説明は後でする
細かい説明はあとでするので、まずは肉を見てください。どうですか、豚肉です。
僕が好きなのはあばら肉で、白い軟骨が混ざっています。
安くておいしいとこ。アバラ軟骨。
軟骨のアップです。ちょっと焼いたくらいじゃ食べられません。軟骨がゴリンゴリンで、ロウソクを食べてる様な食感です。
煮込まないと食べられません。逆に言えば、煮込めばとてもおいしい。
表面を焼きます。うま味を閉じこめるとかそういう効果は特にありませんが茶色はおいしそうなので茶色くします。そういう儀式です。
香りもおいしそうになります。積極的にメイラード反応させましょう。
適当に焼いたらシャトルシェフにぶち込みます。あとあと面倒なのでここで味もつけてしまいます。
だしの素、醤油、みりん、酒、味噌などを好きなように入れます。味付けはその場のノリです。
煮込むとアクが出ますがもったいないので取りません。アクだって豚の一部です。
はい、出来ました
上の状態から15分ほど火にかけ、のち、シャトルシェフに格納して8時間保温調理、のち、沸騰させてまた格納一晩、のち、沸騰、みたいなことを繰り返します。
再加熱の時以外は放っておけるので楽です。
加熱と保温を繰り返すなかで肉がおいしく育っていきます。
そして頃合いを見て食べます。
二日くらい経ってるやつ。早すぎると軟骨が固い。
軟骨はもはやゼリーか餅と化し、トロトロになります。なんの抵抗もなく歯が通り、むしろ舌で噛める。そういう豚肉。
徐々に柔らかくなるので、大体翌日には食べ始め、全部食べ終わるころには肉が餅になります。
味に飽きてきたら適当な根菜などを入れておくと風味が変わってよいものになります。
ネギとごぼうを入れた状態で加熱し、格納保温。
汁が残ったら次の肉のために取っておきます。シャトルシェフ購入以来継ぎ足し継ぎ足ししてきた秘伝のタレです。
この汁には豚のうま味が溶け込んでいるのでラーメンのスープに使うと絶品です。
はい、肉と野菜です。完全食。
紹介します、これがシャトルシェフです
かわいいですね。赤い胴体と黒い蓋、なんだかミッキーマウスの様ですが鍋です。
ミッキーカラーでかわいい。
シャトルシェフとは?
前のページでも書いたけど、鍋サイズの魔法瓶、それがシャトルシェフです。魔法瓶でおなじみ、サーモス(テルモスと言う人もいる)の製品です。
最初のモデルが発売されたのは1990年、もう30年近い歴史があります。
ずっと欲しかったので買った。
真空断熱の外鍋に内鍋を格納
外側の鍋が真空断熱になっていて、そこに内鍋を格納して保温します。蓋は真空じゃないっぽいけど断熱材が入っています。
保温すれば煮込まれるのでガスや電気の節約になってエコだし、うっかり焦がして不幸な炭を作らずにすみます。エコエコな鍋です。
火にかけるのは内鍋だけ。
最近のはかわいくて安い
10年以上前ですかね、シャトルシェフの事を知って、欲しいと思ったんだけど値段が高くてデザインも武骨だったのであきらめました。
あれから何年たったか、ふとAmazonを見れば可愛くて6,000円ちょい(大きさは2.8リットル)。
安いと思ったので速攻で買ったら、速攻で届きました。ありがとうございます。
全体としてはこうなってます。右の鍋を左の鍋に入れて保温する。
たとえばヨーグルト
保温が得意ってことはこういうものも作れるはず、ってことでヨーグルトを作ってみることにしました。
煮込みばかりでは記事の展開性に乏しいのでこういうこともしておきます。
用意するのはヨーグルトと牛乳。
ヨーグルトは簡単に増やせるのです。
手とか道具は消毒します。じゃないと毒を量産することになるので危険です。腐敗と発酵は紙一重(というか人間の主観による)。
鍋に牛乳をだばー。
種になるヨーグルトを投入。
混ぜて火にかけ、42℃にします。
温度計でちゃんと計ります。高すぎても低すぎてもいけない、42℃。
出窓に置いてカーテンを閉めたらやんごとない感じになりました。よい物っぽい。
あとは待つだけ。ただ保温すればヨーグルトになります。すばらしい。
出来た。
ちゃんとできた
