「スノーモービルは壊れたらおしまいだ。その点犬ぞりは違う」
探検家でもあり写真家でもある石川直樹さんが、極地での撮影について言っていた言葉だ。
僕もフィルムカメラが好きで今でも使っているので、石川さんの言っていることはなんとなく理解できる。そうなのだ、こういう生き物に対する情みたいな信頼感がフィルムにはある。
今回はこのフィルムに対する感覚的な信頼の部分を確かめてみたいと思う。
検証の地、それは富士
でもそもそも極地で撮影する機会なんてほとんどないわけだけれど、折良く富士スピードウェイでの自転車レースに参加したのでここで試してみることにした。
さすが富士山の麓。夜明け前はまさに極寒だ。吹く風が肌に痛い。
今回はこの環境の中、フィルムカメラとデジタルカメラ、どちらが使いやすいかを比べてみたい。個人的な思い入れからフィルムをひいきしたいところだけれど、ここはひとつ冷静に評価してみよう。
ではさっそく夜明け前の外の景色を撮影してみる。
いきなり顕著になる差
寒い中、手袋を外さないとフィルムを装てんできないフィルムカメラはこの時点でかなり不利だ。
というのは事前に予想していたのだけれど、デジタルカメラの電源を入れるスイッチも小さくて結局手袋を外さなきゃ押せなかった。これは行ってみて初めてわかったことだ。
先日、冬山に登っている友人が、山頂からUST中継をしようとして少しの間グローブを外していたら凍傷になったと言っていた。ここよりももっとすごい環境では、このちょっとが命取りになるということだ。
※今回の記事では、フィルムで撮った写真にはわかりやすいよう、枠をつけています。
今のところ「どっちで撮るのもたいへんだ」が正直な感想である。寒いときにはグローブ外したくないし、第一カメラ自体が冷たいから触りたくないのだ。
それでも検証は続く。はたして最後に選ばれるのはデジタルだろうかフィルムだろうか。