
残った生地はフライパンで焼いてみた。ややあぶらっこいホットケーキというかんじで、食感はもちろん味も全然違う。
やはり、当たり前だが重ねてこそのおいしさ、バウムクーヘン!自力で作って食べるとおいしさも倍増!
時間はかかるけど、肉や芋を焼き飽きたらバウムクーヘンなんていかがっすか?
ああ、なんか変な形状のお菓子!バウムクーヘンが、好きだ、好きだ、大好きだ。
調べてみたら、バウムクーヘンってキャンプやなんかで作るお菓子という意外な一面があるらしい。
ならば、ということで作ってみました、バウムクーヘン。わざわざ外で!
※2003年10月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
なんであんな形なんだろうとは前々から思っていた。真ん中に穴があいてるのも、薄い層が重なってるのもよくわからない。
そもそもどうやって作るんだろう?
ネットで検索してみたところ、出るわ出るわバウムクーヘンの製作風景。そしてそのどれもが野外活動の記録だった。バーベキューとか、キャンプファイヤーのついでにバウムクーヘンが焼かれている!
てっきり貴族のティータイムにぴったり的なお菓子だとばかり思っていたが、そんなワイルドな一面もあったとはびっくりだ……。
バウムクーヘン好きを自称するのであれば、これはトライするしかないでしょう。秋のよい日、河原でバウムクーヘン作りなんてちょっと素敵じゃないか。早速準備にかかる。
必要なのは、火と焼く生地、そして生地を巻き付ける竹。
竹か。 さすがにその辺で取るのは無理だろう。東急ハンズだとか、ホームセンターみたいなところで売ってるっけ?竹?
「竹ならウチにあるよ」
協力を依頼した友達の言葉に驚いた。竹って家にあるもんだっけ?前に家族の方が工作で使っていた物らしい。これはラッキー。
竹は押さえた!本格派の手作りバウムクーヘンに一歩一歩近づいてゆく。よし!焼くよ!バウム!
生地の配合はネットで検索したレシピを見てもお菓子の本を見てもまちまち。
ホットケーキミックスを使うのが楽なようだけど、味の想像がついてしまってちょっと寂しい。今回はパウンドケーキを作る要領で適当に用意した。
量は多めに、あわよくば市販品などものともしない太いバウムを焼いてやろうという意気込みだ。
●生地の材料●
薄力粉 | 100 g |
粉砂糖 | 200 g |
コーンスターチ | 100 g |
卵 | M玉 6個 |
マーガリン | 150 g |
河原に行く前に、マーガリン、砂糖、卵は混ぜ、卵白は泡立ててメレンゲにし、薄力粉とコーンスターチの粉類は合わせておく。
慣れない川辺での作業をできるだけ簡単にするために準備は万全だ!勝利を確信して余裕の気分。
しかし、お菓子作りをされる方はお気づきかと思いますが、実はこれが小さな後悔のもとに……。
友人のナビで穴場だという河原にやってきた。対岸ではバーベキューをしている人たちが。
あっちが肉を焼くなら、こっちはバウムクーヘンだ!何の意味もない闘争心を燃やしつつ、焼く気まんまんで早速、火にくべる枝や枯れ葉を集めていると、この河原の周りが竹林だということに気が付いた。
竹、あったよ、何本もバウムクーヘンが作れるくらい。危なく買って持ってくるところだったことを思うと、なんとなく腰骨が砕ける。
しかし、これでなぜバウムクーヘンが竹を使って作られるのかが分かった気がした。
そこに竹があるからだ 。なるほど、そうだったのか。
早くバウムクーヘン食べたい!食欲に押され、ここから先は火をおこす係と、下準備した生地を完成させる生地班に分かれて作業を進めることにした。
かまどは石を組んで、そこに拾った木や枯れ葉を元にして火をおこし、炭にうつす。ノープロブレム。順調満帆。しかし、そんなかまど班の背後で、生地班が大変なことになっていた。生地は下準備した3つを一つに合わせていくのだが、その下準備した素材に異変が起こっていた。
卵白をメレンゲにして持ち込んだのが間違いだった。立てた泡が河原に着くまでに一部分、また卵白に戻ってしまっている!
