肉じゃがに生姜?スパイス?
それでは先生、お願いします!
いきなり原材料名になかった生姜が出てきたが、細かいことを言うと気分を害されるかと思ったので目をつぶることにした。そうか、プロはここで生姜を入れるのか。隠し味だろうか。
生姜以外はおなじみの肉じゃがの作り方である。
しかしここまで、ものの5分くらいだった。圧倒的に速い。料理の上手さというのは手際の良さに直結するのだ。
あれ、先生、それはなんですか?
先生は肉じゃがだったものを台無しにするかの如く勢いでパプリカパウダーを足してきた。次の瞬間、部屋の空気が中東あたりに移動する。
失礼ですが先生、それは何を作っているんですか?
金丸妻「玉ねぎ、にんじん、ジャガイモ、肉といえば、ケニアンシチューでしょう?」
金丸夫「そうだね、この材料だとまず思い浮かぶのはケニアンシチューだろうね。」
ケ、ケニアンシチュー?
ちょっと詳しくお話を聞こうとしたところに息子さんが帰ってきた。
「お母さん、今日のご飯なに?」
おかしいのは僕の方でしょうか。違いますよね。
さっきこの材料なら10人中7人が肉じゃがを思い浮かべると書いたが、残りの3人がここにいたのだ。3人してケニアンシチューと言ってくる。
味見させてもらうとシンプルな味付けなのになるほど美味い。パプリカパウダーの香ばしさが肉じゃがを一気に和食からアフリカへといざなう。
聞くと野菜の美味しさをそのまま引き出すのがこのケニアンシチューなのだとか。確かに味付けは少しの塩とパプリカ、生姜だけである。
魚肉をどう料理するのか
衝撃のケニアンシチューはこのあと少し煮込むことにして、次はちょっとひっかけ問題を用意してきた。まあ直球だと思って出題した肉じゃがでいきなり場外ホームラン(ファールの)を打たれたわけだけれど、こちらにも準備というものがあるのだ。
次の問題はこちらである。
タラと鯛、卵白、大豆たんぱく、である。読者のみなさんも考えてみてほしい。この原材料を与えられたらあなたなら何を作るだろうか。
今回も読者のみなさんにだけ先に正解を教えちゃおう。
これだ
悩みつつも先生は言う
「卵白が入っているところを見ると練り物っぽいよね」
なるほど。白身魚に卵白で練り物と判定しましたか。さすがするどい。
金丸妻「これはチリに住んでいた頃によく作った料理。本当だったら枝豆とかごぼうなんかを入れると食感が良くなるんだけどね。」
つみれとかハンバーグとかっていろいろ行程があって面倒くさいので敬遠しがちだけれど、先生の手にかかればいとも簡単な料理のように見えてしまうから不思議だ。どうしてこんなに簡単そうに見えるのか考えたのだけれど、先生はいちいち計らないのだ。
これについては金丸先生(夫)も言っていた。「彼女の料理はとにかく速いよ。計らないのはあたりまえ、見てすらいないんじゃないかと思うもの」と。もはや計量スプーンが体の一部になっているのだろう。
そうこうしているうちに美味そうな魚のすり身焼きができてきた。実質15分くらいである。
これがかまぼこの原材料だけを見て作ったとは思えないほど美味そうだった。
この間に煮込んでいたケニアンシチューも出来上がった。
やはり料理の心得があれば原材料だけで美味しそうなものができてしまうのだ。
次はさらなる難問が登場します。