「珍レシピカードの発見」
パリ:
今日はナオさんに見てもらいたいものがあるんですよ。
ナオ:
なんでしょう?
パリ:
見たことありません?
ナオ:
あ、スーパーなんかで配られている。
パリ:
そう。出入り口近くのラックなんかに置いてあったりする、「レシピカード」というやつです。
ナオ:
レシピカードというんですね。たまに見るような気がする。
パリ:
僕もそんな感じで、前々から「なんかあるな〜」とは思ってたんです。ただ、しばらく前にふと「たまにはこういうのもらって帰ってみるか」と思って家に帰ってぼーっと眺めてたら、ちょっとおもしろいことに気づきまして。
ナオ:
ほう。
パリ:
さっきの「豚肉となすのみそ炒め」は、わかるじゃないですか。何の変哲もないというか。
ナオ:
まぁそうですね。
ナオ:
豚さつま、聞いたことのない言葉!
パリ:
レシピを見ると肉じゃがのさつまいもバージョンのような感じなんだけど、検索しても「豚さつま」って料理はほとんど見つからなくて、実際にあるどこかの郷土料理とかではないっぽいんです。
ナオ:
このカードが提唱しているレシピなんだ。
パリ:
「肉じゃが」に対抗して「肉さつま」でもないところもおもしろくて。で、ちょっと作ってみたんですが、めちゃくちゃ美味しかったんですよ。じゃがいもよりねっとり濃厚で。
ナオ:
たしかに肉じゃがより満足感ありそう。でありながら具材はシンプルで。
パリ:
ね。なんでなかったんだ! っていう。
ナオ:
これは参考になりますね。
パリ:
そこで、決して小馬鹿にするとかそういうことじゃなくて、単純に僕が「珍しい」と思ったという意味で、「珍レシピカード」と呼んで、コレクションしてみようかなって。
ナオ:
楽しそう!
パリ:
今日はそんな、僕の珍レシピカードコレクションを自慢させてもらいたいなと思っております。
ナオ:
すでにコレクションしているんですね。「5、6個コレクション」ではなく?
パリ:
さっき数えたら、96枚ありました。
ナオ:
はは。それはもう本物のコレクションです。
パリ:
ちなみにさっきのは地元にしかない「まなマート」というスーパーのレシピカードなので、スーパーレアです。
ナオ:
すごい。全国に店舗があるようなチェーン系だったらまだわかるけど、ローカルなスーパーにもレシピカードはあるんですね。
パリ:
もしかしてどこかの業者が作っていくつかの店に配布してたりするのかもしれないけど……まぁ僕の知る限りはレアです。
ナオ:
集めがいありますね。
パリ:
ですよね! 地方遠征とかしたい。
語感とインパクト重視 〜まなマート〜
パリ:
あ、ちなみに、珍レシピカードの定義はあくまで「僕が珍しいと思った」なので、「それ普通じゃん」という意見はスルーさせていただきたい。
ナオ:
なるほど。ある人にとっては当たり前なレシピもあるわけですね。
パリ:
ですね。ではまず、先ほどの「まなマート」で集めた珍レシピカードがこちらです。
ナオ:
いきなり多い。しかも聞いたことのないレシピがたくさんあるな。「もどりがつおの和風カナッペ」とか。「もどりがつお」で始まって「カナッペ」で終わるっていう語感がいい。
パリ:
そうそう! 語感がいいのもポイント高いんすよね。このカナッペには、ミョウガや大葉、クリームチーズなんかも使ってあるようです。
ナオ:
凝った料理ですね。「ポークソテーアップルジンジャーソース」も語感がいいな。なんか、おしゃれな恋愛映画のタイトルみたいです。
パリ:
はは。それ言うと「豚さつま」は古い日本映画かな。「豚さつま一代記」みたいな。今気づいたけど、まなマートは特に語感がいいかもな。名づけにセンスを感じる。
ナオ:
もう語感先行で決めてるんじゃないかってぐらいの。
パリ:
はは、そう。「〇〇肉じゃが。さて、〇〇に何入れよっかな〜?」って。「トントトントン♪」のリズムになるように。
ナオ:
語感もだし、メニュー名でまず「おお!」って圧倒する感じがありますよね。居酒屋に並んでたらパリさんが全部オーダーしそうなメニューばかりだ。
パリ:
はは。頼みそう。あと、メニュー名の一部が丸で囲われてるのもよけいにリズムを強調してますよね。
ナオ:
ああ、この丸いいですね。「豚さつま」はなんで「さつ」だけ囲んであるんだ
パリ:
「かつお」や「ポーク」は3文字囲えてるのに! ちなみに赤青緑でメイン食材が肉系、野菜系、海鮮系と分かれています。スーパーごとのそういう情報を読みこむのも楽しくて。
ナオ:
なるほど。ちなみにこういうものが、店頭にどれぐらい置いてあるんですか?
