チョコ作りは難しかったけど楽しかった
溶かしたチョコをゴテゴテと重ねていくのは楽しかった。何度か失敗もしているが、それはそれで楽しかった。食べ物をいじくり廻すのは面白い。
夢で見た地層チョコはもっと色んな味があって、もっと綺麗でもっと美味しかった。今回は僕の技術不足でこんなもんしか出来なかったけど、極めればきっともっとハイクォリティの地層チョコが出来るはずだ。
だれかもっと綺麗で美味しい地層チョコ、作ってみて下さい。でもって2/14に下さい。どうぞよろしくお願いいたします。
こんな夢を見た。
僕はあるチョコレート屋さんに行った。そこはちょっと面白いチョコレートを食べる事が出来るのだという。確かに今まで見た事無かったし、食べた事ない味のチョコだった。
今日はその、夢で見たチョコレート屋さんの取材レポートを紹介します。店長にインタビューもしたんだぜ。
※2008年11月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。
そのお店はそんなに広くなくて、大体普通のコンビニの半分くらいの面積だったろうか。何人かの女性店員と、マダム的年齢の女店長が切り盛りしていた。店内は女性客で一杯。大した繁盛店で、そこにいる僕は全く場違い甚だしい状態だった。
そんなお店。
商品は一つだけ。「地層チョコ」と呼ばれる球形のチョコレートだ。客は最初に500円払って、棒が付いた丸いチョコを受け取る。店内の壁や中央には商品の陳列棚があって、そこには、赤、緑、黄色、白、茶色などなど色とりどりのチョコレート、さらに、クラッシュドアーモンドとかクッキークランチ、パフ、ピーナッツクランチなどなどが並んでいる。
客はチョコにそれら材料を好きなだけ何層にもまとわせて大きくしていく。でもってある程度大きくなったら割ってもらって(希望すれば割らなくても可)、ラッピングしてお持ち帰れるってなシステムだった。
チョコの色は着色料でなく、ラズベリーや抹茶で付けられている。そのヘルシーな感じとチョコの美味しさと、見た目の可愛さで女性に大うけ。スイーツ大好き女子でお店は一杯だった。と、いう内容の夢だった。
という事で、まずはそのチョコを実際に作ってみて、最後に店長へのインタビューを載せるという構成した。夢らしいトンチンカンなインタビューだった。ちゃんと最後まで読んでね。
ラズベリージャム、抹茶、カボチャパウダー&お菓子材料各種。コーティング用のチョコに、ダースのホワイトと、お菓子作り用のチョコレート。あ、核になる丸いチョコを一緒に撮るの忘れた。
核はサッカーボールチョコ。味が安っぽいのが難か。地層チョコのお店ではちゃんと美味しいチョコを核に使っていたが、まぁ、球形のチョコを自分で作るのは難しいので仕方ない。
ネットの下半分が無いのは、猫のなつめさんが食い破って、チョコではなくネットを食べてしまったから。あとで吐いたけどな。チョコ食べなくてよかったよ(猫にとってチョコは毒なんだそうだ)。
さて、では地層チョコを作ってみよう。うまくできるかな?
まずは核になるサッカーボールチョコに竹串を刺した。竹串を回転させながら刺していけば簡単だ。サッカーボールチョコは真ん中に接合部があるので、そこを狙えば楽々刺さる。ただし、力を入れすぎると割れてしまうので注意。
以上、誰の役にも立たないニッチなノウハウ。
次はコーティング用のチョコを溶かす。
ホワイトチョコを湯煎で溶かす。このとき、水が混ざったりお湯の温度が高すぎたりすると大変なのだ。と、作りながら教わった。お菓子作りってなんか化学の実験みたいだ。
このホワイトチョコに、抹茶やカボチャパウダーを混ぜて色んな色のチョコを作るのだ。
で。早速、核→カボチャチョコ→ホワイトチョコという順序で層を作ろうと思ったら失敗した。なんと、周りに付けるチョコの温度で核が溶けてしまったのだ。えー。
ヤベエ、お菓子作りって難しい。
夢の中では簡単に綺麗な層を作ったチョコが、現実の世界ではとてもやっかいな存在になっている。夢と現実は大違いである。夢は上手く行くから夢なのだ。
でも一度失敗しただけだ。思い描いた事が上手くいかないなら、工夫をして夢を現実に実現させたらいいのだ。それが人間をここまで進歩させたんだ。
失敗が恥ずかしいので話を人類規模にしてみた。
思ってたよりチョコってのは固まりづらい事がわかった。僕は男なので好きな男子のために手作りチョコを作った事とかはない。あったらマズイし、あったとしてもここには書かない。
だから、正直溶けたチョコがこれほど扱いにくい物だとは思ってなかった。手作りチョコなんていって、溶かして型に入れて固めてるだけじゃん、とバカにしていた(貰った事無いので95%そねみだが)。でも、それだけの手順でも十分面倒くさい事がわかった。女子に生まれてたとして、間違いなく僕は手作りチョコなんて作らない。
