仏花を解放していく
仏花が仏花に見える理由がわかったところで、いよいよ花束を作ってみよう。
今回用意したのは3種類の仏花セット。
それから重要なのが、仏花の印象を変えるアレンジ要員。
選んだ菊は、一本の茎からいくつも枝分かれをして花を咲かせる「スプレー」タイプ。
JUNERAY:このまま1本で使ってもいいんですが、枝の分かれ目のところでバラしてあげると使いやすいです
ちなみに筆者は、1本として売られているからって、そのまま使わなくていいんだ……!とおそらく初歩の初歩であろうポイントから驚いている。
それぐらいぼんやりとでも花が好きと思っている方、大丈夫です、安心して共に参りましょう。
JUNERAY:菊は葉の印象がどうしても強いですよね。
JUNERAY:実は菊は花よりも葉が先に傷んでしまうんです。葉は花のすぐ下にあるもの以外はもいで、花に栄養が行くようにしつつ、菊っぽさを薄めます。
3yk:あっという間に裸になった…!
JUNERAY:花屋の一日は何百本もの花の葉っぱをもぐことから始まりますから。迷っている暇はないです!
JUNERAY:それから花瓶は不透明なものではなくガラスのものを使ってみましょうか
3yk:わ、仏壇じゃなくてカフェのテーブルが見える!
石川:葉っぱをもいだだけでこんなに変わるんですか!
3yk:葉っぱを全部取るなんて、不自然にならないのかなと思ってしまったんですが全然そんなことないですね。
JUNERAY:花屋でよくみるバラなどの一輪売りの花も、全部葉を落としてあの姿になってますからね。
3yk:密集していてバラせないお花はどう使ったらいいですか?
JUNERAY:このままだと縦のラインが仏花らしく見せてしまうので、お花の横にバランスを足したいですね
JUNERAY:で、さっきのバラした菊と合わせます
石川:あら~!
3yk:わ、急に迫力が出た!
JUNERAY:葉をもいだ分、別のグリーンを合わせるとさらに印象が変わりますよ
JUNERAY:あたかもこういう葉っぱの花よ!と思わせて、さらに仏花ぽさを薄めていきます。
石川:あっ…くう…!!
3yk:おお、おお、おお……!
この間、たったの数分である。花に見識のない初心者二人、あまりのスピードに追いつけずに呻くことしかできない。
JUNERAY:これをベースに、白いお花を足してもかわいいですよ
石川:あらあらあら
3yk:なんか、田舎の幼なじみが知らない美容師に垢抜けさせられていく姿を見てるみたいで……ちょっと……寂しささえ感じますね……
JUNERAY:田舎娘を田舎娘のままにしているのは大人の責任だからね……
3yk:わー!!すごい!!
JUNERAY:白い菊は花言葉がいいらしくて、結婚式のブーケにも使われるんですよ。
JUNERAY:白い菊でうまいこと花束が組めたらかわいいんだけど、たまーに「仏花になってるぞ」ってクレームを受けることがあると聞きますね。
同じ花でも仏花になるか、幸せのブーケになるかは花屋さんの腕次第なのだ。