特集 2019年6月17日

千葉には赤門が、ランドロームが、オランダ家が、ボンメゾンがある!

「赤門」のランチセットの肉の輝きよ

あなたは焼き肉の赤門を、スーパーのランドロームを、お菓子のオランダ屋を、雑貨のボンメゾンを、そしてパンのピーターパンを知っているだろうか。

すべて、千葉を中心に展開するすばらしきチェーン店だ。

東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:自分流、わたし流、おうち流…洗濯機がメーカーを横断して落合だった

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

千葉のローカルチェーンをこんなにも知らないとは

千葉県に生まれ育って大人になり、今も千葉で暮らし、千葉で働いている、そんな方々に会う機会があった。

ふと、

「そういえば『赤門』って知ってますか?」

と聞かれたのだ。

「赤門……。東大のやつですか……? 」

すると「やっぱり知らないんだ!」と驚きをあらたにした様子。

かれらの言う赤門は千葉で11店舗を展開する焼き肉チェーンのことなんだそうだ。

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堂々たるたたずまい。「定食の日」ののぼりもかっこいい

「千葉では有名なのに私たちしか知らないな…って思ってたんですよ……」という。

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このようなボックスシートや座敷が多いのが特徴。「『牛角』よりもファミリー向けの感じが強い」とのこと

東京で生まれ神奈川と埼玉で育ち、いまは東京で暮らす私はまったく知らなった。

東京住みとして身近に感じていた千葉だが、そうか千葉にしかない店のことを、まるで知らないのだな……。

そうしてお願いしてさらに千葉県を中心に展開するチェーン店を洗い出してもらったのがこちらだ。

・マロンド(パン屋)
・ピーターパン(パン屋)
・赤門(焼肉屋)
・ナリタヤ(スーパー)
・ランドローム(スーパー)
・ボンメゾン(雑貨屋)
・オランダ家(お土産菓子屋)
・房の駅(お土産もの屋)
・今日和(パスタ屋)
※ちなみに上記は勝田台、八千代近辺で回れるところをピックアップしてもらったもので、千葉のローカルチェーンはまだまだあるそうだ……!

……知らない!

すごい、すごい勢いで全部知らない。

千葉発のチェーンといえばみんな大好き「サイゼリヤ」があるが、千葉内中心で力を発揮しているチェーンがこんなにあるとは。

大漁だー! みたいな意味での「知らない!」だった。

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赤門、ランドローム、ボンメゾン、オランダ家、ピーターパンをめぐります

日を改めて千葉の勝田台にやってきた。

リストアップしてもらったなかから時間との兼ね合いをみつつ赤門、ランドローム、ボンメゾン、オランダ家、ピーターパンの5軒をめぐることに。

千葉の都心部に住む方にとっては「普通の休みの日」みたいな記事かと思うが、県外民としては本当に最初から最後まで興奮しきりだった。

写真中心でさくさくと紹介してまいりましょう。

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タレをご案内する信頼の焼き肉チェーン

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一発目は話の発端にもなった「赤門」。駐車場にいきなり興奮材料が! お昼前に行くとランチが激安だ。
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タレのチョイスが異常に多い。「タレのご案内」、ご案内界でも屈指のご案内では(興奮で日本語よくわからなくなってますね)
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11:00~11:30までの情熱ランチには間に合わなかったので通常のランチから、赤門ランチをいただきます。ちなみにランチは17時までやってるそう
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赤門ランチ1290円……肉、200グラムあるそうです……
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前述の千葉の方によると、ちょっとしたお祝いなんかで来るそう。「こないだ甥っ子の誕生日に来ました」とのことで、なるほどわかりやすく祝いの日だ
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そしてランチでも十分良い日ですよこれは。ライスはお替り無料で五穀米にもできる
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デザートで千葉推し
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怒涛のタレ棚には小梅もあるという急な喜び
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なんでもいいけどメニューのでかさ!

地元勢の話によると、こちらのチェーンはエモーショナルに顧客を大事にする社風だそうで、ポイントカードに申し込むと手書きのお礼状が来たこともあったそうだ(かなり前の話)。

肉だけですでに十分エモい思いはさせてもらったが……。これは近くにあるのが羨ましい……。

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健康スーパーというジャンル

続いてはスーパーマーケットのランドローム。

ローカルスーパーというのはそれこそ各地にたくさんあって追いきれない文化だ。

千葉でも車で走ると次から次へと「おどや」や「ヤックス」など県外人にはみたことのないスーパーが現れる。

今回行ってみたのはランドローム。おしゃれだが聞き覚えのない店名にうっとりする。こちらは千葉に18店舗、茨城にも3店舗がある。一大勢力だ。

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有識者によるとポイントカードがないのが特徴らしい
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ポイントカードがない代わりに、レシートが割引のキーになる。

健康食材の取り扱いや子ども向けの食育イベントなどに力をいれているスーパーなのだそうだ。

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たしかに野菜がかなり安かった……!

ネットで検索すると「接客サービス日本一を目指している健康スーパー」と出た。

健康ランドみたいなかんじで「健康スーパー」なるほど、スーパーとしてそういう立ち方があったか。

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ボンメゾンには「それどこで売ってるの」のすべてがある

続いて、ここはぜひ行ってほしいと強い推薦をいただいたボンメゾン。雑貨のお店だ。

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チェーン店というよりも個人経営のお店のよう

チェーン店というと、食べ物の店やスーパー、ドラッグストアが思いうかぶが、そうか、雑貨のチェーン店というのも世の中にはある。

「うちの母が季節の変わり目にちょっとバッグを見に行くんです。そういう店です」

と言われて、どういうことかと思ったが入ってすぐに感動に打ち震えた。

みなさん、ここはすごい店ですよ!

