デジタルリマスター 2023年1月11日

缶ぽっくりに最適な缶はどれだ(デジタルリマスター)

缶ぽっくりで走る

一斗缶で缶ぽっくりを作ってもう3年( 「一斗缶で缶ぽっくり」 初出:2004年6月27日)。

あのころは一斗缶にこだわっていたけれど、別の缶でも楽しい缶ぽっくりが作れるのではないか。大きいだけではなく、もっと趣のある缶ぽっくりができるかもしれない。

3年前よりも老獪な缶ぽっくりを目指します。

2007年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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実は言われて考えました

もっと趣のある缶ぽっくりができるのではないだろうか。なんて書いたが、実はとあるムックの編集部から共同企画のオファーがあったのだ。

ワールドフォトプレスから出る「冒険缶詰」というムックである。

3年前の一斗缶で缶ぽっくりの記事を見て、いっしょにいろんな缶ぽっくりを作りませんかとメールがきたのだ。インターネットを通じて知らない人から「あーそーぼー」と声をかけられたのだ(そういえば最近そうやって人んちの前で叫んでる子どもいませんね)。

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今回用意された缶の数々
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プロのカメラマンが並べます

しかし僕が缶ぽっくりのオーソリティのような扱いである。わはは。オーソリティに恥じないようにいくつか缶を用意した。桃缶、粉マスタード缶、ホワイトソース缶…。缶を用意するという建前で好きなものをキロ単位で買っただけといえばその通りだ。

粉マスタードは撮影の前に挨拶がわりにおすそわけした。

子どものころ、近所のバス停に見たことないお菓子を配るおばさんがいたが、初対面の人にマスタードの粉を配りながらその人のことを思いだした。あ、いまおれ、あの人だ。

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ムック編集の福田さん(左)にもマスタードをさしあげる
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ホワイトクリームは器がなくて配れず。1ヶ月かけて食べた。

石器時代気分で作る

撮影は駒沢公園で行った。しかし雨のため歩道橋のしたに陣取って缶ぽっくりを作った。ものによっては缶が堅くて用意したキリではうまく穴が開けられない。

同行した横山さんが(今回、撮影協力のため、横山さんと大北さんが同行しています)キリを回さずに、キリの後ろを石で叩くとスムーズに穴が開くことを発見した。

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イシでタタク、ベンリ

石を使うことが便利だと発見したのだ。

石を使う方法は瞬く間に関係者に広がった。何万年もこんな感じで石器が普及したのだろう。いま僕は品川区でいちばん石器時代の人の気持ちがわかる男である。

しかし缶ぽっくりはおもしろい

視点が高くなるだけでなんでこんなに楽しいんだろう。缶ぽっくりに乗っただけでみな一様にだらしない笑顔だ。缶ぽっくりの前では老若男女も貧富の差もない。いや、言い過ぎた。缶ぽっくりにのってても貧乏は貧乏だ。

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缶に乗っただけで
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見えなかったものが見えたりします

 

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うれしそう

次のページはどの空き缶が缶ぽっくりに適しているかを観察します。

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保存版・缶ぽっくりミシュラン

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からし 400g缶。これぞ缶ぽっくりという感触。ジーンズでいえば501のようなスタンダード感。
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一斗缶。がしゃがしゃと不安な音を立てるが安定している。安心します。
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ツナ缶。走ることもできる安定感。ふだん使いの缶ぽっくりにおすすめ。
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貯金箱。四角い缶は斜めからの力に対して安定している。同じ缶の柄違いだがアメリカが弱かった。
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ケチャップ3.3キロ(1号缶)。缶が肉厚で安心の履き心地。一生ものとして長く愛用できる。
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SPAM缶。薄く、よわい。この写真を撮った直後に缶は潰れた。
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パセリ缶。背が高く一本歯の下駄を履いているような面白さがある。

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アルミ缶。缶が弱く乗ることはできず。片足をのせただけで潰れた。
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ダイエットコーク。歩きにくい缶で歩くことこそダイエットなのでは?と思ったが歩けたもんじゃないです。
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エアー。缶なしでもひもで足が引っ張られる感覚がおもしろい。実はなんでもいいんじゃないか。

桃缶ぐらいの大きさがベスト

10種の缶に乗ってみて、そのなかでのおすすめは1号缶。高さもあって、缶も丈夫で歩きやすい。しかも騒音も少ない。ただ、1号缶は手に入れるのが難しいので400g程度の桃缶の大きさでもいいだろう。

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缶ぽっくりとは思えない輝き

ツナ缶などの平べったい缶も独特の履き心地があって面白かった。高い缶をハイテクスニーカーにたとえるならば、ツナ缶はデッキシューズである。

かっこよく言ったつもりがただの高さの話になっているような気がする。

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はしゃぎ力が高いデイリーポータルZ

缶ぽっくりの履き心地を確かめるために我々3人は走ったり草むらを歩いたりしていたのだが、だんだん楽しくなってきてただはしゃいでた。

草むらに入ったり、走り回ったり、通りかかった子どもに缶ぽっくりを自慢したり。

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カメラマンと横山さんの息がぴったり。

カメラマンも僕らのテンションの高さに気づいていつのまにか僕らの写真ばかり撮ってくれている。

「あ、そのポーズかっこいい!」

ほめられると嬉しいのでまた新たなポーズをとる。 雨が降ってようがお構いなしである。ウェブマスターとして横山、大北というはしゃぎスキルが異常に高いふたりを連れてきたのは誇らしい。が、ちょっと恥ずかしい。

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雨に飛び出す大北さんとカメラマン。カメラマンのいいカメラが濡れて大丈夫なのか心配です。
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横山さんの度を超えたサービス精神。(危険ですので真似しないでください)

 「この写真、アルバムだしたときのジャケットに使えるよ!」

興奮して横山さんは言うが、缶ぽっくり乗ってるアーティストなんて見たことがないし、たぶんこれからもいないと思う。

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知らない子どもをうらやましがらせようとわざと目の前を歩く。
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こうなった

と、ここまでの取材は実は4月に行ったものなのだ(だから微妙に厚着だったりするのだが)。6月に入ってあのときのようすが載っているムックが発売された。

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みたことない缶詰がたくさんのってました

冒険缶詰 ワールドムック619
ワールドフォトプレス
1600円+税

いろんな缶詰が載っているカタログ的な本のうしろのほう、半ページほど我々のはしゃいだ写真が載っていた。

ほかの記事とのトーンの違いに注目です。

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編集者の労苦が見える見出し。
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もう缶ぽっくりとか関係なくポーズとってる

缶ぽっくりは缶の数だけある

背の高い缶で作る缶ぽっくりもわかりやすくおもしろいが、低いツナ缶の缶ぽっくりもスピードが出ておもしろい。弱い缶が潰れないようにそーっと歩くのも楽しい。缶ぽっくりは缶の種類の数だけあると言っても過言ではあるまい。過言どころか当たり前のことしか言ってない。

みなさんも自分にぴったりの缶ぽっくりを探してみてください。か、家にあった空き缶で適当に作る缶ぽっくりがいちばん正解のような気もします。

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横山さんはこのまま家に帰った
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