映っている視界に集中して進むと
梁の下をこえるとき、足を出すのが怖い。
これが梁の下で鏡を持っているときの視界である。
この梁が実際の床の高さと同じに感じるのだ。
だた、梁のむこうは天井が高い。
梁の向こうは天井が高い、それは鏡に映すと逆になる。
このまま鏡を持って前に進むと、天井が高いエリアに入る。つまり、床がへこんでいるように感じるのだ。だから浮いているように感じる。
たぶんこういうことである。
梁にお札が貼り付けてあるのはなんとか床に見せかけようとした苦労の跡です。
天井が凸凹していること、鏡越しに見る世界に没入するための時間が必要だが、浮いて見える瞬間はある。
もっと小さい鏡をあごあたりに固定してもできるかもしれない。
やってみよう。
名作
※このリンクからお買い物していただくとアフィリエイト収益が運営費の支えになります!
ここから
会員特典コンテンツです
この先は「デイリーポータルZをはげます会」会員向けの有料コンテンツです。会員になるとごらんいただけます。
![]() |
||
▽デイリーポータルZトップへ | ||
![]() |
||
![]() |
▲デイリーポータルZトップへ | ![]() |