適当にやってみたけど出来ました。スプーンですくって食べてみると、ちゃんとしっかりヨーグルトになってます。
固まった。うむ、便利である。
電気式のヨーグルトメーカーもあるけど、シャトルシェフは保温だけで温度をキープするのが良いですな。
ジャムを混ぜたりして、おいしい。
ジャムのふたに『2011.09.25』って書いてあるけど、今が何年かよくわからないので気にしないことにしました。多分10年も経ってない。
カレーいっときましょう
煮込み系ならなんでもできますから、買ってしばらくは牛すね肉を煮込みまくってました。そうです、ビーフシチューです。
まちがいなくおいしいやつ。
年末に買って1月のブームがビーフシチューでした。2月と3月は豚あばら軟骨の煮込みが大変に流行りました(なお、妻はこの手の料理はほとんど食べません)。
軟骨がプルプルでおいしいが、妻はこういうトロトロしたものが嫌いです。
自分的にもそろそろ飽きてきたのでチキンカレーを作ることにしましょう。それも、いつもとちょっと違ったハレのカレーを作りたい。
チキンカレーの肉は手羽元です。煮込むならこれしかない。
手羽元は煮込むといいダシが出ます。
次のページでおいしいカレーになります。
鶏肉はロマンの味がします
鶏肉を食べると『俺はいま恐竜の末裔を食っている』と感慨深くなります。子供のころ憧れた恐竜、その末裔がこの肉だなんて。
ロマンを感じずにはおれません。しかもうまい。鶏肉が大好きです。だから焼く。
メイラードの儀式を執り行います。
鳥皮に焦げ目があるととてもおいしそうです。
どうせ溶けますが入れていきます。
カレールウは使っても使わなくてもいいのですが、カレー粉を買うより安いので経済的理由でルウを使います。
ハウスのルウを買うのは久しぶりかもしれない。特にこの印度カレーは買ったことがない。
カレーのような日常の食べ物をハレまで持っていくには食べたことない味がよいので、『印度カレー』のルウを選んでみました。
最近のルウにはスパイスの小袋なんてのが付いてるんですね。
はい、ここからシャトルシェフを使います。
肉を入れる。
鍋の底に並べてみました。恐竜の墓場です。
野菜を適量ぶっこむ。
余計なものをどんどん入れます
「カレールウの味は完成しているので隠し味は要らない」なんてつまんない事を言う人がいます。が、どんどん余計なものを入れていきます。
むしろ隠さず余計なものだけでカレーを作る。するとハレになります。
トマトは重要です。缶詰1個入れます。
『ごちそう』とはつまり普段とは違う味の事ですから、ふだんと違う味付けにすればそれすなわちごちそうです。
レシピなんかに従っていたらごちそうなんて出来ません。魔改造していきましょう。
おろししょうが。
おろしにんにく。
なぞのゼリー。
水を適当に入れて煮込む。
カレールウ。
ターミネーター2に思いを馳せます。あれの公開は中学2年。映画館が近くになかったのでノベライズ版を読んで夏休みの読書感想文としました。テーマはタイムパラドックスです。中2っぽいですね。
余計なものを足していく作業はまだ終わっていません。
添付のカレー粉。
S&Bのカレー粉を追う。
ヨーグルト投入
そういえば大量に作ったヨーグルトがまだあるので入れていきます。
たっぷり入れてもいい。
謎のみじん切り。梅ジュースを漬けたあとの梅です。チャツネのような味です。
煮立つ、ハレの海
すっかり予想できない味になったはずです。味見もしてないのでおいしいのかわかりません。
煮立たせていく。
温度をはかってみると88℃。これでシャトルシェフに突っ込みます。
88℃で煮込む。
出窓に置いたら猫が興味を持った。
5時間後に検温したら54℃に下がっていたので再加熱します。3時間ごとくらいに煮立たせた方が良いのかもしれませんが、まだ付き合い方がわかっていません。
低温調理にいい温度なので肉は柔らかくなりそう。
色々加えたチキンインドカレー。
付け合わせは新玉ねぎのマリネ。
色々と複雑な味がします。酸味、辛み、甘味が中心。肉は柔らかくなってるけど軟骨部分はまだコリコリします。
うまい。食べたことない味、つまりごちそうカレー。
