餃子を上手に焼けるようになりました(手順をしっかり守れば)
料理が下手な人はレシピを勝手にアレンジしてしまうという。
今回、自分がそのパターンにハマっていることを初めて知った。
無意識に手順を改変しているのだ。おそろしい話である。
この企画を行うにあたって、デイリーポータルZをはげます会の皆さまからたくさんやり方を教えていただいた。本当にありがたい限りだ。
皆さんのことをこれから餃子の師匠と呼ばせてください。
みんなー、餃子は好きかー!
という質問を投げかけたら、95%の人は元気よく「はーい!」と答えてくれるだろう。
宇都宮や浜松の餃子熱はすごいし、スーパーでもチルド品や冷凍品が色々なところから売られている。
みんな餃子が好きに違いない。
家できれいに餃子が焼けると、それだけで晴れやかな気分になるだろう。
なんだか急にトーンダウンしてしまったが、それには理由がある。
餃子を焼くのがめちゃくちゃ下手なのだ。
先日焼いた餃子がもうすごいことになった。
ちょっと心を落ち着けてから見てもらっていいですか。
焼いていくうちにグズグズになって、皮と餡が分離し、そして再度融合し、元・餃子というべき姿となった。
遺伝子操作に失敗したミュータントだ。
「食べたら餃子だから!」と精いっぱいの強がりを見せたが、以前も同じような惨劇を起こしたので悲しみに暮れた。
せめて餃子の形を保って焼きたい。なんとかうまく焼けないものか。
こういうときは知恵を借りるのが良いだろうとのことで、デイリーポータルZはげます会の方々に普段の餃子の焼き方を募ったところ、あれよあれよと集まった(ありがとうございます!)。
これらの知見を試して、餃子テクニックを磨いていきたい。しばらく我が家のメニューに餃子が頻繁に現れます。
教えてもらった方法の中でも、自分の焼き方に近いものにまずはトライしていこう。
フライ返しのところに知見を感じる。失敗しなさそう。
早速やってみよう。
また出会った!!そんなことあります?
正直、教えてもらったやり方なら大丈夫だろうと思っていた。
なのでグチャグチャの餃子が現れたときの感想は「残念」ではなく「びっくり」であった。
一体なぜこんなことになってしまうのか。
フライパンを見てみよう。
どうも最初に熱したフライパンの上に餃子を置いたときに放置しすぎたようだ。
この時点で皮がフライパンとくっついてしまっているのではないか。
それから、やはりお湯が多すぎたようだ。
やり方を教えてくれたnemさんは「手作り餃子の場合」と注釈をちゃんと入れてくれている。
チルド餃子は既に調理されているので、手作り餃子よりも皮がやわらかい。
それを考慮せずにお湯を入れてしまったので、底の皮はくっつきそれ以外の皮はグズグズになってしまったのだろう。
そうなるともうグチャグチャの餃子にまっしぐらである。
やり方は何も悪くなく、自分の適当さと慢心が招いた結果である。すみません、私がやりました。
とにかく「最初に焼きすぎない」「水(お湯)を入れすぎない」に気をつける必要がありそうだ。
気をつけるべきポイントがなんとなく出てきたところで、今度は一番数が多く集まったやり方でいこう。
先ほどと異なるのは、なんといっても「火を点ける前に餃子を並べて、それから火を点ける」というところだろう。
なるほど、これならいきなり餃子の皮がフライパンと融合することは防げそうだ。
それから個人的な反省ポイントとして、餃子の量に比べてフライパンが大きすぎたのもいけないのではという気がしている。
もう少し小さいフライパンなら、お湯が多かったときにすぐ分かるだろう。
火を点ける前に餃子を並べるので、餃子のポジショニングがうまくいかなくても焦ることがなくていい。
これもう正解なんじゃないの!?
餃子の形になってる~~~!
出来たときに素直に思った感想だが、振り返るとめちゃくちゃ低レベルな感動だ。
ごま油が多すぎて焦げてしまったが、誰が見ても餃子と答えられるビジュアルになったことが重要だ。
見てくれを餃子にするという最低ラインは達成することが出来た。
ここからV字回復、伸びしろしかないはずだ。次回の餃子にご期待ください(あまりハードルを上げると元・餃子が現れるフラグになるかもしれない)。
先ほどの焼き方で焦がしてしまったのは、最後の手順で火が強すぎたのかもしれない。または最初に焼く手順で焼きすぎたか。
より失敗しなさそうなやり方を試してみよう。
向井さんのやり方
1. フライパンに餃子を並べる
2. そこに水を注ぐ。餃子の下のほうが浸るくらい
3. 蓋をして火にかけ、強火で蒸し焼きにする
4. 水気がなくなってきたら蓋をあけ、上から油を回しかける
5. また蓋をして(油がはねるので)、そのまま強火で少し焼いて焦げ目をつける
という方式でやっています。冷凍でも自家製でもこれでいけてます。もとはなにかの冷凍餃子のパッケージに書いてあった焼き方だったと思います。自己流に簡略化したかも。
先ほどのやり方と比べると、餃子を初めに焼くという手順がスキップされていていきなり蒸し焼きにするようになっている。
なんだか簡単になりすぎてはいないか。これで本当にいけるのか…?
