先日、デイリーポータルZライターの3ykさんの企画撮影に参加させていただいた。
そのとき3ykさんが「気軽に花束を作って、人に渡せたらいいのにな……」と呟いていた。「お花屋さんで買った花束をバラすと、構造が二度とわからなくなるから、自分で再現できない」とも。
同じような相談を以前に何度か受けたことがある。世の中には、「小さい花束を作って気軽に人に贈りたい」というなんとも優しい人々がいるようだ。
筆者は元花屋だが、少量の花を束ねて軽くラッピングするだけなら、そこまで難しくはない。
仕組みさえ分かればすぐに練習できるし、特別な道具といえば必要なのは花鋏くらいだ。
今回はその手法を伝授しよう。
花屋が花束を作るとき何をしているかというと、ざっくり下記の4段階に分かれている。
②いい感じの長さに切る
③枯れないように処理する
④紙で巻いて縛る
そして、必要な材料は下記の8つだ。
・花鋏
・クッキングペーパー
・小さいポリ袋(丈夫なもの)
・セロハンテープ
・麻紐か輪ゴム
・なんかいい感じの紙
・ちょっといい感じの紐やリボン
それでは花束をはじめよう。
①花を調達する
「花屋でどれを買ったらいいか分からない」という声もよく耳にするが、正直なにを買ったって構わない。その選択を否定できる人間はいないし、正解もない。
選べない時は予算と希望の色味だけ伝えて店員さんに選んでもらうと良い(1,500円もあればちょっとした束にできる)。
「野花や庭木を花束にしてみたい」なんてオシャレな話もたまに聞くが、相当な園芸好きでない限り、花屋やスーパーなどで花を買うことを強くおすすめする。
野花の中には一度茎を断つと二度と水を吸ってくれなくなるようなものがあるのと、そもそも公園などでは、公式には草花を摘んではいけないところがほとんどだからだ。
市販の切り花は、「切られた状態でもしばらくイケる」という約束の元に成り立っている。
②いい感じの長さに切る
小さい花束のアドバンテージは、「花材を切り分けて増やせるから、用意する本数が少なくてもボリュームが出る」ことだ。逆に大きい花束だと、そのぶんの本数をまかなうために高額になる。
人はでかい花から目がいくようにできているので、メインとなる花がどーんと真ん中にあると、他がビシッと決まらなくてもなんかいい感じに見える。
花の周りに紙が巻かれているだけでも花束感がアップするからここの出来には拘泥しないほうがいい。花はずっと持っていると人の手の熱でしなしなになってくるからだ(しなしなの花束は「頑張って作ってくれたんだな……」というLOVE感こそあるものの、花からしたらたまったものではないだろうから、作成中もできるだけ長い時間水につけておくことを意識しよう)。