パリ:
2〜30枚くらいとか? それがけっこうな頻度で入れ替わっていきます。
ナオ:
へー、そんなに!
パリ:
知らなかったけど熱い世界なんですよね。とまぁ、今日はこんな感じがずっと続きます。
ナオ:
これが96もあるわけだ。
人生泣いたり笑ったり 〜西友〜
パリ:
「西友」で見つけたレシピカードです。
ナオ:
すごい! 明らかにお金がかかっている。
パリ:
切り抜きですよ。なので、
ナオ:
はは。写真の大きさは捨てて。
パリ:
でも、そこにこだわりを感じます。
ナオ:
これもう、パッと見た感じクリスマスカードですよね。
パリ:
はは。裏の余白にメッセージを。
ナオ:
「いろどり酢豚」の脇にね。
パリ:
あ、そうそう。注目すべきはその酢鶏の、群を抜く語感ですよ!
ナオ:
え! 酢豚じゃないのか。酢鶏だ。
パリ:
「すどり」なんです。もはや韻を踏むために鶏にした可能性も。
ナオ:
「野菜たっぷりいろどり酢鶏」か。たしかにこれはみんな声に出してみてほしい。
パリ:
気持ちいいよ〜?
ナオ:
「人生泣いたり笑ったり」系のリズム。
パリ:
「人生泣いたり笑ったり 野菜たっぷりいろどり酢鶏」
ナオ:
はは。「色々あるけど、とりあえず今日の晩御飯は酢鶏だよ!」っていう。
技あり! 〜クイーンズ伊勢丹〜
パリ:
続いて「クイーンズ伊勢丹」いいすか。ちょっと高級スーパーの。
ナオ:
おお! なんか言われてみると高級感があるように思えます。
パリ:
写真も凝ってますよね。料理本っぽい。
ナオ:
おしゃれな写真だ。これが無料で配布されてるのってすごいことのような気がしてきた。
パリ:
そうなんですよ! あとよく見るとこう、
パリ:
食材にまできっちりこだわってて、レシピに使う推奨商品が書いてある。
ナオ:
もちろんこの商品が店内にあるんでしょうね。
パリ:
そういうことでしょう。
ナオ:
左上のラープ・ムーというのは、海外の料理ですか?
パリ:
タイ料理ですね。豚のひき肉を使ったサラダで、酒のつまみ向きなので僕はかなり好きで。だからそこまで珍しいこともないのかもしれないけど、やっぱりそれをスーパーのレシピカードにするか? っていうところが。
ナオ:
なるほど。店先でこのカードを見つけて「今日はラープムーにしよっ!」っていうのはちょっとおもしろい状況ですもんね。
パリ:
人生がほんのり豊かになりますよ。
ナオ:
なるなる。目を閉じてカードを引いて、それで夕飯決めたりしても楽しそう。運まかせで決まる晩ごはん。
パリ:
それ最高!
ナオ:
そう考えたら、オーソドックスなメニューのももらっておいたほうがいいのか。
パリ:
そうですね。残念ながらうちには珍レシピしかないけど……。
ナオ:
ははは。どれ引いても珍。
パリ:
「里芋のとろりんポタージュ」、たまらないでしょう?
