チャーシュー麺を避けてきた人生だった
僕は染みったれた金銭感覚をしており、財布の中身に関係なくコストパフォーマンスを気にしてしまう癖があります。
財布に2万円あろうと3万円あろうと、100円200円の違いが気になってしまうという性格です。タイニー・アスホール。
良くないと思いつつ、子供の頃からの癖なのでどうしても抜けません。子供が細かいケチをしたとき、節約が出来てエライと褒めてはいけません。チャーシュー麺を食べられない大人になります。
この性格で考えると、チャーシュー麺はいかにもコストパフォーマンスが悪いと感じるのです。
例えばラーメンが500円だとしたら、たいていチャーシュー麺は800円~1000円くらいします。肉が数枚多く乗っているだけでその価格差は受け入れがたいものがありました。
トッピングは贅沢。贅沢は敵だ。オマエ、テキカ?
チャーシューを増やすくらいなら餃子とか麺大盛りとか、食べごたえがあるものを増やしたいと思いませんか。思うんです(デブの発想)。だからチャーシュー麺を選んだことは、おそらく人生の中で一度もありません。
いっそ、チャーシュー麺なんていうものがメニューから消えてしまえばいいという、怒りに近い感情すら抱いていました。ブルジョワめ。
つくづく、ケチくさい人生を送ってきました。
家でラーメンを食べると事情が変わる
4月ころからのステイホームな世界観では、一時的に外食でラーメンを食べるのもはばかられる時期があり、家でチルドのラーメンを作って食べることがありました。家ラーメンです。
いろんなチルドラーメンがありますが、特にアイランド食品の銘店伝説シリーズは良いものです。
銘店伝説シリーズは有名店のラーメンを再現したもので、麺とスープがセットになっています。具は付いていないので、チャーシューは真空パックのやつを使っていました。
そんなに高いものもないので、1回の家ラーメンで2枚使用。
数パックを消費したところで、チャーシューを自作しようという機運が高まりました。もっとチャーシュー載せたいし、自作すればチャーシュー食べ放題…。
チャーシューってあまり作ったことないけど、適当に豚バラの塊を焼いたり煮たりしたらチャーシューっぽいものが出現しました。
家チャーシュー麺の夜明け
なんとなく作ってみたチャーシューですが、以降の麺ライフが激変しました。だって、チャーシューが無限にある……(※)。
※…自明ですが無限にはありません。気分の問題です。
チャーシューが1枚か2枚の世界ではいきなりチャーシューを食べたりしません。麺を中心に食べ進め、最後の方でチャーシューと麺を共に食べていくというスタイルでした。
でもこれだけチャーシューがあると序盤から手を出して、それでもなお最後まで残ります。むしろ余る。すごい。チャーシュー麺すごい。
チャーシュー麺って良くない?すごく良くない?良いよね?もしかしてみんな知ってた?だからメニューに載ってんの?みんな食べてた?え?食べてたの?僕もそういう大人に育ちたかった…。
チャーシュー産業革命の勃興
チャーシュー良いね、家で作ると無限に食えるね、という気づきを得て、更にチャーシューを作ることにしました。もっとチャーシュー麺食べたい。
肉のハナマサで豚肉を1kg弱購入。
これをチャーシューにしていくわけですが、作り方はインターネットでいくらでも紹介されているので検索するとよいです。
『チャーシュー 作り方 簡単』で検索
僕は料理の作り方を出来るだけ検索せず勘で作ることにしています。インターネットは生活の効率をあげますが、効率の良さと楽しさは別です。効率だけを追い求めるとチャーシュー麺を食べられない人間になってしまいます。レビューサイトとか、人生がつまんなくなるから見るのやめたほうがいいよ。
肉の表面を焼くことで旨味を閉じこめるという説があります。でもそれはおそらく都市伝説なので、雰囲気作りと茶色を付けるためだけに焼きます。チャーシューなので少しは焼いておこう的な。
肉の塊は盛り上がります。一人で調理しててもテンションが上ってきます。こんな楽しい食材が1000円で買えるのすごくないですか。
幸せになりたければ壺や印鑑や魔法石ではなく肉塊に課金してください。
ネギの青いところとか生姜とか野菜を入れて煮込むと肉の臭みが抜けるっぽい雰囲気があるので、その様に進めていきます。
鍋(シャトルシェフ)に水と野菜と肉を投入。 なお、フライパンに付いた美味しい焦げは水で溶かして鍋に入れてあります。
煮立ったらシャトルシェフ。 シャトルシェフは人類を救う調理器具です。『シャトルシェフで肉を煮れば人類は救われる』
ここでいったん子猫の頃コロチャーと呼ばれていた猫の寝姿をご覧ください。
肉塊は、醤油、みりん、酒、砂糖を適当に混ぜて煮詰めたタレに漬け込みました。これが正しいのかは知りません。
寝る前に冷蔵庫に入れて翌朝。
チャーシュー入刀。
いつでもためらわずにチャーシュー麺
チャーシューがしまわれた冷蔵庫から幸せのオーラを感じます。体内コンパスが常に冷蔵庫を指してる感じ、わかります?
こうしてチャーシューがたくさんできてしまうと、もはやチャーシュー麺に躊躇はありません。気持ち的には大富豪です。ふごー!!
家ラーメンにおけるチャーシュートッピングは無料です。アンリミテッド・厚切りチャーシュー。僕はキメ顔でそう言った。
気持ちのゆとりがすごい。1000円程度の肉塊から発せられるゆとりとは思えません。やっぱ課金するなら肉塊です。肉のハナマサは業務用スーパーというより、肉の延べ棒を溜め込んだ肉銀行です。
カップ麺だってチャーシュー麺
無限にチャーシューがあるとき、家でカップ麺を食べるときどうしますか?
当然チャーシュー麺にしますよね。
カップ麺は栄養成分的にタンパク質が足らないので、肉を足すのはとても良いことだからチャーシューをどれだけ載せても無罪。
カップヌードル・ゴロチャー
カップヌードルの具がコロチャーになった時期がありましたね。ということはカップヌードルにチャーシューはアリってことです。
カップヌードルにいろいろチョイ足しする文化がありますが、最強はチャーシュードカ足しです。
コロチャーを越えた存在感あるチャーシュー。これはもうゴロチャーと言えましょう(雑な伏線と回収)。
ラーメン系だけではなく、赤いきつねにチャーシューもアリです。だって、肉うどんってあるし。
チャーシュー麺と和解する日が来た
家でのチャーシュー食べ放題によりチャーシュー麺の良さを知ったので、お店でもチャーシュー麺を食べてみようと思いました。近所の中華屋さんに出かけて着席と同時にチャーシュー麺を注文。
10分ほどで着丼。
まずチャーシュー。ラーメンの場合はいきなりチャーシューってあり得ないけどチャーシュー麺ならアリ。大アリ。主人がオオアリクイに食べられちゃうよりアリです。
チャーシュー、麺、チャーシュー、チャーシュー、麺くらいのペースでちょうどいい感じです。すごい。やっぱチャーシュー麺はすごい。
チャーシュー麺は良いものでした。これからはたまに食べていこうと思います。
もっと若い頃にこの良さに気づけていれば、チャーシュー麺に餃子と半チャーハンを付けても余裕だったのにという後悔もあります。チャーシュー麺を食べられる20代でいたかった。
ゴロチャーとの和解は無理そう
ところで、我が家のゴロチャー、じゃんけん氏は僕より妻になついており、8年ほど一緒に暮らしているのに一向に和解できそうにありません。
チャーシューにしたろか…と、いつも思っています。
あとがきと解説
チャーシュー麺を通して何を言いたかったかと言うと、コストパフォーマンスとか効率とか、そういうつまんない事を考えすぎるとつまんない大人になってしまうということだ。
チャーシュー麺を食べたかったら値段の差とか考えずに食べればいいし、餃子も食べたかったら餃子も食べればいい。どの店に入ろうかって、いちいちレビューサイトなんか見てたら出会えない店もあるし、他の人が不味いと思っても自分にとって最高の店もあったりする。
他人が酷評したアニメ、評判が悪いゲームだって、ちゃんと見たら最高かもしれないし神ゲーかもしれない。評価に惑わされず自分で体験するのが大事です。
効率ばっか追い求めるとつまんない人生になるぞな、という事をアルムのもみの木みたいに、チャーシューが教えてくれました。ホントかよ。