実質2つしか手順がないぞ。
これでちゃんと出来るのか……?と思っていたが、出来たのがこれだ。
普通においしそうな餃子が目の前に現れた!すごい!
こんなシンプルな手順で出来たのか、と驚くばかりである。
なんと言ってもフライパンに餃子を並べて水を注いでから火を点けるので、慌てることがないのが良い。
「焼き目を付けて……ああ、ぼんやりしていて焼きすぎてしまった!」だとか、「蒸し焼きにするのに熱湯を注いで……そういえばお湯を沸かすのを忘れてた!」などなど、今まではうっかりしていて慌ててしまうことが悲劇につながっていた。
これがないだけで安心感がものすごい。
しかし最初に焼いていないので、味や食感に影響は出ないのかが気になる。
だいぶ上手に焼けてません!?
ずいぶんと偏った盛り付けになってしまったのは、フライパンにお皿をかぶせてパカッと開ける、にあこがれてやってみたら失敗したからだ。
だが、これはもう十分に餃子を焼くことに成功していると言っていい出来栄えなのではないか。
食べてみると自分の舌では最初に焼いたかどうかの違いを感じることは出来なかった。チルドではなく生餃子だとまた変わってくるのだろうか……?
それにしても、最初に焼かないこのやり方は僕にとってはかなりありがたい存在だ。
マリオカートでコースのショートカットを発見したときのような気持ちになった。
焦がしてしまう危険性が低いやり方で言うと、こちらはどうか。
なんだこのやり方は。これまでとは全然別のアプローチだ。
「小皿に油を注ぎ?餃子を?1バウンドさせて?シートに?並べる?」と、ハテナマークをやたら入れてやり方を復唱してしまった。
餃子を焼く、ということに対して人は様々な工夫を重ねているのだな…!ということを学ばせていただいた。
食べてみると、モチモチ食感でおいしい!
これまでと違って最後に焼き目を付けないので、パリパリではなくモチモチになる。
これは好みによってやり方を使い分けても良さそうだ。
しかしやり方に書いてある通り、クッキングシートを持ち上げて皿に移すのは楽だった。
フライ返しでフライパンから剥がして盛り付けるの、緊張するんだよな……。
餃子を食べすぎて餃子になるかと思ったが、おかげでかなり上達したように思う。
特に今回は失敗する可能性が低いやり方だったのではないか。
焼いている途中に焦りが生まれない、というのは本当にありがたい話である。
余談だがこの撮影の2日後に義実家から餃子のタネが偶然にも送られてきて、夕食がまた餃子になった。
餃子パーティーに次ぐ餃子パーティーである。
前回は失敗しにくそうなやり方を採用したことで、無事餃子を焼くことが出来た。
今度は逆にアグレッシブにいくやり方に挑戦していきたい。
それが羽根付き餃子の焼き方だ。
羽根付き餃子ほど「おいしそう」をカタチにしたものはないのではないか。
これが自分で作れるなんてもう夢物語である。教えていただいた作り方はこちら。
えすた・けいさんより(一部記述を省略しています)
1)フライパンは火にかけずに餃子を矢車状に丸く並べます
2)生餃子のパッケージに残っている打ち粉を計量カップに入れてポットのお湯150㏄くらいで溶かします
※打ち粉が残っていなかったら小麦粉を小さじ1/2~1くらいをお湯で溶く
3)フライパンに入れた餃子に小麦粉を溶いたお湯を上からかけ入れます
4)蓋をしてフライパンを火にかけます 強火で4分が目安
5)水が減ってきて糊状になりブクブク泡立ってきたら火を弱めて油をまわしかけます
6)糊状の液がカリカリに水気が無くなり茶色の「おこげ」になってきたら羽付き餃子の出来上がり
これを実践するだけで羽根付き餃子が……?早速やっていこう。
あー、ちょっと待って。この皮のデロデロ感、見覚えがあるよ。
これは、ヤツが来るんじゃないかな。
焦って餃子をフライ返しで剥がそうとするが、なかなか取れない。
あれこれ奮闘して出来上がったものがこちら。
出た!久しぶり!