ナオ:
とろりん! かわいらしい。「とろーり」ではないところにこだわりを感じる。
パリ:
「とろりん」のあとに「ポ」を持ってくるところが天才。口がもう、自然に言っちゃうもん。
ナオ:
「くるりんぱ」の感じで。
パリ:
ははは。それだ!
ナオ:
たとえばお父さんが仕事から帰ってきて、「今日はとろりんポタージュだぞー!」って言ってきたら子どもたち大喜びしそうです。
パリ:
パパが唯一作れる料理でね。月に一度のとろりんデー。
ナオ:
わが家の名物! いや他のも全部すごいな。餃子の皮でようかん?
パリ:
そうそう。
ナオ:
「何言ってるんだ。落ち着きたまえ!」と言いたくなるような。全体的に「なーんちゃって」感がありますね。ほんのちょっとのひねりが。
パリ:
確かに。技あり! って感じですね。
トマト隠して餅隠さず 〜いなげや〜
パリ:
次はいなげやですが、こっからグッと量が増えます。
ナオ:
もちろん珍レシピを厳選しているのはわかるんですが、もう知らない世界に連れてこられたみたいな気持ちになりますね。
パリ:
チャーリーのチョコレート工場みたいな。よく見るとそこにうなぎが混じってる。つーか、うまいのかもしれないけど、うなぎをマッシュポテトにのせるのはもったいなくない?
ナオ:
思いきりが必要ですね。
パリ:
さっき言ってた、カードの束からパッと引いて夕飯の献立を決めるやつでこれが出たら「あ、あ〜……」って。
ナオ:
見なかったことにしてもう1枚引く。
パリ:
わはは!
ナオ:
いやでも、運良くうなぎが半額だったときにやってみたいかもな。
パリ:
まさかの「ごはんよりポテトじゃん!」という可能性も。
ナオ:
他ももう、味が想像できないものばっかり。「ハヤシライスリメイクビーフストロガノフ風」はこれ、どういうものですか?
パリ:
そもそもビーフストロガノフがよくわかってないんですが、どうやらレトルトのハヤシライスに牛肉や生クリームやサワークリームや白ワインを足すレシピなようです。
ナオ:
かなり凝った味わいになるんでしょうね。
パリ:
いちからビーフストロガノフを作るより、途中の手間がだいぶ減るのかも。
ナオ:
食べてみないことにはもうわからない。「豆腐ソース」も何言ってるのかわからない。
パリ:
見た目もちょっと、オームっぽいし。
ナオ:
はは。この6品が今日の晩ごはんだったらすごいですよ。
パリ:
フルコース。っていうか以降も、そんな画像ばっかりですからね。
パリ:
ハンバーグ&チキンライスプレートを1カードでいくのもすごい。
ナオ:
1000kcalですよほぼ。
パリ:
ははは。ギリギリのところでこらえた。
ナオ:
1000行かないようにちょっとサラダ減らしてるのかも。
パリ:
クイーンズでこのカロリーはないもんな、きっと。
ナオ:
トマトだれ、これもすごいな。
パリ:
トマトだれは、トマトジュース、めんつゆ、オリーブオイル、塩コショウを混ぜるだけだそうです。これは味、気になりますね。うまそう。
ナオ:
トマトジュースにそうめんをつける発想はないもんなー。冷凍餃子の炊き込みごはんも、奇襲って感じ。
パリ:
見た目がすごいっすね。ごはんピザは「お家で作れるかんたんピザ風おやつ」だって。重い。
ナオ:
ははは。これがおやつなんだ。
パリ:
クイーンズと対照的に、食べ盛りのお子さんがいる家庭向けって感じがします。
ナオ:
なるほど、スーパーによって想定している客層が少しずつ違うのかもしれないですね。年齢層とか家族構成とか。
パリ:
スーパーの経営理念が出るんですよね。次もいいですよ。
ナオ:
ぶどうあめ&キウイあめ!
パリ:
なんと材料「ぶどう、キウイ、砂糖」だけ。
ナオ:
いやーこれ、「そのまま食べたらいいじゃん!」って言ってしまいそうになるが、しかしこのひと手間が大事という気もする。
パリ:
「時間が経つとフルーツに含まれている水分で飴が溶けてしまいます」とも書いてあります。
ナオ:
溶けてしまうのかー。がんばって作ったのに。
パリ:
でも子供と作って、あわてて食べて、いい思い出になりそう。
ナオ:
バウムクーヘンも家で作れるんですか!?
パリ:
ホットケーキミックスをベースに作るみたいです。
ナオ:
ほー! すごいわ。
パリ:
でもちょっとすいません、裏面の「作りかた」が長くて読む気になれない……。
ナオ:
ははは。決して簡単なレシピではないんだ。その点、氷コーヒーはまねできそうです。
パリ:
コーヒーを凍らせて、牛乳を入れて、お好みでシロップを入れるだけみたいです。
ナオ:
いいですね! 焼酎を入れて飲みたいな。これはいい。
ナオ:
写真がすごいな。なんか儀式めいたのが多くないですか? サーモンポテトとか。
パリ:
なにか召喚しつつありますね。中央に緑のモヤモヤが発生してる。
ナオ:
ねぎたこは古墳みたいだし。
パリ:
とうふの照り焼きはモノリスとかストーンヘンジっぽいかな。酒という神を敬うという意識ですかね。つーか今、気になっておつまみ3種プレートのレシピを見て見たんですが、「ローストビーフ、生ハム、チーズなどを買ってきて、皿に盛れ」と書いてあります。
ナオ:
ははは。それは、できる。楽なのと大変なのの落差がでかいな。
パリ:
ねぎたこは実は前に作ったんですが、簡単でうまかったっす。
ナオ:
それもお手軽そうですね。写真もあるからこう盛ると威張りがきく! っていうのもわかりやすい。とうふの照り焼きは、下に何が敷いてあるんでしょうか
パリ:
え〜と、豆苗と豚ひき肉を炒めたのだそうです。
ナオ:
えー! すごい。それらが豆腐の下に? これは思いきったな。「豆苗と豚ひき肉炒め」というメニューでじゅうぶんなのにね。
パリ:
うん。いちど作ったそれをあえて引き立て役に。
ナオ:
それで最終、「とうふの照り焼き」と名乗るなんてすごいです。
パリ:
だって豆腐がいちばん安いもんな、このなかで。
ナオ:
いなげやの珍レシピカードはちょっと独特ですね。
パリ:
見た目も思いきって珍なのがポイントかもですね。
パリ:
この洋風おでんとかも、あえてカラフルにしてる節がある。
ナオ:
「せっかくレシピカード作るんだったらこれぐらいやらないと!」みたいな気概を感じますね。
パリ:
ね。でも、さすがに紅白かまぼこはいらなかったんじゃないか? っていう。
ナオ:
ははは。いなげってるなー! メンチカツのコアの部分にプチトマトを入れるなんてこれもまた、いなげってる。中身を知らないで食べたらびっくりしますよね。
パリ:
「えー! 玉子でも、チーズでもなく?」って。
ナオ:
マグマのように熱いプチトマトが。
パリ:
すぐさま横の、トマトとアボカドの冷製スープをすすらないと。
ナオ:
珍しい料理で火傷した舌を珍しい料理で冷やす。
パリ:
あと、「コーンマーボー豆腐」も、説明できないんだけど、なんか良くないすか?
ナオ:
いいですね。コーンマーボーっていう言葉。
パリ:
逆に、語呂が良くない良さみたいなのがありますね。
ナオ:
ははは。そうですね。
パリ:
息つぎするとこがない感じ。
ナオ:
いなげやのレシピカードはリズミカルな語感のよさよりも見た目重視なのかも。
パリ:
ですね。次のラストもいいですよ!
ナオ:
餅入りスープ! これは、「餅入りスープ」っていう名前でいいんだろうか……。
パリ:
この違和感こそがいなげや節!