そのまま強引に混ぜ合わせたところ、 いわゆる分離状態になってしまい、ボウルの中はどう見てもおかしな雰囲気。一瞬、これはもうダメだという空気に。
しかし、バウムクーヘンは野外で作るお菓子なのだ。そんなワイルドスウィーツが、生地の分離などで失敗するわけがない!片腹痛いわ!勢いまかせの強引なテンションでさらに混ぜ続ける。
結果、なんとなーく、なめらかな生地ができてきた。もうあとは、運を野外活動の神様に任せて焼くしかない。かまどもいいかんじで火の落ち着いた、置き火状態になっている。
両者準備完了、かまどと生地、二つの作業を融合させる。
きりで穴をあけた竹をあたため、油をぬってから生地を付けて、かまどに掛けてみる。
「わー!生地がすべって落ちる!」
「回せ!竹を回せ!遠心力でカバー!」
最初のうちは生地がうまく付かず、火の上でボタボタたれてしまった。
手探りでコツをつかみつつ、焼くというよりも、乾かすというイメージで、少しずつ軽く焦げ目をつけては生地をかさねていく。
だんだん生地が厚くなるにしたがい、見た目が原始人の肉のようになっているのに気が付いた。あたりは甘い匂いでいっぱいなのに、目の前にあるのはマンガの肉みたいな塊。
わー、夢みたいだあ。甘い肉だよー、甘いお肉だよー。塗っては焼き、塗っては焼きの単純作業の反復を始めて早2時間、明らかに変なテンションにスイッチが入りかかっている。
20回ほど重ねて焼いたところで、炭がつきた。これ以上火を持たせるのは無理かもしれない。まだ焼いていない生地はちょっと残っているけど、結構大きな塊ができた。
完成!しかし、ちゃんと中はバウムクーヘンになっているだろうか。切るまでは安心はできない。
ここで一つ問題が持ち上がった。
調べによると、バウムクーヘンが熱いうちならば、竹から抜くのは簡単らしい。
けれど、できあがった物を見ると、抜くためには竹の節が邪魔している。無理矢理抜いて、生地が崩れてしまっては一巻のおわりだ。
ちょっと考えた上、生地ぎりぎりのところを切って抜くために、河原での試食を断念して家に持ち帰ることにした。
手早く片づけ、できるだけバウムクーヘンがさめないうちに急いで友人の家へ。
さっきまで肉みたいに見えていたこの塊。棒を縦にしていると、今度はカマキリの卵とかサナギみたいに見えてきた。どうなんだろう。ちゃんとバウムクーヘンになっているんだろうか……。移動中の車内でもバウム片手に心は緊張。救いは蔓延し続けるあまーい匂い。
急いで持ち帰ると、まだ暖かい。節の手前ギリギリをノコギリで切断し、竹と生地の間に串を刺して、ゆーーっくり回しながら、竹からはずしていく。
すごい!!生地、ちゃんと重なって年輪を形成しております! まさかこんなにうまくできるとは思っていなく、あまりの美しさに息と唾をのむ私たち。ハッ、ごくり。
そして、味は。早速試食。
おお! バウムクーヘンだ!バウムクーヘンですよ、間違いなく!重なりの部分をピリピリはがして食べるあの食べ方ももちろん可能。焼いている間にちょっと煙をあびたせいか、ほんのちょっと薫製のようなけむりの味はするけど、甘い!うまい!
味わいはあまーい、でも作り方はあくまでワイルド、「優しくって力持ち」、そんなバウムクーヘンの意外な一面との出会いでした。
残った生地はフライパンで焼いてみた。ややあぶらっこいホットケーキというかんじで、食感はもちろん味も全然違う。
やはり、当たり前だが重ねてこそのおいしさ、バウムクーヘン!自力で作って食べるとおいしさも倍増!
時間はかかるけど、肉や芋を焼き飽きたらバウムクーヘンなんていかがっすか?
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