ニセモノを味わうことでホンモノのエッセンスがわかる
ごぼう、ひまわり、豆を使った代用チョコレートを食べて、それぞれに材料の面影を強く、あるいはうっすらと感じた。未知の食の体験はおもしろい。
でもそれ以上に良かったのは、チョコレートに似ているかどうかを判定することで自分がチョコレートのどこに魅力を感じているか気がつけたことだった。普段、ものを味わっているようで味わっていないのかもしれない。「ボーッと食べてんじゃねえぞ」というツッコミが聞こえてきそうである。
イオンのトップバリュから出ているのが「チョコか?」シリーズ。プレーンのほかにヘーゼルナッツ入り、シリアルパフ入り、ビスケットにコーティングしたものが発売されている。
ひまわりの種はおつまみなどで食べることがあるが、あそこからチョコレートの味が引き出されるところはなかなか想像できない。でもだからこそおもしろいというもの。
GOVOCEの時のように匂いからして個性的ということはない。味もかなりチョコに近いのでは!?ミルクと砂糖がかなり強く効かせてあって、それで誤魔化されている感は否めないものの、ナッツらしい香ばしさもあって悪くないじゃない。
そう思っていたのだが、初手で感じた強い甘味が薄れていくにしたがって頭の中にあるものが走り出てくるのを抑えられなかった。それは実に必然的なことで「ひまわりの種」というワードが出てきた時点でうっすらと予感していたような気さえする。2000年代初頭に子供だった世代には馴染み深いアイツである。
ヒーマワリのタネー。
後味として口の中にペットショップのハムスター売り場で嗅いだことのある匂いがうっすらと漂う。落差があるな。
ただ、いい面もあって、まず口の中で融ける感じは本物のチョコレートをかなり再現できていると思った。さらに混ぜ物が加わったもの、特にヘーゼルナッツが入っているものでは、ハム感は私のバカ舌ではほぼ検出できないレベルまで下がっている。
GOVOCEの時とは反対に、混ぜ物をすればするほど高評価という結果になった。
誤解のないように言っておきたいが、ノーマルの「チョコか?」もまずいわけでは決してない。あの香りもひまわりの種が好きな人にとっては良い匂いなのだと思う。ただ、私の中で紐付けされてしまった相手はハム太郎だった。それだけだ。
代用品云々以前の問題として、そもそもチョコでコーティングされたビスケットを食べるときに、チョコ自体の味にそこまで気を配っていただろうか?いろいろな要素が追加されればされるほど、チョコレートそのものの味にまで意識が回らなくなるような気がする。これまで漫然とものを食べてきた。代用品の登場によってそんな自省を突きつけられている気がする。
不二製油が出している「アノザM」は「Another(もう一つの)」「Milk(ミルク)」という意味が込められたネーミングだという。原料に使われている豆はエンドウ豆とキャロブ。キャロブは別名イナゴ豆といって、地中海で栽培され古くからカカオの代用品として使われてきたというから期待が持てる。
舌の上にじんわりと広がるミルク感がとにかくすごい。「M」を冠するだけあるな。代用チョコレートというよりも、代用ホワイトチョコレートに近いと感じた。そして、やはりエンドウ豆やキャロブとはいえ豆だからだろうか、味の中にかすかなきな粉っぽさを感じる。ミルク、きな粉という慣れ親しんだ味のため、食べていて一番座りがいいと言うか、ホッとする味だ。
さて、食べ比べが完了した。
どの代用チョコもその個性でこちらの情動に揺すぶりをかけてきた。今までに経験したことのない味をまとめて体験したので少し疲れてしまった。慣れ親しんだ美味しさには、すでに知っている味だからあえて深く味わわなくてもいいという安心感も含まれるのかもしれない。
そんな中であえて一番良かったものを決めるとするとですね。
全部を食べ終わった後、口の中がかなり甘ったるくなっていた。今回食べた代用チョコレートたちは、総じてかなり甘味を強く設定されていると感じた。もちろんお菓子だから別にそれでいいのだが、その中でGOVOCEだけがビターなチョコレートの魅力に真っ向から挑もうとしていた。砂糖やミルクによる誤魔化しが少なかったと言える。その分ごぼうの味が強く出ていたけれど、それほど気にならなかった。
本物と比べても、GOVOCEのビターチョコの再現度は頭が一つ抜けていた。もはや「ごぼうの香りがついたビターチョコ」といってもいいくらいだ。もちろんごぼうが嫌いでひまわりの種の匂いが好きな人にとっては評価が逆転することは間違いない。ただ、そういう好みの違いを度外視しても、苦味や酸味をちゃんと再現しようとしたGOVOCEのチョコレートに対する解像度の高さを買いたいと思ったのである。
ニセモノを味わうことでホンモノのエッセンスがわかる
ごぼう、ひまわり、豆を使った代用チョコレートを食べて、それぞれに材料の面影を強く、あるいはうっすらと感じた。未知の食の体験はおもしろい。
でもそれ以上に良かったのは、チョコレートに似ているかどうかを判定することで自分がチョコレートのどこに魅力を感じているか気がつけたことだった。普段、ものを味わっているようで味わっていないのかもしれない。「ボーッと食べてんじゃねえぞ」というツッコミが聞こえてきそうである。
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