ナオ:
さらっと「スープ」で済ませてるけど餅を入れそうなスープじゃないぞ。
パリ:
トマト缶ベースみたいです。「イタリアン雑煮」とかのほうが良かったんじゃないか。
ナオ:
「餅入りトマトスープ」だっていいのに。
パリ:
いなげってますね〜。
ナオ:
トマト隠して餅隠さず。
パリ:
餅、隠してないな〜。めっちゃ美味しそうに焼けてますよ!
ナオ:
はは。ここまできれいに焼いてトマトスープに入れるとはね。
パリ:
さて、醤油をつけて海苔で巻くぞ……と思いきや、スープにボチャン!
ナオ:
餅も驚くでしょう。
パリ:
これ、どういう日に食えばいいんだろう?
ナオ:
正月ではないですよね。エイプリルフールかな?
パリ:
はは。食べ終わってから「嘘でした〜」っていう。
ナオ:
嘘ってなに! 食べたのに!
パリ:
「あれ、満腹感が……ない?」。いや、かわいいです。いなげや。
ナオ:
いなげやの個性が伝わってきました。
「♪」と「♡」でルンルン気分 〜ライフ〜
パリ:
そして驚異のお知らせなんですが、このあとのライフパートが最長です。
ナオ:
はは。ここからが本番だったんだ。
ナオ:
一見するとね。
パリ:
なぜピックアップしたのか自分でもわからないほどだ。
ナオ:
でも、ベーコンエッグカップというのは独特な気がします。
パリ:
あ、今調べたら、これはこういう料理があるみたいですね。「型いらず♪」って書いてあるから、そのお手軽版ということかな。ライフのレシピカードは、ほぼすべてのキャッチに「♪」か「!」がつくんですよ。お調子者なんです。
ナオ:
「5分で簡単♪」とか、ルンルンですね。
パリ:
そうなんですよ。肩肘張ってないというか。いなげってない。
ナオ:
はは。いなげってないなー。
パリ:
次からはちょっと個性出てくるかな?
ナオ:
はは。屋台風! わかるようなわからんような。いや、どれもパッと見いなげった感はないんだけど、よくよく考えると「ん?」っていう。
パリ:
そうそう。トマとろビーフとか。
ナオ:
時間差でくる不思議さがありませんか? 「贅沢おもてなし料理♪」だって。ルンルンだなー。今から家に誰か来るんでしょうね。
パリ:
「トマとろビーフでおもてなししよ♪」っていう。
ナオ:
絶対に悪い人じゃないのはわかる。
パリ:
「ごめん、手間どっちゃってトマとろビーフしか用意できなかったんだけど〜」って、ひたすら食う夜。
ナオ:
赤みそ回鍋肉の「コクのある!」って。
パリ:
はは。もう、つけかたが明け方のノリですよね。
ナオ:
とにかく元気さが出したいっていう。そういうところあるよライフは。勢いで押しきるところが。
パリ:
若干、料理の仕上がりにもそんな感じがありますね。
ナオ:
ね。だから最初は勢いで「うんうん」ってうなづくんだけど、そのあとに「うん?」がくるっていう。
パリ:
次からちょっと狂気も増してきますよ。
ナオ:
肉で巻きまくるシリーズ。
パリ:
あまり深く考えないで、しいたけと肉でどんどんいく!
ナオ:
勢いあるなー。
パリ:
豆腐でもいく!
