特集 2023年2月23日

ちいさい花束づくりの手引き書

③枯れないように処理する

誰かに花束をあげるとき、多くの場合は外に持ち出さなければならないだろう。花は水につけていないとたちまち枯れる。ここからは、花屋で言う「保水」のパートだ。

IMG_7108.jpg
ここで登場するのがポリ袋、クッキングペーパー、そしてセロハンテープ。クッキングペーパーはちょっと奮発して分厚いものを買っておくと良い。
IMG_7109.jpg
まずはクッキングペーパーを折りたたんで、茎の先端をはさむ。
IMG_7112.jpg
そのままペーパーをぐるぐる巻く。
IMG_7116.jpg
クッキングペーパーをたっぷり水で濡らしたら、いい感じのサイズに切ったポリ袋に入れて……
IMG_7117.jpg
口をセロハンテープでとめる。

ここからの作業は、花を逆さまにしないように注意が必要になる。並行を超えるととたんに水が漏れ出すからだ。

花屋で花束を買った際、「お花が上を向くように持ってくださいね」と言われることがあるが、それは「もし逆さにした場合、どうなっても知りませんからね」という意味だ。送別会シーズンなどで、花束を逆さにして持ち歩いている人を見るたびに「ラッピングペーパーと靴がびしゃびしゃになりますよ!!!」と思う(最近の花屋さんは水でなく保水ゼリーを入れてくれることが多いが、それでも濡れるときは濡れる)。

いったん広告です

④紙で巻いて縛る

IMG_7101.jpg
保水ができたのでラッピングのターン。ラッピングペーパーだが、今回は(さっきから下に敷いていた)これを使う。

そんなんでいいの!?と思われるかもしれないが、こんなんでいいのだ。
筆者宅の最寄り花屋は青山フラワーマーケットだが、切花を購入するとクラフトペーパーに包んで渡してくれる。クラフトペーパーは、多少シワがあっても「そういうオシャレなテクスチャかな?」という雰囲気になるし、捨てずにとっておくと役に立つ。

IMG_7103.jpg
筆者オリジナルのラッピング方法。まずは幅20cm、長さは50~60 ​​​​cmくらいの長方形に切り出し……
IMG_7106.jpg
こういうV字に折り畳む。
IMG_7123.jpg
先ほどの花束をおくるみにしたら、
IMG_7124.jpg
紐で縛ったあたりを握る。きれいに巻き包むのではなく、ぐしゃっと潰すように握るのがペーパーをふんわりさせるポイントだ。 ​​​​
IMG_7128.jpg
握ったところに紐やリボンを巻いたら完成。
IMG_7126.jpg
先端がちょっと見えているが、運搬中にここを見ると水の残量がわかる(バラやチューリップなどはとにかく大量の水を吸うので、移動時間が長いときは気をつけて見てあげよう)。中身が見えたくないと​​​いう方は、そのぶんラッピングペーパーを長くとれば良い。
IMG_7125.jpg
このあたりが寂しいな……と感じたときは、メッセージカードのようないい感じのメモ帳などを貼り付けるとさらに「らしく」なる。 ​​​​​​
DSC_5782.jpg
そんなわけで、完成した花束がこちら。「ちょっと人に渡したい」くらいのときに、ぴったりのサイズ感ではないだろうか。

ポイントはメインになる大きめの花、小花、そして葉っぱという布陣だ。
渡された人は、まずメインの花を見て「この花がいいと思って選んでくれたんだな」と思い、周りの小花と葉っぱを目にして「束にしてくれたんだな」と思い、最後にラッピングを見て「包んでくれたんだな」と思う。花束の仕事のほとんどは視線誘導だ。

IMG_7130.jpg
たびたびの注意になり恐縮だが、中に入っているのはたっぷりの水である。運ぶときも立てた状態で紙袋などに入れて、手を離すときは何か枕になるものを置いておこう(ちょうどいい枕が箱ティッシュしかなかったときの写真で今回はおわかれです)。

 

おまけ

実は、今回の花束のメインはこちらのバラになる予定だった。

DSC_5434.jpg
「紅華美」という新しい品種のバラで、花びらの形が特徴的だ。

渋谷の花屋さんで見つけて、「いい〜」と思い買ったのだが、いざ花束にしようと思ったらこのようになってしまっていた。

IMG_7054.jpg
しおしお……

このタイプのバラは水下りや乾燥に弱いような気がする(筆者の技量が足りないだけの可能性は大いにある)。あらかじめ茎を短めに切って、葉も落としていたのだがダメだった。

IMG_7055.jpg
こんなときは、紙でぎゅっと巻いて切り口を鋭角に切り戻し、深めの水につけておく。

バラがしおれそうだったり、あまりに早く開いてしまいそうなときに花屋がよくやる手法だ。ベテランの先輩が「ちょっと花がかわそうだなと思うくらいにキツく巻くのがコツ」と言っていた。

バラが経過観察中のため、自宅にいたラナンキュラスに代打で登場してもらったが、容体は一応順調そうである。どうか回復をお祈りしていてほしい。

 

<もどる ▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