海に関する2文字は見つかりやすい
森川：うなぎの凪の部分。
ほり：海関係の2文字は見つかりやすいですよね。
森川：はい。特に「寿司」「カニ」が見つかりやすいです。さっきも言いましたけど寿司は本当にオススメで、「○○の寿司の部分」は意味的にも面白くなりやすいです。私が一番好きなのは「マイナス思考の寿司の部分」。
ほり：マイナス思考の奴は寿司食べないですからね。
石川：いや、食べる可能性はあるでしょうよ。
失礼かどうか問題
ほり：高橋監理のはしかんの部分。
石川：はしかんってなんですか？
ほり：橋本環奈。
森川：おぉ～！
ほり：でも人物名って本当はあんまりよくないんでしたっけ。
森川：これは失礼の問題っていうのがあるんですけど、「2時間飲み放題の菅野美穂の部分」も、菅野美穂さんが喜ぶかは微妙ですよね。
石川：そう言われてみれば、たしかに。笑
森川：ただ、それよりも、人物名の中になにかを探す方が失礼だと思って、あまりやらないようにしています。
リスク管理もしっかりされている森川さん。そのバランス感覚を見習いたい。「椎名林檎のいなりの部分」は忘れてください。
実用化された「部分」
森川：英語にも「部分」が隠れていることがあります。
石川：単純ですけど、例えばinformationのionの部分とかですか？
森川：そうですね。
ほり：実は昨日撮った写真があって……
Suicaのicの部分。ご丁寧にicだけ白色だ。
ほり：でもね、これ、よく考えたら、そういう意図で名づけられてるんですよね。
森川：意図にたどり着くパターンですね。実は今見ているこれも
SIO-SITEの潮騒の部分。
森川：潮騒から着想を得てSIO-SITEという名前になったのかもしれません。「○○の部分」って、実用されているケースもあるんですよ。以前、成城石井の広告のキャッチコピーに「成城石井にはおいしい！がある」が使われていました。
ほり：コピーライター的部分ツイートですね。
森川：「これそのまま使えるんでは？」という部分ツイートを思いつくこともあります。「広島県警の負けんけえの部分」とか。
石川：おぉ！ありそう。
森川：方言にもなってるし。
ほり：なんだかビジネスの香りがしますね。
強欲の部分ツイート
石川：スパが揃った5つのホテルのタイツの部分。
石川：いやでも、頑張れば4文字以上いけそうだな。だんだん欲が出てきた。
森川：強欲の部分ツイートっていう概念もあるんですよ。私が勝手に言ってるだけですが。欲張りすぎて苦しくなることがあります。以前、「南総里見八犬伝の捜査と未発見の部分」という部分ツイートをしたときに「難捜査」までいくか迷いましたが、強欲だと思い、「捜査」でとどめました。これは個人の感覚の違いなので、「できるだけ長い文字を見つけたい」という人もいますけどね。
上達してきた
まだ外に出て20分なのに、すでにたくさんの部分ツイート(ツイートなのかこれは？）が見つかった。散歩の解像度がぐっと上がる。脳みそフル回転で頭が疲れてきた。「部分散歩」には脳トレ的要素もある。みんなやったほうがいい。
そして石川さんも私も、だんだん上達してきた。
石川：南部導管ネットワークセンターの武道館の部分。これはすごい。
石川：北海しゃぶしゃぶの会社の部分。
ほり：とっとり・おかやまのトリオの部分。2つの県なのにトリオ。
ほり：スギ薬局の偽薬の部分。これはちょっと失礼かも……。
ほり：静岡新聞のおかしの部分。やった～！
ほり：この短時間でレベルアップした気がします。
部分飯をたべる
石川：せっかくなのでご飯を食べましょう。
石川：大戸屋のオートの部分。漢字ではなくカタカナのオートですよ。
石川：部分ツイートを見つけたメニューを各自注文しますか。
血眼になって部分ツイートを探すことになった。食に直結する。
ほり：こだわりソースのデミグラスチキンかつ定食のリソースの部分。
石川：チキンかあさん煮定食の金貨の部分。
森川：香味唐揚げ定食の海からの部分。どちらかというと山の食材なのに「海から」というギャップが良い。
散歩しただけなのに満足感でいっぱいだ。頭を使ったので糖分が不足していて、ごはんがとてもすすんだ。
まだまだ話したりない
森川さんから部分ツイートについて教えてもらったことはまだまだある。情報が多すぎて書ききれなかったものを簡単に紹介したい。
・ない部分
…惜しくも成立していない部分ツイート。例えば、「アシカが戦うシーンの足利尊氏の部分」は、途中に余計な「た」が挟まっており、成立していない。
・純粋部分ツイート
…「もう二度と届かないこの思いのドトトドの部分」のように、部分に意味を求めず、純粋に語感を楽しむもの。
・部分ツイートの中にある部分ツイート
…「今度あのドアノブ分解するねの『コンドアのドアの部分』の部分」。コンドアはタンザニアの実在の地名のため、成立している。極限まで技巧を凝らした部分ツイートだ。
・Blueskyでの流行
…BlueskyというSNSでは、Twitterよりも細かい条件を指定して投稿を検索できる。これを利用し、「○○の○○の部分」というフォーマットの投稿のみを集めたフィードが、人気を博している。
部分ツイートは何の道具もいらず、いつでもどこでも楽しめる手軽な遊びだ。森川さんはその普及につとめている。部分ツイート界隈の先頭を走り続ける森川さんを今後も応援したい。
のイノセントの部分。
この先は「デイリーポータルZをはげます会」会員向けの有料コンテンツです。会員になるとごらんいただけます。