こういうマインドが僕がモテずに暗黒の青春時代を送った原因なんだと思う。文章を書くというのはつまり自分探しなのだ。こんにちは、自分。
さて、与太話は良いとして、チョコだ。
朝鮮半島の北緯38度線には北と南の境界線があって、軍事的な緩衝地帯になっている。緩衝地帯があるから衝突を避けられるのだ。だから、地層チョコにおいても緩衝地帯が重要だ。
直接チョコ同士を重ねようとしても溶けてしまって無理なので、チョコ、アーモンド、チョコ、クッキークランチ、みたいに間になにか挟む事にした。これならチョコが混ざるのを防げるに違いない。
更に、室温だと思ったよりもチョコが固まらないので、コーティングしたら冷凍庫に入れる事にした。幸い、串が刺さってるので冷凍庫の中で立てやすい。
これなら完璧、と思ったら。
冷凍庫を開けたらなんか垂れていた。
すっかりチョコの扱いをマスターしたと思いこんでたら、全然まだまだだった。冷凍庫の中でチョコの一部が崩壊していた。
でも、まぁ、致命的な崩壊でも無かったのでちょちょっと取り繕って更に層を重ねる事にした。層を重ねるごとに大きく、扱いづらくなっていく地層チョコ。
はたして夢で見た通りの、美しくて美味しいチョコは完成するのか?
結果は次のページで。なんつって、今オレTVみたいだったな。
地層チョコは思惑通りに完成したのか?
出来たら、ちゃんと地層が出来たのか割って確かめねばなるまい。そういう事で半分に割ってみたんだが、球形のチョコを綺麗に割るのってかなり難しい。
断面がちょっとにじんだり、切ってる途中に割れちゃったりで、夢で見た様な綺麗な断面を作る事が出来なかったが、これが今のところの限界だ。なんていうか、
ま、こんなもんだろ、と言ったところか。
中心の内核からカボチャチョコの外殻、茶色チョコやホワイトチョコのマントル、クラッシュドアーモンドの地殻まで綺麗に作れた。うん、綺麗に作れた。
綺麗に作れた、って事にして下さい。お願いします。
んじゃ、食べるか。
チョコはあくまでチョコで、「うん、チョコ。」以外の感想が出てこなかった。もっと香ばしい層とか酸っぱい層とかあると感動も違ってくるのだろうが、あまりにチョコばかりを重ねたので、「チョコ味」以外の感想が出てこない。いろんなクランチとかそんな味も混ざってるのだが、どうにもあんまりにもチョコだった。
地層チョコの現実は大体わかっていただけたと思う。では、冒頭に書いた店長へのインタビューを紹介して今回の記事を終えよう。毎度さいごまでお読みいただき、ありがとうございます。
松本「すごい繁盛してますね。秘訣はなんでしょう?」
店長「秘訣?そんなのチョコが美味しいからに決まってるじゃないの。」
松本「(うっ、こえぇ……) そうですね、そうですよね。ところであの、お店は綺麗なんですがトイレはその、汚いですよね。臭いし。」
店長「いいのよあれで。」
松本「え、いいんですか?」
店長「いいのよ。あんまりトイレが綺麗だと、もっと混んじゃって困るのよ。うちは人気店だから、トイレが臭くて少しリピーターが減るくらいがちょうど良いのよ。」
松本「えー。僕、トイレ掃除していいですか?やっぱ臭いの嫌ですよ。」
店長「あ、ちょっと、やめなさいよ!なにしてんのよ!」
松本「いいじゃないすか、ほら臭くなくなった。」
流石夢という無茶苦茶なインタビュー展開だが、その続きがちゃんとある。僕がトイレを掃除した事によって、客は一層増えた。が、その客をさばききれなくなってしまったのだ。店は回らなくなり、逆に人気が落ちる結果となってしまった。鹿を保護したら増えすぎて食べ物が無くなって絶滅しちゃった、みたいな話である。
結果として、僕の善意が悪影響になってしまった。まったくもって大きなお世話であって、店長は正しかった。
これ、夢診断したらなんて言われるだろう。リビドーがなんとかとか言われるのだろうか。
溶かしたチョコをゴテゴテと重ねていくのは楽しかった。何度か失敗もしているが、それはそれで楽しかった。食べ物をいじくり廻すのは面白い。
夢で見た地層チョコはもっと色んな味があって、もっと綺麗でもっと美味しかった。今回は僕の技術不足でこんなもんしか出来なかったけど、極めればきっともっとハイクォリティの地層チョコが出来るはずだ。
だれかもっと綺麗で美味しい地層チョコ、作ってみて下さい。でもって2/14に下さい。どうぞよろしくお願いいたします。
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