ナオ:
はは。いったん落ち着いて欲しい。「豆腐とツナコーンのもっちり焼き」なんて、ちょっとよくわかんないうえに、「袋で混ぜて♪」ってどういうことだ。
パリ:
作りかた? 食べかた? でも実際、どれもうまそうなんだよな。次もすごいですよ。いや、次すごいな……。
ナオ:
うおーなんだなんだ! オバケばっかりだ。
パリ:
2019年のハロウィンの渋谷みたいな。丸ごとかぼちゃグラタン、インパクト抜群だな! と思ったら、そう書いてある。
ナオ:
はは。この並びでみると、ふたつの鍋もオバケっぽい。
パリ:
そうそう。勝手に並べたのは僕なんですけどね。
ナオ:
しかしハロウィンをこんなにフィーチャーしてるのもライフのテンションならではっていう気がする。なんか頭のなかに料理の作り手が浮かんできますね。ハイテンションで、平野レミさんみたいなイメージ。
パリ:
はは。わかるわ〜。
ナオ:
元気いっぱいで、よく聞くと変なこと言ってたりするあの感じ。
パリ:
なすの牛肉カレー。「とろとろ!」はいいとして「たっぷり!」は、こっちのさじ加減なんじゃないか。そういうのも、レミさんが言ってると思ったら受け入れるしかない。
ナオ:
そうですね。「この料理はね~! なーんたって、たっぷりよ~!」って。
パリ:
ははは。下段の「かわいい♪」連発もいい。
ナオ:
いいわー。ライフのフィルターを通したら、たとえば日清カップヌードルでも「3分でアツアツ♪」「エビがかわいい!」とかなんでも言えますもんね。
パリ:
理想の世界だな〜。ライフのカード楽しいですね。
パリ:
とうとう「♡」が登場しましたよ!
ナオ:
本当だ。「ほろ苦おいしい♡」。「炊飯器で作る♪」っていう。そのポイントにルンルンできるのがライフだわ。「これ、炊飯器で作ったのよ~」って。
パリ:
こっちも自然と「え? 炊飯器で♪」っていうノリになっちゃう。
ナオ:
誰からも愛される感じがありますよね。
パリ:
あとやっぱ、下段のスイカゾーンですよね。家にあるいちばん丸っこいコップを棚の奥から引っぱりだしてきた感じ。憎めない。
ナオ:
糀甘酒スイカフローズンなんかもう、誰が喜ぶんだろうっていう。
パリ:
ははは! 強いて言えば、おばあちゃんですよね。
ナオ:
でもさ、こういうことをしようとする気持ちが日常を明るくしますよ。
パリ:
ほんとです。
ナオ:
種を表現しているのはタピオカですか?
パリ:
チョコチップだそうです。
ナオ:
へー、凝ってるなー。
パリ:
これもまた、読む気にならないくらい長いレシピと、膨大な材料が必要。キウイも使うんだって。スイカも、両方むいて、種をとって、スムージーにして、麹甘酒、ホイップクリーム、ヨーグルト。たくさん使うな〜
ナオ:
大変だ! これを楽しめる人に私はなりたい。
パリ:
ですねー。
パリ:
りんごとクリームチーズの生ハム巻きは、普通に味が気になります。ブロッコリースプラウトと巻くそうで。
ナオ:
ほー、これは味が想像できない。柿と生ハムも。
パリ:
柿と生ハムは、チーズなんかと合わせたことあるなぁ。柿ってクセがないから料理にけっこう合うんですよね。
ナオ:
そうなんですね。
パリ:
下段でも使ってるわ。
ナオ:
本当だ。にんじんと柿のヨーグルトサラダかー。
パリ:
想像つかないけど、レシピにするくらいだからきっと美味しいんでしょう。で、実はラストが問題作なんですよ。
ナオ:
あらー、さっきは肉で巻きまくってたけど、今度は執拗にちくわで!
パリ:
ちくわでBLT巻きのキャッチ、優勝じゃないです? 大声で素材を言ってるだけ。
ナオ:
はは。「ベーコン! レタス! ちくわ!」。ライフ感、ここに極まれり。というかこれだと正しくは、「てぃくわ」ですよね。
パリ:
はは。「TIKUWA」。そこも勢いで乗りきってる。これ、完全の完全に名前先行ですよね。うまいんだろうか。うまいかそりゃ。
ナオ:
いや、これはうまそう。歯ごたえもよさそうだし。
パリ:
いや〜圧倒された。最初は、いなげきってないライフはちょっと部が悪いかと思ったけど、すごかったですね。たたみかけが。
ナオ:
レシピカードには、それぞれのスーパーの個性が出てきますね。
パリ:
ほんとです。ここまでとは。個人的にはライフにいちばんよく行くんですけど、もっと好きになった。
ナオ:
いなげやもよかったですよー。
パリ:
うん。どこもよかったです。だって、「豚さつま」のこともお忘れじゃないですよね?
ナオ:
そうだった! まなマートのね。
パリ:
「野菜たっぷり! いろどり酢鶏」の西友に、「里芋のとろりんポタージュ」のクイーンズ。どれもこれも素晴らしい。
ナオ:
本当ですね。ふり返ると色々あった。
実際に珍レシピを作ってみる
パリ:
最後に、このなかからそれぞれ特に気になったものを選んで、2品作ってみましょうよ
ナオ:
迷うなー!
パリ:
やはりBLTは作らざるをえないですかね。
ナオ:
ですねー。それと夏らしく、簡単そうで味も気になるトマトそうめんいってみます?
パリ:
そうしましょうか!
ナオ:
どうでしたか?
パリ:
まず、トマトそうめんが衝撃的な美味しさでした。
ナオ:
ね! めちゃくちゃ美味しい。夏の間何度もやりそうだ。
パリ:
普通のめんつゆに飽きてきたころに最高ですね。オリーブオイルをけっこう使うから、コクがあって濃厚で、すごいごちそう感がある。
ナオ:
生ハム、ルッコラ、コーンがまたよく合った。
パリ:
すみません、僕は手を抜いて、コーンしか入れなかったんですが……。
ナオ:
もちろん素でも美味しいですし。
パリ:
しかも、麺とつゆを別々に用意するんじゃなくてぶっかけスタイルで食べてしまったんですが、むしろ食べやすかった。
ナオ:
あー、ほんとですね! そのほうがいい。もはや冷製パスタですね
パリ:
まさに!
ナオ:
麺つゆとトマトジュースがあんなにあうとはなー。しかもめちゃくちゃ簡単だし!
パリ:
もう今、また食いたいもん。対するちくわBLT、けっこう作るのが大変なのも笑いました。ベーコンも、まさか炒めなきゃいけないとは思ってなくて。
ナオ:
ね! 予想外の手間なんですよね。具がほんの少ししか巻けない。
パリ:
切りこみを入れて開いたちくわの上にのせた熱々のベーコンを左手で抑えつつ、千切りレタスを挟んでいこうとするんだけど、ちくわがぷりんぷりん戻ろうとするから、めっちゃ難易度高い。
ナオ:
途中で、もうこのまま食っちまうか、と思いませんでした?
パリ:
そうそう! ぜんぶざく切りにして、混ぜて食っちゃえば早いのにって。
ナオ:
うまそう! でも、巻いた時の味とか食感は好きでした。
パリ:
ね。苦労したかいはありました。
ナオ:
チリソースとかつけても合いそう。
パリ:
ですね! とか、スライスチーズも1枚挟んだり。
ナオ:
あー、いいですね! さらに難易度あがるけど。
パリ:
ははは。
それぞれのレシピがWEB上でも参照可能だったのでご興味があれば。
「ちくわでBLT巻き」
「トマトだれの洋風そうめん」
小見出し
パリ:
自分で買う料理本とか検索するレシピと違って、ランダム感がおもしろいですよね、レシピカードって。
ナオ:
そうですね。同じスーパーのなかでもけっこうばらばらなレシピがあって、そこがおもしろいです!
パリ:
何より、生活のなかにちょっとした楽しみが増えるのがいい。
ナオ:
レシピカードの楽しみがわかりました! ポケモンカードみたいに、その日の夕飯に1品召喚するみたいな。
パリ:
そのうち、集めたカードを見せ合う会とか、レシピカードバトルとかできたら楽しそうですね〜。
ナオ:
デッキを組んでね。
パリ:
コース料理で。
ナオ:
楽しみかたが色々ありそうです!
パリ:
ですね!
パリッコがレシピカードの魅力に気づいたエピソードも収録されている、新しいエッセイ集『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』は、7/2発売です!
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