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シンプルなのぼりが。つべこべ書かずとも「ボンメゾン」と書いてあればみんな来るのだ

どういう店かというと、少女のための店である。 性別年齢問わず少女の心を持つすべての人に訴えるお店だ。

すべての人といいながら、おそらくこの店でもっとも輝くのは私のような中年以上ではないか。

それくらいの世代が少女の心で来るお店という印象を受けた。

アームカバー、ガーデニングに使うカエルの置物、かわいい柄ののれん、便利でちょっと工夫のあるおろし金、レースの敷物、小さいハンカチ、花柄のパジャマ、バラの形のクッション、季節の柄の一筆箋……。

※アームカバーというのはこういうのですな

いわゆる「フルフェイスのサンバイザー」に代表される、おばちゃんが持ってる「それどこに売ってんの?」のすべてがこの店にあるといっていい。

答えはここにあったのだ。千葉のボンメゾンに。

千葉に19店舗、茨城に4店舗ある。

中年以上の世代の少女っぽい持ち物対して「あれどこで売ってるんだろう?」と思ったことのある方は絶対に行ってほしい。

必ず、ある。

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辞める時にくばるお菓子はここで買う

続いてはお菓子のオランダ家。

「千葉房総の郷土菓子を扱う」とうたうまさに千葉のお菓子屋さんだ。県内に40店舗以上ある。すごい勢力だ。

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店舗のほとんどが駐車場を持つ路面店

どういうお菓子屋かというと「辞める時に配るお菓子を買う店です」だそうだ。ああ~~! 県外の者にも一瞬でその立ち位置がわかる。

行ってみると洋菓子も和菓子もぬかりなく扱われ、誕生日ケーキから1歳のお祝いの一升餅も売っていた。

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目移りしながらお菓子を選んでいたら季節限定の若桃大福の試食が。わーい!
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素材として落花生、サツマイモ、カボチャ、イチゴなど千葉県の名産を使っているものがたくさんある。聞くと手土産もここで買うことが多いそうだ
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地元勢に勧められた落花生パイ。落花生の餡がおいしいし千葉を感じてありがたいしこれはいいわ~~
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LINEでお店の公式アカウントを登録したら落花生最中がもらえた。さすが千葉、顧客と店舗の契りの証が落花生だ
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袋のフランス語が気になって翻訳サイトにかけてみたところ「地元の職人として情熱をこめたケーキです。 あなたの満足は私たちの幸せです」的な訳が出ました。地元愛!

パン屋がハイテンションってどういうことだ

最後はベーカリーのピーターパン。

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なんか、でかい

でかい。これ、パン屋だ。

県内に9店舗あり、ほとんどがこんな感じとのこと。

しかもでかいうえに店内はものすごく盛り上がっていた。

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水車とブランコがある。ベンチがあってみんな腰かけてパンを食べコーヒーを飲んでいる

行ったのは平日の夕方前。可処分時間がある人が多い時間帯とは言えないはずだが店内は大混雑だった。すごい人気だ。

店員さんもたくさんいても活気がある。

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店頭ボードのテンションも高い

どのパンにも盛り上がった内容のポップがついていた。メロンパンは販売個数で世界記録を達成したと書いてある。

カレーパンや塩バターロールはどっさり積んであってばんばんみんなが買っていく。

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で、我も我もの勢いに乗って買いましたな。メロンパンはお分かりだろうか、耳がついているのだ!

おいしいパンの食べ方だったり今月のおすすめだったり、あと店員さんの一言コーナーが載っていたり、フリーペーパー類もたくさん配っていた。

パン作りに使っている卵が売っているかと思えば、コッペパンにバターやいろいろなクリームをはさむ付食のコーナーもある。

とにかくにぎやか。1軒だけで年末のアメ横くらい元気がいい。

パン屋として「ハイテンション」という方向性があるとは。

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そして、パンを買うとカップがもらえ、入り口のサーバーでコーヒーのサービスが受けられる……!

千葉の方によると「休みの日はここでパンを買って、コーヒーもらって、で外のベンチで食べて子どもはブランコで遊んだりするんです」とのこと。

完璧だ。

今日はランチに焼き肉を食べて、スーパーに行って、雑貨をみて、お土産のお菓子と明日のパンを買った。

このあたりに住んだら本当にこうやって暮らすんだろう。千葉のチェーンを回っただけのつもりだったけど、知らない誰かの良い休日を追体験したかのようだ。

これはたまらない。


さてはこれ、旅行だな?

旅行があまり得意ではなくあまりあちこち行ったことがない。

しかし今回のこれ、これこそが旅行じゃないか。なにもかも珍しかったしめちゃめちゃに楽しかった、興奮した。

旅行ってこうすればよかったんだ。そう思うと全国行くべきところがとんでもなくたくさんある。千葉だけでもまだまだ足りてない。

とりあえず、近く今回まわりきれなかったパスタの今日和に行ってみよう。

店名、「こんにちわ」と読むのだそうだ。なるほど!

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