特集 2021年7月23日

「とんがりコーンを指に装着」を自動化してスタイリッシュに

とんがりコーンを指にはめる行為をスタイリッシュにしたい……!

とんがりコーンといえば、「食べる前に指に装着してしまうスナック菓子」としてあまりにも有名だ。

そんなとんがりコーンの魅力をスタイリッシュに引き出すため、自動で指に装着してくれる装置を作った。

1987年兵庫生まれ。会社員のかたわら、むだなものを作る活動をしています。難しい名字のせいで、家族が偽名で飲食店の予約をするのが悩みです。(動画インタビュー

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ついつい指にはめてしまうとんがりコーンの魔力

とんがりコーンを食べるときにやってしまうのがこの行為だ。

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指にはめる。いまこの記事を読んでいる人は全員やったことがあるでしょう。

円錐型のコーンの口のところがちょうど指にはまる大きさなのだ。
普通のスナック菓子のように手でつかんで食べるのは困難だろう。
子どものとき以来食べてないなという人は買ってきてほしい。わかっていても指にはめてしまう魅力がある。

しかし大人になったいま、とんがりコーンを指に装着するのは少し恥ずかしくないだろうか。

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特に装着の過程が恥ずかしい。

これを人前でやるのには勇気がいりそうだ。
もっとスタイリッシュに出来れば解決するのではないか。

そうして生まれたのが「とんがりコーンを自動で指に装着してくれる装置」である。

とんがりコーンの新時代へ

あれこれと試行錯誤して出来た装置がこちらだ。
装着の様子を見ていただこう。


 

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一見ただのとんがりコーンの箱に、指を置くと……。
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中からとんがりコーンが出てくる!

 

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指への装着が完了である。
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思わずポーズを決めたくなってしまう。

とんがりコーンの未来がここに生まれていないだろうか。

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これがこれからの時代における、とんがりコーンの「装着食べ」だ。

 

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とんがりコーンのはめ方

最高の装置が出来てしまったが、今回は電子工作ではよくある装置の構造を下敷きにしている。


スイッチを入れると中から手が出てきて、スイッチを切るという装置だ。
「Useless Machine(役に立たない機械)」という、まさに!といった名称で検索するとヒットする。

何年か前にはクレーンゲームの賞品になっていたこともあるので、そちらを知っている人がいるかもしれない。

作り方としては色々な方法があり、いつか自分も作ってみたいな……と思っていたのだ。
中から手が出てきてスイッチを切るのではなく、とんがりコーンを指にはめる機能に置き換えればいい。

それを実現するための動きとしては、

  1. 箱の中に収めたとんがりコーンを上に上げる
  2. とんがりコーンを前に押し出して指にはめる

といったことが必要だ。

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最初の動きは色々と考えた結果「平行クランク機構」を採用した。

上下の板と、それを支える棒で平行四辺形を作ると、上下の板がそれぞれ平行を保ったまま動かすことが出来る。
上の板に安定してとんがりコーンを載せるために、平行を保つ必要があったのでぴったりな機構だ。

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動かすとこんな感じ。実際には右下のオレンジのところをモーターに置き換えて動かしてます。
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とんがりコーンを前に押し出して指にはめるところは、「スライダクランク機構」を採用した。

モーターの回転運動を直線運動に変えるのにスタンダードな機構だ。

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動かすとこんな感じ。

どちらの機構もタミヤの工作キットを使い倒している。
直線運動をしているところのレールは「ユニバーサルプレート用スライドアダプター」を使っている。
これ、2年前に発売されたときに「これは全人類が待ち望んでいたやつだ!」と喜び勇んで買ったが、ようやく使いみちが見つかった。

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もはやタミヤの回し者と言われても構わない。ありがてぇ~。

去年発売された「ラック&ピニオン ギヤセット」も発売されてすぐに買ったが、これもいつか使いみちを見つけなくてはいけない。

閑話休題。
あとはモーターを仕込んで自動で動かすようにしてやればいい。

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メカメカしさが出てかっこよくなった。

そしてこの2つの機構を連動して動かすとこうなるのだ。

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いい感じに動いてくれるじゃないですか。

あとはこれを適当な箱に入れれば……と思っていたが、ここであることに気がついた。

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とんがりコーンの箱に入りそうじゃないか!

もともとの予定はなかったが、収まりがいいのでとんがりコーンの箱からとんがりコーンを出すようにしよう。

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基板も含めてちょうどいい感じに収まった。

フタを閉めたら機構が入っている部分が浮いたのが気になるが、いきあたりばったりで進め方を決めているからである。
むしろいきあたりばったりなのにここまで収まればいい方だろう。そう都合よく解釈しておいたので、皆さんもそう思っていてください。

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あとはモノを近づけると反応する赤外線センサーを、
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矢印のところに埋め込む。指を置いたら機構が動き出すようにしたら完成だ。
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電源の線が箱から出るだけ、という見た目の良さが気に入っている。

これからのとんがりコーンのスタンダードになってほしい。
装着するたびにとんがりコーンをいちいち補充しないといけないところには目をつぶろう。


機構の楽しさよ

今までになく収まりの良い装置が出来て大満足だ。
機構をうまく使った装置は作りたい気持ちがありながら、なかなか挑戦出来なかったので今回作ることが出来て良かった。

実はこれを作る途中で、そういえばネタかぶりしていないかな……と調べたら、2019年のMaker Faier Kyotoに「とんがりコーン自動指はめ器」が出ていたのを見つけてしまった。
京都のメイカーフェアはノーマークだった……!しかも、5本の指に一気にはめてくれるらしい。すごい。

ネタかぶりしていたー!という気持ちもありつつ、やっぱり自動でやってみたいよね……という共感もあった。
これを機に様々なとんがりコーン自動装着システムが出てこないだろうか。

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初めて成功したときに思わず自撮りした。めちゃくちゃ嬉しそうな顔が映る午前2時。

 

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