デジタルリマスター 2024年1月26日

ポストに入ってくる羨ましいチラシ(デジタルリマスター)

読むと、ああ、うらやましいなあと思わずにはいられないチラシが毎日のように投函される。

まいにち来るからいよいよ「そんなに自慢しなくたっていいじゃないのさ」という気持ちにもなってきた。

何かというと、不動産の売却物件募集のチラシだ。

2010年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:無印良品はカレーの店だしIKEAはジッパーバッグの店だという、店との関係性の築き方

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

1日3枚以上のペースでくるチラシ

実家の埼玉の山奥ではそれほどお目にかからなかったから都心部でのみ、よくあることなのかもしれない(どうだろう)。

私の住む家は東京の都心に近いところにあり、これがやたらに不動産に関するチラシのポスティングが多い。

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ほんの1週間くらいためてみたら、もうこんなに

1週間ほどためこんで、数えてみたら全部で25枚あった。なんと、多い多いとは思っていたが1日3枚~4枚きてるのか。

そして、その全てが「売却不動産募集」のチラシなのである。「売ります」じゃなくて、「買います」の方だ。

発行している不動産会社もさまざま。にもかかわらず、内容はどこもみんな

「探しています 売却不動産」
「求む! 売却不動産」
「売却に絶対の自信!」

と、一様に売ってくれ売ってくれだ。世間の不動産の動向に疎くどうしてこんなことになっているのは恥ずかしながら分からないのだが、とにかく売ってくれ売ってくれとせがんでくる。

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とにかく求む求むの一点張り
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「私は1億8千万円持っています」

そして、この物件募集のチラシに羨ましさがつまっているのだ。

というのも、こういった売却不動産募集のチラシには具体的に「こういうお客さんが、こんな家や土地を売って欲しがってます」という理由が書いてあり、そのどれもがやたらに羽振りがいいんである。

たとえば、こういった具合だ。

○○区在住のA様が土地を探してらっしゃいます

現住所が手狭になったため、住み慣れた地域でお買い替えをご検討中です。

閑静な住環境広がる○○周辺地域で、日当たりの良い一戸建てをお探しです。

なるべく早めに購入先を決定されたいとお考えです。

ご希望:土地70坪前後 間取り 5LDK
ご予算: ご予算 1億8,000万円

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このような「欲しい物件とその理由」が4~6件書いてある
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いやあなた、そんなこといわれても

家に帰ってきたらいきなり手紙で1億8千万出すから日当たりのいい土地70坪前後、間取り 5LDKの家を売ってくれないかと頼まれるのだ。

1億8千万円は超欲しい! が、残念ながら70坪もの土地は持ってない。

どうすることもできず、胸に湧きあがるのはただ「いい条件で邸宅をお求めですなあ」という羨望の思いだけなのだった。

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こちらは大学教授が即金で1億5千万用意できるとのこと。おおー
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次男ご家族、いいなあ
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嘘でもぜんぜんかまわない

こういったチラシに載っている「買いたい詳細な理由」は、だいたい本当ではないという話も聞いた。

物件を任せてくれればすぐに売れますよ、というそのアピール用のコピーだというのだ。うむ、なんとなくそうだろうなと想像はつく。

とはいえ、架空の話にしろ読み手として羨ましい思いを味わわせてもらえるのには変わりない。

羨ましい上に、どこかいい話風の内容もある。

田舎のお母様を呼び寄せる為、現在お住まいの○○周辺で高齢者対応の一戸建て若しくは40坪~50坪の土地を探しております。

今の住まいが好条件で売れた為、予算を上げて探しております。

総予算:1億5,000万円前後

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田舎のお母さんが喜ぶ土地やお家が見つかるといいなあ
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定番のパターン

しばらく読み込んでいるうちに、羨ましい話のパターンもおおまかに見えてきた。 

・海外転勤から戻ってくる
・レストランや病院等を開業する

そんな派手めの理由が多いが、上で紹介したように、

・両親と同居するため
・家族の通院に便利な場所を
・子どもがうまれて手狭になるため

と、どこかエモーショナルな理由も目立つ。

こちらのご家庭は「第2子をご出産を機に」住み替えるらしい。

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詳細なお勤め先にこちらの羨ましさの解像度も上がる

我が家ももうすぐ第2子が生まれようとしているが、この優雅の差はなんだ。いつか地域の子ども会で出会ったりしたらぜひ遊びに行かせてもらいたい。

ドラマの登場人物の自宅をみて「片付いておしゃれないい家だなあ」なんて思うことは多い。

そんなエンタメ感覚を、ポスティングチラシで感じているのがこの状況なのかもしれない。ありがたいといえばありがたいはなしだ。


ちょっとした読み物になってます

紙が好きで、不要なポスティングチラシも気づくとしっかり目を通していたりする。

うちのポストにはこのほか引越し、不用品処分、美容院、整体などのチラシがよく投函されるが、この売却不動産募集のチラシが一番好きだ。

いきなり知らない人の、しかも豪華な人生が書いてあるのだ。今後はどうなっていくだろう。物件の価格もどんどん上がるんだろうか。

2024/01 デジタルリマスター化にあたり追記
2010年初出時に暮らしていた家と同じ地域にいまも住んでいるが、いつからかこの手のチラシはまったくこなくなった。まったく、だ。
ぼんやりして、いつなくなったか観察できていなかったのが悔しい。富豪たちはどこへいったのだろう。

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ちなみに売却募集の裏面は90%以上のチラシが「ポスティングスタッフ募集」。まだまだ配る気まんまん

 

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