デジタルリマスター 2022年12月27日

江戸前オオアサリ(ホンビノス貝)を捕ってきた(デジタルリマスター)

初夏の潮干狩りシーズンは、潮時表のチェックが楽しい。休みの日が一番水位が下がる大潮で、さらにお昼頃が干潮だったりすると、つい心ウキウキワクワクしてしまう。

そんな訳で、今年も友達を誘って近くの干潟に遊びに行き、以前デイリーポータルZでも紹介させていただいたアナジャコやマテガイなどのマニアックな生き物を捕って遊んでいたのだが、また一つ、驚くべき新たな生物が砂の中から現れた。

2007年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

前の記事:琵琶湖原産のホンモロコが埼玉で養殖されている理由はクチボソの代用魚だった

> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

干潟遊びは楽しいな

よく晴れた休みの日、友人達と川原沿いの道をダラダラと歩いて干潟へとやってきた。

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「The 無邪気」な友人達。

見知らぬオッチャンにアナジャコの正しい捕り方を習ったり、キャーキャーいいながらマテガイを捕まえたりして、力一杯無邪気に遊び惚ける。

干潟って楽しい。

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遊ぶときは力一杯真剣に。でもダラダラと。
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見ず知らずの方にアナジャコ採りをレクチャーしていただく。
「アナジャコを追うんじゃない、アナジャコを呼ぶんだ!」

ちょっとアサリを掘ってみよう

筆と塩を駆使して、アナジャコとマテガイが本日の夕飯分くらい確保できたところで、ちょうど一番潮が引く時間になったので、さらに海側に移動してアサリを掘ってくることにした。

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今日はけっこう干潟に人がいました。
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アサリを掘る人々。

適当な場所に腰を落ち着け、熊手でガスガスと干潟をほじくってみると、なにやら大きな手応え。

石かなと思ったら、違った。

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貝だ。でかい。

子供のこぶしくらいある大きな貝だった。

いや、もしかしたら貝が大きいのではなくて、私の手が小さいのかとも思ってアサリと比べてみたが、やっぱりこの貝が異常に大きいようだ。

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明らかにでかいよね。

この貝の名前がわからなかったので、とりあえず「デ貝」と命名。

デ貝は場所によっては結構な密度で埋まっており、ほんの30分程でキロ単位の収穫となった。

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いっぱいいるんだ、これが。

このでかい貝、集めたのはいいけれど、食べられるのかがかなり怪しい。泥臭いというか胡散臭い。

オオアサリというらしい

ちょっと食べるのが不安なので、近くでこの貝を集めていた人達に聞いてみたら、ここらではこの貝を「オオアサリ」と呼んでいて、アサリと同じように食べるのだそうだ。確かに見た目は大きなアサリだ。

オオアサリとやら、せっかくなので持って帰って食べてみようかな。

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本日の収穫:魚屋であまり見かけないシーフード盛り合わせ。
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貝の素性を調べてみた

オオアサリを家に持って帰り、砂抜きしている間にこの怪しげな貝の素性を調べてみたところ、以下のことがわかった。

  • ハマグリと同じマルスダレガイ科の二枚貝で、本名をホンビノス貝という。
  • 北アメリカ原産
  • 貨物船のバラスト水(空荷のときにバランスを取るため船に積む海水)に混じって日本にやってきた
  • 別名・干潟界の黒船
  • アメリカでは食用で、クラムチャウダーなどにする
  • こう見えて寿命はゾウガメより長い

江戸前で採れた貝が実はアメリカ原産。知り合いが新横綱の白鵬がモンゴル人だという事を知って驚いていたのに似た構造だ。

そんなホンビノス貝、最近ではオオアサリとかシロハマグリとかいう名前で市場などにも出回っているらしい。

ちょっと気になって魚屋を廻ってみたら、確かに捕ってきたのと同じ貝が普通に売られていた。

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「大アサリ」名義で販売中。
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こちらは本名「ホンビノス貝」で頑張っております。

ちなみに、本来「オオアサリ」という名前は、「ウチムラサキ貝」という貝の俗称なのだそうです。

アサリだと思って炊き込みご飯にしてみる

貝の素性がわかったところで、アメリカンにクラムチャウダーにでもしようかと思ったけれど、ここはジャパン。

郷にいれば郷に従え、江戸前で育ったんだから和食になれということで、ちょっと大きなアサリだと思って料理することにした。クラムチャウダーの作り方なんて知らないし。

まずはアサリの炊き込みご飯。貝が大きすぎて、炊飯ジャーに3つしか入らなかった。

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生姜をたっぷり。
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炊きあがり。
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身がでかいぜ。

茶碗によそってから気が付いたのだが、作り方を間違えた。

アサリの炊き込みご飯は、アサリと米を一緒に炊くのではなくて、アサリの茹で汁で米を炊いて、あとから茹でた身を混ぜるんだった。

まあ間違えたものは仕方がないとホンビノス貝の身を食べてみたら、もの凄く硬い。

噛んでも噛んでもなかなか口の中からなくならず、アサリジャーキーを食べている気分になってきた。ごめんよホンビノス。

アサリだと思ってみそ汁にしてみる

ご飯とくればお汁。シンプルにみそ汁にしてみた。

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お椀が小さく見える。

貝がパカッと開いてすぐ火を止めたので、今度は身が固くなっていない。

酔っぱらっているときに「はい、ハマグリのみそ汁です!」と勢いよく出されたら、「ああ、ハマグリだ、うれしいな」と思ってしまいそうだ。

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アサリだと思って酒蒸しにしてみる

アサリ料理といえば(アサリじゃないけれど)、やはり酒蒸しだろうということでつくってみた。

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ショウガをしっかり効かせて。

本来、アサリの酒蒸しは、一つ一つの実が小さくて、いくら食べても口寂しい感じがするのだが、ホンビノス貝の酒蒸しは、たった一つの実で口いっぱいになるのが嬉しい。

アサリの何倍も実が大きいので、「ああ、水道管部分は牛でいったらタンだな」みたいに、部位ごとに味や歯ごたえの違いがわかるのもおもしろい。

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結構ジューシー。

パカッと開いたところに醤油を垂らして食べたらビールが欲しくなった。ジューシーだし実も柔らかい。

アサリでもハマグリでもホンビノスでも、貝がパカッと開く瞬間は無条件に嬉しい。この「貝がパカッと開く」という楽しみに重きを置いた場合、この網焼きが一番だ。


味について

ホンビノス貝、飲み込んだあとに若干の泥臭さのようなものを感じたけれど、これは貝の問題というよりは、砂抜き時間の短さに起因するものだと思う。採ったその日に食べた私が悪い。

まあ泥臭いといっても、こいつの正体を知った上で食べているから気になる程度で、知らずに店で出されたら、ああこういうものかと普通に美味しく食べただろう。

アサリやハマグリとはちょっと違う味ではあるが、とりあえず食いでがあって頼もしい。次はアメリカンなクラムチャウダーにしてみようかな。

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なんとなく贅沢した気分になる写真だ。

外来種に関してはいろいろとデリケートな問題がありますが、とりあえずごちそうさまでした。

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