元・餃子が2回ぶり3回目の出場だ。
妻から「餃子じゃない餃子を作るプロ」「ここまで来ると食べても(口の中で)餃子にならない」「餃子味の新商品の試食をしているみたい」とありがたいお言葉をいただく。
実は作る途中でお湯が多すぎる・小麦粉が少なすぎる気がして、餃子が浸る程度しか入れなかったのだ。
その後にやはり全部入れた方がいいのでは……?と思い直してお湯を全部入れたのだが、手順に沿わなかったことが良くなかったように思う。
これはやり方は何も悪くなく、自分の適当さと慢心が招いた結果である。すみません、また私がやりました。
そもそも上手に焼けない人間なのだから、勝手に判断してはいけない。盲目的にやり方を信じて進むだけだと改めて肝に命じた。
もう1つ、羽根付き餃子を焼くやり方を送ってくださった方がいる。こちらでリベンジしたい。
とれさんより
サラダ油をひいて油から煙が出るまで温める
餃子を並べる
焦げ目を付ける。
小麦粉(羽根の素)とコンソメまたは鶏ガラを溶いたお湯を餃子がひたひたになるまでかける
蓋をする
水分がほぼなくなるまで強火で放置
蓋を取る
ごま油を香り付けにかける
火力を弱め水分を飛ばす
とれさんは浜松市民とのことだ。これは下手なことは出来ない。
緊張しつつ挑戦しよう。
こわがりながらも、ごま油をかける。
フライ返しで剥がそうとするが、またもなかなか入っていかない。ダメか……!?
小麦粉が多かったようで梅蘭の焼きそばのような見た目になってしまったが、羽根付き餃子だ!
おれが、羽根付き餃子を焼ける日が……!
ただただ感動である。
羽根付き餃子が天を舞った。今日という日を羽根付き記念日と定めたい。
最初に失敗したときは、どうやら羽根と餃子の間にフライ返しを入れてしまったのが原因のようだ。
フライパンと羽根の間にフライ返しをねじ込む必要があったのだ。
羽根付き餃子の構造がわかっていなかった。
あと、羽根の部分が茶色くなるまでしっかり焼かないといけないことを学んだ。何事も我慢が肝心だ。
完全に習得出来たのではないか。
デロデロの元・餃子を生み出していたときとは雲泥の差である。
この連載で初めて餃子を上手く焼けた回で、「もともと使っていたフライパンがいけないのでは?」といった感想をちらほら見かけた。
フライパンを替えたら上手くいったので、元のフライパンに原因があると思われるのはもっともなことだ。
そのように考えでもしないと、元・餃子という異次元の存在がなぜ誕生してしまうのか説明が付かないだろう。
だが、元のフライパンは今でも現役バリバリで我が家の調理に使われているのだ。
どう考えても僕のやり方が悪い。このまま汚名を着せたままにするのはフライパンに申し訳が立たないのだ。
フライパンの名誉を守るため、元のフライパンで上手く焼けることを証明していきたい。
前回の羽根付き餃子が上手くいったので、今回はそのやり方を採用しよう。
市販の生餃子を使ったが、せっかく集大成なのでイチから作っていこう。
やり方は前回と同じなので割愛するが、
という手順で進める。
ぼんやりしていたら少し焦げてしまったが、じゅうぶん上手に出来たのではないか。
フライパンに皿をかぶせてひっくり返すという盛り付けも、ずっと念願だったのだが達成出来た。
これでもう「餃子を焼けるようになった」と胸を張って言えるのではないだろうか。
やはりフライパンが悪いのではなくて、僕のやり方が悪かったのだ。すみません、私がやりました。
フライパンの名誉挽回が出来たらもうこっちのものだ。
チルド餃子もノリノリで焼いてしまおう。
餃子、焼けるようになってない!
蒸し焼きのお湯が多すぎた。第2回で気をつけるように自分で書いておきながら、覚えていないのだろうか。
やはりフライパンが悪いのではなくて、僕のやり方が悪かったのだ。すみません、私がやりました。
料理が下手な人はレシピを勝手にアレンジしてしまうという。
今回、自分がそのパターンにハマっていることを初めて知った。
無意識に手順を改変しているのだ。おそろしい話である。
この企画を行うにあたって、デイリーポータルZをはげます会の皆さまからたくさんやり方を教えていただいた。本当にありがたい限りだ。
皆さんのことをこれから餃子の師匠と呼ばせてください。
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |