特集 2026年2月5日

代用チョコレート時代の到来!気になる味は?

今、カカオフリーのチョコレートが熱い。カカオ豆の高騰を受けて開発がヒートアップしているのだ。そんな話を聞いたら、チョコレートのあの味や食感をどこまで再現できているのか気になるというもの。さっそく食べ比べてみよう。

変わった生き物や珍妙な風習など、気がついたら絶えてなくなってしまっていそうなものたちを愛す。アルコールより糖分が好き。

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代用チョコレートの歴史は長い

代用チョコレートの歴史は長く、日本ではなんと太平洋戦争中までさかのぼることができる。書籍「日本チョコレート工業史」の元祖・代用チョコレートについて詳しく解説した章はこんな書き出しで始まる。

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チョコレート主原料のカカオ豆は、全量海外寄りの輸入に俟って(*)いたが、日支事変を契機とする貿易関係の窮迫化、更には日独伊三国同盟締結以後の経済的圧迫により、カカオ豆輸入は漸減から全く杜絶する状態に立至った。
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*俟って……「頼って」の意。読みは「まって」。

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1958年刊行の「日本チョコレート工業史」には代用チョコレートについての記述がある。カカオを使わずにチョコレートを作ることは、とても息の長いテーマなのだ。


そして80年以上たった今、理由の違い(前は戦争、今度はカカオの高騰)はあれど、チョコレート産業界は再びカカオフリーのチョコレート開発に悪戦苦闘しているわけである。

私はデイリーポータルZでライターとして記事を書き始める前にも、この戦時日本の代用チョコレートを再現したことがある。つまり代用チョコレートには少なからぬご縁とご恩がある。今、この話題が盛り上がっている以上、見届けてやらなければなるまい。

ある種の義務感みたいなものに押されて、食べ比べに臨んだのだった。

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自作した代用チョコレートは大豆、百合根、オクラを主原料として、出来上がったものはどちらかというと和菓子のような見た目になった。
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作るのがめちゃくちゃ大変な割に味は微妙だった。不味くはないのだが、これをチョコレートと言い張るのはヘソで茶を沸かす話だと思った。詳しい顛末は記事を読んでみてほしい。
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意外と高い代用チョコレート

食べ比べのために用意した代用チョコレートは大きく分けて3種類。原料にごぼうを使った「GOVOCE(ゴボーチェ)」シリーズ、ひまわりの種を使った「チョコか?」シリーズ、そして豆を使った「アノザM」だ。チョコレートの味に寄せるという目標は同じながら、全く違う材料を使ってアプローチしているところがおもしろい。

これらの商品をネットショップや実店舗で買い集めていて感じたのは、総じて値が張るなということだ。

2025年末、業務用スーパーで買い物をしていて、製菓用ミルクチョコレート(400g)が税込みで1078円で売られているのを見て腰を抜かしそうになった(ちょっと前までは400円台だった)のだが、代用品たちは総じてこれよりも高い。

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おそらく日本で最も安価に手に入る部類のチョコレートであろう、業務スーパーの製菓用ミルクチョコレート。これでさえ400gで1078円!100gあたり270円だ。

「GOVOCE(ゴボーチェ)」は52gで700円(100gあたり1346円)、「チョコか?」は80gで321円(100gあたり401円)、「アノザM」は製菓用フレークということもあって少し安めだが、1kgで3200円(100gあたり320円)する。代用品と言いつつ、なかなかの高級品であることがお分かりいただけると思う。

というわけで、こちらとしても近い将来にこれらがチョコレートに取って変わるかもしれぬ、などとシリアスに構えたりはせず、あくまでイロモノとして気楽に楽しんでみたいと思う。

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尖った苦味、「GOVOCE(ゴボーチェ)」

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材料、それはごぼう。

ごぼう茶をはじめとするごぼうを使った食品を多く提供するメーカー「あじかん」が販売するのがこの「GOVOCE(ゴボーチェ)」だ。ビターチョコ風の「GOVOCE(ゴボーチェ)」のほかに、ミルクチョコ風の「ゴボーチェ ミルク」がある。
なにを差し置いても、ごぼうをカカオの代わりにしようという発想がぶっ飛んでいて素晴らしい。値段が一番高いから最後にしようかと迷ったのだが、好奇心が抑えられなくて真っ先に食べてみることに。

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うれしい個包装。
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見た目は完全にチョコレート!

開封して驚いたのが見た目の再現度の高さ。同じ代用チョコレートでも、素人が台所で自作したものとは見た目からしてここまで違うのか。

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カカオの代用になっている主な材料はごぼうと植物油脂。

チョコレートは焙煎したカカオを擦り潰してできたカカオマスに必要に応じて砂糖やミルクを追加して、同じくカカオから取った油脂であるカカオバターで固めて作られる。あの滑らかな口どけの秘密は、カカオバターの融点が人の体温に絶妙に近いことにあるのだという。「GOVOCE(ゴボーチェ)」箱のカカオバターを植物油脂で、カカオマスをごぼうの粉末で再現しているようだ。

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気になる味は......。

目の前の茶色い板は紛れもないチョコレートの外見。苦味と酸味の混じった香りはまさしくチョコレートのそれだ!......隠しきれないごぼうの匂いを除いて。

口に入れると、滑らかにとろける感触に合わせて苦味と酸味と甘さ、そして油分に乗ってごぼうの味が広がっていく。「おお、チョコレートだ!」と「結構ごぼうだな」の間で心が揺れ動く。ただ、ごぼうを使った花びら餅という和菓子があるように、お菓子とごぼうの相性は悪くはない。このGOVOCEもショコラティエがクリエイティビティを発揮した作品だと言われれば信じてしまうかもしれない。ごぼうの味の強さには面食らったが、正直思っていたより遥かに上をいくクオリティに仕上がっている。

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「ゴボーチェ ミルク」も食べる。

ノーマルのゴボーチェよりも甘味が強い。ミルクが加わったことと相まってごぼうの存在感は薄れていると感じた。じゃあ、いいじゃないかと思われるかもしれないが、これが不思議なことにそうでもないのだ。ごぼうが後ろに退いたことで、チョコレートらしさも薄れてしまっている。カカオ分の低い安物のチョコレートの味になってしまっているのだ。

・思ったよりごぼうの味がする。
・でも思ったよりチョコレートだとも感じる
・ごぼうの味が良いアクセントになっている
・「ゴボーチェ ミルク」よりもノーマルゴボーチェの方がチョコ感が強くて好き

⏩ 意外なキャラが登場、「チョコか?」

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