30年前、巣鴨に住んでたときに食べに行ったことがある
1996年に鳥取から上京したとき、まず最初に巣鴨の新聞奨学生の寮に住んだのだが、そこで同じく新聞を配っていた友人に「近くに餃子屋があるから食べに行こう」とさそわれて「ファイト餃子」という餃子を食べに行ったことがあった。
当時の写真が全く無いので、2004年ごろの巣鴨をどうぞ。「おばあちゃんの原宿」の名の通り、高齢者が集う町のイメージがあり、実際そうだけれども、僕にとっては20代前半の貴重な時間を過ごした町……
一般的な餃子とは違い、俵型(?)のかなりボリュームのある形で、なるほど東京の餃子とはこんな形なのか、と思った記憶がある。まもなく、東京の餃子の形がそうではなく、その店独特の形だったんだということを知るわけだけど。
その後、巣鴨から引っ越して東京ぐらしが長くなるにつれて、同じような俵型の餃子を出すホワイト餃子なるものもあるらしいことを知るに至るけれども、ながらく忘れていた。
元号もかわったし、ファイト餃子に行くか
本当に、ふと「そういえば巣鴨に「ファイト餃子」という店があったな……」と思い出し、今でもあるのかどうか気になったので行ってみることにした。
グーグルマップで場所を調べ、ナビアプリに住所を打ち込み巣鴨に向かう。
今日は月曜日の祝日である。
グーグルマップに書いてある営業日では月曜定休と書いてあるものの、もしかしたら図書館や博物館みたいな感じで、定休日が祝日の場合は営業します……みたいな可能性もあるぞとわずかな希望をたく……閉まってました。
はい、閉まってました
グーグルマップの店舗情報はいい加減なのであまり信用してないんだけど、こういうときは正確なんですよね。信用しても信用しなくても裏切られるグーグルマップの情報。
店休日の条件がいろいろあった。土日祝祭日でも営業はしているものの、本来の定休日と重なった祝祭日は定休日が優先される設定になっている
ファイト餃子は食べられませんでした!
……で、終わるわけにもいかないので、ファイト餃子ではなく、亀有にあるホワイト餃子を食べに行くことに。ということで、一路亀有に向かう。
途中で見かけた、豊島区に無いのに豊島を名乗るで有名な(北区豊島にあるから・本来豊島はこちらが発祥)豊島団地がバカでかくてかっこよかった〜
やってきましたホワイト餃子。「KAMEARI」がかっこいい
このホワイト餃子。常磐線の電車に乗ってると見える(はず)ので、ご存じの方も多いかもしれない。
巣鴨のファイト餃子と違って、ファミリーレストランのような店舗で、駐車場もある。すでに地元の人と思しき方が並んで待っていたのだが、15分ほど待ったら入れた。
店内で食べられるホワイト餃子のメニューは、餃子だけだ。その餃子を、焼くか、茹でるかの食べ方しかない。餃子と真摯に向き合うタイプのラインナップだ。
9月に行った時の値段です
しかも、ここの餃子は焼き方がすこし特殊らしく、後からの追加注文ができない。つまり最初に注文した量しか食べられない。かなり緊張するところだが、普通の人は1人前8個で十分だろう。ということで、同行者の分と合わせて、16個を頼む。
ホワイト餃子、これです
あっ、熱い!
熱いけど、うまい!
