デジタルリマスター 2024年4月8日

フィルムかデジタルか、それが問題だ(デジタルリマスター)

食べ物を撮るにはデジタル

ここで少し富士スピードウェイでのレースの話もさせてください。このレースはママチャリでF1のコースを7時間走ってその周回数を競う戦いで、僕たちのチームは今回3回目の出場となる(過去の様子)。

3年目ともなると楽しみ方もずいぶんわかってきた。

本当に楽しむべくはレース中よりもむしろ休憩時間の自炊にある(もちろん本気のチームは走りに集中していますよ、きっと)。我らがチームもこの自炊のレベルが年々上がってきていて、今年は煮込みハンバーグから始まり、から揚げ、おしるこ、うまい肉の煮込みなどなど、7時間以上にわたるレース中、常にうまいものが用意されていた。

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この寒さの中で食べるおしるこってすごいうまいぞ。2万でも買う(それは言いすぎ)。

ところでうまいものを撮るにはフィルムとデジタル、どっちが向いているのだろう。

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フィルムで撮ったうまいもの。煮込みハンバーグ。でも遠くて見えない。
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デジカメで撮った同じく煮込みハンバーグ。この寒さの中でこのハンバーグは地獄に咲いた一輪の花のようである。その比喩もどうかと思うが、そのくらい生命力にあふれて見える、ということです。

これは僕のカメラの問題でもあるのだけれど、フィルムカメラは概して撮りたい物に近づけない。

このカメラだと70センチが最短なのだ。70センチというと、片手で料理を最大に遠ざけながら撮ってぎりぎりの距離。これは料理撮りにはかなりつらい。

対してデジカメならばものによってはボタン一つで1センチとかまで寄れる。これはフィルムを経験してる人にとっては感動的だ。

というわけで、料理をスナップ的に撮るなら断然デジカメが有利ということですよ。

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真ん中にあるメンバーノートが撮りたかったんだけど、寄るのはこれが限界だった(フィルムカメラにて)。
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やっぱりこういうメモ的な使い方にはデジタルですね。

デジカメはメモ代わりに撮影したりするが、フィルムだとそれはまずない。36枚しか撮れないので一枚を無駄に出来ないっていう気持ちになるし、そもそも撮ってすぐ見られないのでメモとして使えないのだ。むー。

代わりに、といっちゃなんだけれど、フィルムのいい点も見つけたので報告させてください。

フィルムカメラは電源を入れる必要がないので、フィルムを巻いてスタンバイしておけばあとはシャッターボタンを押すだけで撮影できる。つまりとっさのシャッターチャンスに強いのだ。

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救急車が迫って来たのでとりあえずシャッターを押してみた(フィルム)。
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こちらはアバターっぽい人たちが近づいてきたので怖かったがシャッターを押した(フィルム)。デジタルだとこの瞬間は撮れなかったはずだ。
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友人のピース。デジカメだと「撮るよ」って言って友人がピースして、それから電源を入れてカメラがピント合わせに手こずって。その間にたいていの人はテンションが下がってピースの手を片方下ろすだろう。そう考えるとフィルムならではの写真といえる。

ほんの数秒の差なのだけれど、シャッターを押した瞬間に撮れるというのは写真を撮る時にはかなりうれしい。

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でもやっぱり36枚しか撮れないのはつらい。今回の取材ではフィルム3本使ったが、それでも100枚くらいしか撮れてない。デジカメだと1000枚以上撮れる。

デジカメはでかい容量のメモリを入れておけばほとんど枚数を気にすることなく写真を撮ることができるのだけれど、フィルムカメラはどんなにがんばっても36枚でフィルム交換をしなくてはいけない定めだ。

普通に暮らしながら写真を撮っている分にはフィルム交換なんてたいした手間ではないのだけれど、今回みたいな寒い場所だといちいち手袋を外すのがとにかく辛い。

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あとデジカメは、人にシャッターをお願いしやすい。フィルムカメラだと頼む人を選んでしまう(押してもらうだけでいいんだけれど、戸惑う人が多いので)。

誰かにシャッターをお願いする場合は、今の時代だんぜんデジカメだと思う。

すでにファインダーを覗いて撮る、というスタイルを忘れている人だっているんじゃないか。でも腕を伸ばしてモニターを見ながら撮るのって、なんだかよそよそしい(カメラに対して)気がしませんか。

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