角度にどきどき!
秋の気配を感じるこの週末、まる2日間角度を測り続けた。
測らなくても角度の目安がつくようになった。またずいぶん余計なスキルをいまさら身につけたものである。しかも2日で。あれは60度かな、と思って測ると60度ぴったりだったりして小さくガッツポーズ。
楽しいことはぽっかりと存在するのではなく、こういうアプローチのなかにあるんだな、角度を測りながらぼんやり感じた。
さあ、みんなもレッツ計測。スラントルールは東急ハンズで1800円ぐらいで売ってるよ!
僕らは角度に無自覚すぎないだろうか。
「身長は170センチぐらい」「駅まで2キロぐらいかな。」「このかばん5キロはあるだろう。」
長さや重さはだいたい見当がつくのに角度となるとよくわからない。
トップの歩道橋の階段は27度である。
この記事を最後まで読んでもらえれば分かるが、35度だとこの緩やかさにはならない。
角度は小学校の算数の時間だけに存在しているものではない。すべてのものに角度がある。
角度を意識していつもの景色を見てみたい。角度を再びわれらの手に。そこにはヘレンがウオーター!と叫んだときのような世界の再構築があるはずだ。
(今回のレポートで使用しているのは、スラントルールという傾斜を測る道具です)
※2003年9月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。
まずはやみくもに角度を測ってみた。興奮した。はじめて自転車に乗れるようになってどこまでも走っていけるような気分だ。
角度とったり!そう叫びたい気分だ。興奮のあまり電車に乗ってわけもなく東京駅に行ってしまった。
なんとなく角度についてのカンが身についてきた。
階段はたいてい27度か28度である。エスカレーターは30度。座席のはじや背もたれが30度や80度ぴったりという数字から、設計した人の存在を感じる。角度は無為にあるのではなく、作られたものなのだ。カオスのなかから見えてきたのは人の存在だ。
そして東京駅で興奮した僕は意外なものを測る。
最近の新幹線は速い。そしてものすごくとんがっている。あれを測ろう。とんがり具合と速度に関係性を見出せるかもしれない。入場券を買った。
調べてみると、長野新幹線が最高260キロ。MAXなんとかが最高240キロなので角度はあまり関係がないようだ。そして東海道新幹線のホームには柵があって新幹線に触ることができなかった。残念。
しかし、まだ僕の角度を測る衝動がおさまる気配はない。日本橋の地下駐車場に入る階段が35度だった。公共の施設の階段は27,8度なのに珍しい。すげえ35度だよ!とひとり興奮するがそれを伝える相手がいない。
しかしここまで読んでいただいている諸兄にはこのレア度をお分かりいただけると信じている(文体がへんだ)。
スラントルールではなく分度器で測りはじめている。
そして数字に対して感想をいえるようになった。60度で「なるほど、そうきたか」と思い、77度に驚く。角度がもつ物語、のようなもの、だと思う。たぶんいまなら角度をつまみに酒を飲むことができる。
都内には急な階段、急な坂がある。物語性のある名前がついていたり、歴史上のできごとの舞台になっていたり、文化のにおいがするところだ。あえて測って数値化してみたい。
都内の急な坂として有名な胸突き坂。角度は18度だった。坂道としては確かに急だ。
愛宕神社の出世の石段。この石段を馬で駆け上ったものが殿様に認められて出世したという逸話からその名がついた(らしい)。が、37度。急だけど、ものすごいというほどではない。ただ、高さがあるので圧迫感はある。
角度だけで言うと、新宿のとある飲み屋の階段のほうが急だった。ここを昇り降りしても決して出世しない。
移動中も常にいろんなものの角度を測っていたつもりだが、気づいてみると駅のごみ箱の角度ばかり測っていた。ごみを捨てやすい角度というものがあるのだろうか。単純にとんがってるごみ箱はちょっとヤな感じである。
立ち入り禁止の文字も目に入らない。とにかく角度が気になる。本来のメッセージも役割もいいから角度だ。
秋の気配を感じるこの週末、まる2日間角度を測り続けた。
測らなくても角度の目安がつくようになった。またずいぶん余計なスキルをいまさら身につけたものである。しかも2日で。あれは60度かな、と思って測ると60度ぴったりだったりして小さくガッツポーズ。
楽しいことはぽっかりと存在するのではなく、こういうアプローチのなかにあるんだな、角度を測りながらぼんやり感じた。
さあ、みんなもレッツ計測。スラントルールは東急ハンズで1800円ぐらいで売ってるよ!
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