シャネルに行く
当サイトの編集部から「5000円を自由に使っていい」と言われた。なんて素晴らしい提案なのだろう。私は喜んだ。少し踊りもした。本当は貯金したかったけれど、使うのが約束だ。5000円もの大金をどう使い切ればいいのか悩んだ。
行き着いた答えは「高級品を買う」だった。5000円もあるのだ。高級品を買うことができるはずだ。では、高級品ってなんだろうと考えると「シャネル」になると思う。私の中では「高級品=シャネル」という図式になっている。
シャネルは誰もが知る世界的な高級ブランドだ。1909年にココ・シャネルがフランスはパリで開業した女性用帽子店が始まり。1921年にはシャネル初の香水「N°5」を発売する。マリリンモンローはN°5をまとい寝ていると言っていた気がする。
私は美大卒
私はシャネルのものを持っていない。買ったこともないので、当然値段も知らない。調べたこともない。東京・銀座にお店があるのは知っていたのでそこに出かけた。すると列をなしていた。シャネルは行列のできるお店なのだ。人気のパンケーキ屋のようだった。
並んでいる人たちは男女のペアが多い。年齢はバラバラで若い人もいれば、そうでない人もいる。先に書いておくと高いんだろうな、とは思っている。数百円のものは当然ない。上を見ればキリがないこともわかる。ただ5000円もあれば何か買えると思っている。
クリスマスが近いので男女ペアが多いのかもしれない。クリスマスプレゼントにシャネルは素敵だ。愛する人にシャネルをプレゼントするのだ。しかし私は違う。私は私のために私自らがシャネルへ買い物に来たのだ。5000円も持って。
順番になって店内に入ると担当の人がやってきた。一人で自由に店内を歩くのではなく、担当の人が必ずつくのだ。知らなかった。店内は私には緊張感のある場所だった。基本的には落ち着いた配色とも言えるが、ピンクの服やピンクのバッグが並び、キラキラしている。眩しくてサングラスが欲しかった。当然サングラスも売っていた。
2階に行くと、もう一生立ち上がれないような気持ちよさそうなソファが置いてあり、その前の棚には靴が並んでいた。そこで気づいたのだけれど、どの商品にも値札がない。これはどういう仕組み? と思う。5000円で買えるか否か目視できないのだ。
店員さんが「今日は何をお探しで」的なこと言った。「特にこれと言ってないんですが」と私は言い、「5000円で買えるものってありますか?」と続けた。「ないですね」と店員さんは春風のように爽やかに教えてくれた。とても聞きやすい声だったけれど、私は「え?」と言った。聞こえなくて「え?」と言ったのではない。5000円のものがないことへの「え?」だ。
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