揚げパンか、と思うほどカリカリに焼けた肉厚の皮が原因なのかどうかわからないけれど、中身がめちゃくちゃ熱い。口にほおばると、熱々の肉汁が飛び出してきて、めちゃくちゃ熱かったので、冷たい飲み物で流し込んだけれど、上顎をやけどしてしまった。
ホワイト餃子は、ご飯のおかずとしてしっかり美味しいというのはあるけれど、これだけ皮がしっかり厚ければ、ライスは無くても餃子だけ十分にいける。
餃子自体にわりと味が付いているので、薄味好みのひとならばタレを付けなくてもいけるかもしれない。(でもぼくはタレを付けました)
一人前8個(とライス)で、ほんとうにきっちりお腹いっぱいになってしまった。
くった〜(仕上がり予想図、おいなりさんにしか見えない)
焼餃子、生餃子のテイクアウトも行っているので、生餃子を持ち帰って家で自分で焼いてみようかと思ったけれど、注文がちゃんと伝わっておらず、焼餃子をテイクアウトしてしまった。
テイクアウトの焼餃子、しなしなだったけど美味かったです
テイクアウトは残念ながらカリカリでは無くなってしまったのだが、とはいえ、肉饅頭ぐらいの感覚で美味しく食べられた。ホワイト餃子の生餃子は家で焼くのが大変難しいらしいので、これはこれで良かったかもしれない。
改めてファイト餃子に行く
いやー、うまい餃子も食ったし満足満足……。で、終わるわけにはいかない。数日後、今度はちゃんと土曜日の早い時間に、巣鴨に向かった。
こんどはちゃんと開店してました
朝早めに行ったつもりだったけれど、すでに行列ができていた。僕が30年前に行ったときは行列ができるほどではなかった気もする。
というか、僕が30年前に行ったファイト餃子はここではなく、荒川線の庚申塚駅の近くにあった。2016年ごろに店舗はこちらに移転している。ストリートビューで見たところ、昔店舗があったところは駐車場になっているようだ。
昔、ファイト餃子の店舗があったすぐ近くのコモディイイダ(スーパー)に、同僚の新聞奨学生が、寮の管理人だった新聞拡張団に隠れてこっそりバイトを始めたことがあった。
ぼくらも、おもしろがってわざと買い物に行ったりしていたけれど、ある日、その同僚が拡張団の人に尾行されてバイトが見つかり、なぜか全員が大目玉をくらったことがあった……。
という、餃子に1ミリも関係ない思い出話を、待っている間、同行してくれた妻に話す。
写真ではけっこう並んでいるように見えるけれど、20分ほど待つと中に入れた。
意外とすぐ入れた
休みの日は、昼過ぎぐらいには準備した餃子が全て売り切れて店じまいしてしまうらしい。写真を撮り忘れたが、価格は亀有のホワイト餃子とそんなに変わらず、餃子8個で600円、8個の定食で900円となっている。(取材当時)
はい、ファイト餃子これです
ホワイト餃子と同じ、俵型のボリュームある餃子。これですよ。ファイト餃子。
すみません、一口で行くと熱いので噛みちぎってます
うめー
皮のカリッとしたあとのモチッとした食感などは、亀有のホワイト餃子とほぼ同じではあるけれど、ファイト餃子の方がちょっとあっさりしている気がする……が、どうだろう。うまいことに変わりはないが。
巣鴨店は、他の店舗と違って、餃子以外の料理としてチャーハンが存在している。セットのライスをチャーハンに変更してもらった。
ファイト餃子のチャーハン。こんなシンプルなのなかなかない
具が玉子以外は入っていないシンプルなチャーハンだか、これは餃子の味を引き立てるためあえてのことだと思う。味も出しゃばったところがなく、しっかりとした味付けで、餃子と合わせて食べるとちょうどいい濃さのチャーハンだ。
8個で十分なんですよ。もう年寄りなんで
一人前8個という量はかなり絶妙で、もはや還暦まであと10年と迫った老体にはそれでもちょっと多いかなぐらいの量だった。
ホワイトとファイトっていったいなんなの?
さて、ファイト、ホワイト。この餃子の前提をまったく説明しないままここまできてしまったので、説明したい。
まず、このタイプの餃子の大元は千葉県の野田にあるホワイト餃子だ。ホワイトというのは創業者が中国で白(パイ)さんから餃子の作り方を習ったので、ホワイトとなったらしい。
野田にあるホワイト餃子の支店などはそのまま「ホワイト餃子」を名乗り、関東地方を中心に東北、中部、九州などにも店舗がいくつもあるのだが、そのすべてが必ずしも「ホワイト餃子」と名乗っているというわけでもない。あと「技術連鎖店」というのれん分けのような制度もあるらしく、まったく店名が違う店もあるようだ。
巣鴨のファイト餃子は、店名をパクったジェネリック店舗とかではなく、ちゃんとホワイト餃子の系列店であるので、安心して欲しい。
編集部からのみどころを読む
編集部からのみどころ
思い出話から始まって味わいある記事でした。若い頃の話から始まって最後「還暦まであと10年と迫った老体」に至るのも人生を感じますね…。餃子とともに歩んだ人生、みたいな感慨がありました。実際には最近思紙出すまですっかり忘れてたわけですが。
それにしてもおいしそうでした。こんど近く通ったら絶対行く!(石川)