特集 2023年7月28日

高尾山ほど書ける蛍光ペンとかカップホルダーノートとか!夏の文房具フェス2023

今年もやってきました、文房具の新製品見放題フェス!

7月といえば、文房具の夏フェスことISOT(国際文具紙製品展)。今年も7月19~21の3 Days、東京ビッグサイト東ホールで開催されたのである。

ここ10年の間でビックリするぐらい規模縮小しちゃって、昔から取材し続けてる身としてはぶっちゃけ泣きそうなんだけど……それでも業界的な存在意義はまだ大きいのだ。

ということで今年も見てきた最新文房具をレポートしたい。

1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

そもそもISOTとはなにか説明編

改めてISOT(国際文具・紙製品展)ってのは、今年で開催34年めとなる業界見本市である。だいたい毎年7月開催。

集った文房具メーカーがそれぞれ秋冬以降の新製品をここでお披露目し、小売業者・バイヤーの皆さんがそれを仕入れる、という流れだ。

なので基本的には一般人が入れない(といいつつ、事前申請しとけば誰でも参加OK)んだけど……

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毎年夏にデイリーポータルZでレポートしつづけて、もう今年で10年め!

実は僕、数年前から公式に「ISOT文具PR委員」という肩書きをいただいており、わりと気軽にヌルッと入場できてしまうのだ。

こればっかりは、長年がんばって文房具関連のお仕事してきて良かったなーと思う瞬間である。なんでも続けとくもんすわ、マジで。

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生意気に顔写真入りのパスなんかももらってます。「VIP」とか偉そうすね。

ということで会期初日の朝から会場に来てみたんですが……うーん、今年もまたギュッと凝縮した感がありますな!(精一杯の婉曲表現)

以前はISOT単独開催だったのが、現在は「ライフスタイルWeek」という雑貨・ギフト系の見本市の1ジャンルに組み込まれている。つまりは、大きい流れに溶け込みつつある状態とでも言おうか(精一杯の婉曲表現)。

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ISOT、かつては単独でビッグサイト東館半分を占めてブイブイ言わせてたんじゃがのう…(年寄りの愚痴)

とはいえ見るものはまだまだいっぱいだ。

さあサクサクと回って行こうじゃないですか。

高尾山の頂上近くまで書ける!? インク盛り盛り系蛍光ペン

今回のISOTに展示されてる中で最もインパクトのあった製品名はなにか?と聞かれたら、これを出すしかない。

エポックケミカルの「ゴツ盛りインクの蛍光ペン」である。え、そんな高校生男子が食うカップ焼きそばみたいな名前の蛍光ペン、ある?

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ぶっとい透明軸に液体インクがちゃぷちゃぷと。なかなかインパクトあるぞ。

蛍光ペンやマーカー類って、基本的にはインクを中綿に吸わせた状態で軸に詰めてある「中綿式」と、液体のまま軸に詰めた「直液式」の2種類がある。

で、こちらは直液式なので、透明の軸からちゃぷちゃぷしてるインクが見えるんだけど、その量がとにかく多い。なんせ従来製品の6倍量のインクが入っているそうで、これはかなり常識外れのボリュームと言える。

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なんせインク量6倍なので、なんなら全部の文字にラインを引いても余裕のはず。

ただ、ひとつ気になったのは、メーカー側の展示プランだ。

もちろんここは見本市なので、「ウチの新製品こんな感じでスゴいんですよ!」とアピールせねばならない。分かる。だけど、インクたっぷりだから筆記距離も長いです、と言う比較表現として「高尾山の標高ぐらい書けます!」というのは、さすがに意味が不明過ぎないか。

いやまぁ、エポックケミカル気合い入ってんなー、というのはヒシヒシと伝わるんだけど。

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筆記距離なんと約570m、までは理解できるけど、そこに並べて高尾山の標高が記されてるのが謎なんだ。

蛍光ペンって、すぐにペン先のチップが乾いて「カッスー……」という不愉快な書き味になっちゃうことが多いんだけど、さすがにこれだけインクが入っていたら、そうそうは簡単には乾くまい(乾いたときはチップをグッと押し込むと、またドバドバ出る)。

ひとまず1本買っといたら、当分は買い替えなくて済むんじゃないだろうか。

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油性ボールペンで書き消し自在の無限ふせん

表面を特殊コーティングしたシリコン板に油性ボールペンでメモ書きし、不要になったら消しゴムで消せる、というメモシリーズでお馴染みなのが、コスモテックの「wemo」。

手首に巻いたシリコンのバンドにメモれる「wemo バンドタイプ」などがお馴染みなんだけど、今年の新製品は無限に使えるふせんだった。

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コスモテックブースにずらり並んだ「wemo パッドタイプ Ver.2」

「wemo パッドタイプ Ver.2」は、まずカラーがふせんっぽいし、大きさも75×75mmと完全にふせんサイズ。

厚み1mmのシリコン板に油性ボールペンで書いたものが、消しゴムをかけるとスルーッとキレイに消える。ふせんなんて基本的には使い捨てなんだけど、こちらは何度でも書き消しが可能である。

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こうやって油性ボールペンで書いて……
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消しゴムをかけたら、鉛筆みたいにきれいに消せる。ふしぎ。
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裏面は何回でも貼り剥がしできる粘着パッドなので、本当にふせんみたいな使い方が可能。

しかも裏面は弱粘着のパッドになっており、平らな面ならだいたいどこでも貼れて、簡単に剥がすことができる。もちろん何度でもだ。

モニター周りに情報を貼ったり、ノートPCのタッチパッド横に手書きメモを増設したりと、わりと幅広く使える感じ。もちろんSDGsの観点からもアリだろうし、これはなかなか便利そうだ。

超ミニ織り機が楽しそう(文房具じゃないけど)

手芸用品メーカー(でも文房具も出してる)のKAWAGUCHIブースでは、超ミニサイズの織り機「ポケおり」がメインで展示されていた。

うん文房具じゃない。でも昭和の頃は、小学校近くの文房具店でリリアン編みキットが売ってたしな。

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令和のリリアン遊びこと「ポケおり」。無心でチャカチャカしてるだけでなにか織り上がってる、というのが楽しいのだ。

カードサイズの本体に縦糸を巻き付けて、そこに横糸を入れた杼(シャトル)を通して、櫛でグッと押し込む。すごい簡略版だけど、それなりに織り機としては機能する感じだ。

これぐらいなら不器用な人でもあまり失敗しなさそうだし、なにより手持ち無沙汰なときに始めると、なかなかに楽しいのである。

ちなみに完成したものをつなげてストラップにしたり、アップリケに使うなどの楽しみ方もできるらしいが、そんな目的無しに黙々と意味もない布片を量産するのも、ストイックで楽しそう。

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織ったのをつなぎあわせると、こういうストラップも作れちゃう。
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やたらとおしゃれなパッチにもなる。

もうひとつ新製品として展示されていた「どこでも貼れるラベル」は、見た目はごく普通のなまえラベルシートなんだけど、性能がやたらとエクストリーム。

ハンカチや靴下などに貼ればアイロン要らずでしっかり定着し、24時間後には洗濯も可能。熱にも強く食洗機OKなので、プラや陶器の食器・カトラリに貼ることもできる。その名の通り、本当にどこでも貼れるのだ。めちゃくちゃ強力!

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性能に比して名前とパッケージが地味すぎる「どこでも貼れるラベル」
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アイロンで熱溶着しなくても、角までしっかり貼れている。すごい接着力。
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なまえラベルとしてはすごい性能なので、もうちょい派手にアピールして欲しい。

持ち物になまえラベル貼らなきゃいけない年頃のお子さんがいるご家庭では、相当に使えそうだと思う。

パッケージも妙に地味なので、せめて製品名だけでも「超絶万能無敵なまえラベル 最強ver.」とかそういうのにすべきだったのでは。もしくはエポックケミカルのセンスと足して2で割るとか。

⏩ 次ページに続きます

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