翌日
寝る前に加熱して、都合だいたい24時間後にはこうなりました。
24時間煮込んだけど実際にガスの火で加熱してるのは30分くらい。
肉は柔らかくなって、スプーンでつつけば骨から外れます。
鶏肉の構造体は大体ほどけた。
うまい。
軟骨も柔らかく煮込まれました。骨離れがよい。
ローストビーフ
豚、鶏、ときたら牛も調理していきたい。
牛肉を買ってきました。
そこそこな肉です。
買って数日冷蔵庫で眠ってました。
ローストビーフの作り方はよくわかりませんが、なんとなく噂に聞いた感じでやります。検索はしません。
表面に塩。
焼く。
焼けた。
ジップロックに入れます。空気は抜いたほうがいいという噂があるので出来るだけ抜きました。
ジップロック。
70℃のお湯に入れて保温
冷める分を考慮して70℃のお湯に入れてシャトります。シャトルシェフが動詞になりました。
シャトらない、シャトります、シャトる、シャトるとき、シャトれば、シャトれ。
きっと低温調理になるはずです。
1時間後には62℃になっていました。
結構汁が出た
4時間後、取り出してみると結構な汁が出ていました。これはちょっと嫌な予感がします。
この汁は絶対にうまいやつなので捨てません。
なにはともあれ休ませます。
玉ねぎとニンニクをみじん切る。
ひき肉はうまい。
玉ねぎとニンニクを鍋に入れて、あとオリーブオイルも入れます。レシピはノリです。アドリブでどうにかなる。
オリーブオイルは多ければ多いほどうまい。
スパイスを色々入れます。なにを入れたのか覚えてません。
トマト缶をどばー。トマト缶があれば大抵のものはおいしいなにかになります。トマトは偉大。
カットトマト90円。トマト缶詰はエライ。
味見したら塩味がなかったので醤油を入れます。大抵、醤油を入れれば食える味になる。
あと思い付きでケチャップ。
ペンネはソースの水分で戻ります。
シャトルシェフは煮込んでいる間に水分が蒸発しないので、最初から水を少なくするかあるいは水を吸うものに吸わせないとぼやけた味になります。
なのでペンネに吸わせます。
いっぽう、同時進行で肉汁をソースにする。ローストビーフの汁をフライパンへ。
複数の料理を並行して作るのは頭の運動になり楽しいので同時にやっていきます。
ワインを入れて煮詰めます。
多分醤油もちょっと入れた。
茶色い。うまそう。
火が通りすぎてた
切ってみたら、芯までまぁまぁ火が通っていました。ちょっと温度が高すぎたようですね。シャトルシェフの保温力を舐めてました。
シャトルシェフでローストビーフは初めてなので仕方ありません。
ローストビーフに関しては研究が必要です。
さて、シャトっていたペンネが出来ました。最後に2分程度火にかけるとペンネの芯がなくなります。
そして盛り付け。
複数の料理が同時に出来上がるのは気持ちがよいですね。
見た目はまぁまぁです。思い付きでもなんとかなる。
赤ワインソースが絶対うまい色をしている。
春なので木の芽(山椒の芽)を散らした。
ゆで時間とか適当でもそれなりにおいしくなるのでペンネはエライ。
料理はノリでどうにでもなります。失敗しても、それはそれでいい。明日また作ればもう少しおいしくなります。
正直に言いましょう、とてもおいしい。
ちょっと固いけどソースのおいしさですべてがあがなわれた。
後日、成功させたという
65℃スタートで2時間、温度が下がったので加熱して60℃にして1時間。計3時間の保温で赤いローストビーフになりました。
時間や温度は肉のサイズによる。
ソースを掛けるセンスはない。
とてもおいしい。
みんなもシャトれ
以上、シャトルシェフで色々作った自慢でした。
ふつうに広告でもなんでもなく、個人的な趣味でお勧めしているわけですが、本当に良い。外部エネルギーなしに保温だけで調理するという発想が楽しい。太陽電池と似たロマンがあります。
注意点としては、低めの温度で長時間(10時間以上など)保温すると、細菌にとって居心地がよくなりすぎ腐敗してしまうということ。
煮込み終わったらタッパーに移して冷蔵庫にしまうか、火を入れて温度を高くしましょう。