特集 2019年8月9日

日本でも見ることのできるオーロラを見に行く

オーロラというものがある。カナダのイエローナイフや、アラスカのフェアバンクスで観測することができる、空にカーテンのような光が現れるとても美しい自然現象だ。とても美しく一生に一度は見たいという人も多いだろう。

このオーロラ、実は日本でも観測されている。「低緯度オーロラ」と言われるもので、北海道の陸別町などで有名だ。オーロラは日本では見ることができない、と思ってしまうけど、歴史を見ると日本でも観測されているのだ。

1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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オーロラと低緯度オーロラ

オーロラと言われると、寒い場所を想像する。モコモコの服を着て防寒して、オーロラが出現するのを待つ。テレビや雑誌などでもよく見る光景で、その寒い場所は、カナダだったり、アラスカだったりする。日本ではないのだ。

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これがオーロラです!

 上記のオーロラの写真は、私がアラスカのフェアバンクスで撮影したものだ。イメージ通りにマイナス30度の世界で完全なる防寒をして撮影している。オーロラを見るためにフェアバンクスまで自腹で行ったのだ。

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大変な旅でした!

なぜフェアバンクスでオーロラを見たのか。それは高緯度な場所にオーロラは出現するからだ。60度から70度あたりがオーロラ帯と呼ばれている。高緯度がいいからと言って、それ以上行くと観測は難しくなる。60度から70度がいいのだ。 

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これがオーロラ帯です!

 私が描いたオーロラ帯なので非常に分かりにくいけれど、確かなのはこのオーロラ帯に日本は属していないということだ。普通に考えると見ることはできない。というか、フェアバンクスに行っても、なかなか出現しなくて、私は落ち込んでいた。

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オーロラ帯にいるのに、なかなか出ないんです!

 しかしである。日本でもオーロラは見れちゃうのだ。海外でしか見ることができない、と思いがちだけれどそんなことはない。日本には「低緯度オーロラ」というものが出現する。現在の日本では北海道の陸別町が有名だ。

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これが低緯度オーロラです!

陸別町は日本一寒い町として、しばれフェスティバルを行ったり、現在放送されているNHK朝の連続テレビ小説100作目「なつぞら」のロケ地だったりする。基本的にはオーロラより、なつぞらを今は押しているけど、オーロラの街なのだ。 

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陸別町に来ました!
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オーロラ通りがあったり、
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マンホールもオーロラ!
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そして、なつぞらラッピングの電車

低緯度オーロラとオーロラは同じ

陸別町の道の駅で売られている商品を見ると、基本的には「なつぞら」だ。しかし、今回注目するのはオーロラ。問題は「なつぞら」のロケ地だけれど、この日はひどい雨だったこと。雨だと夏空もオーロラも見えないんだよね。 

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かなりの雨でした!

 陸別町には「銀河の森天文台」がある。日本最大級の115cm反射望遠鏡があり、星空を観察することができる。この日は雨だから星なんて見えないんだけどね。ちなみに街の人に「オーロラを見たことありますか?」と聞くと「ないです」と言っていた。イエローナイフに行くと見られますよ、と教えてくれた。

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銀河の森天文台です!

 そもそもオーロラとは、太陽から飛んできた電気を帯びた粒子が、地上の大気と衝突した時に起きる放電現象だ。この粒子は太陽風によるものなので、太陽の動きが活発だとよりハッキリとしたオーロラが出現する。どちらにせよ、雨だと見られないんだけどね。

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蛍光灯が光るのと同じ原理らしい!(蛍光灯=オーロラと覚えてください)

低緯度オーロラは低緯度に特別にできるオーロラではない。フェアバンクス等で見えているオーロラが低緯度地域でも見えているということだ。大きなオーロラがフェアバンクス等に出現した時に、それが北海道で見える。 

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普段はこうだけど、
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大きいオーロラが出現すると見える!

 低緯度オーロラは赤色のことが多い。オーロラと言えば緑色、赤色、ピンク色だったりを想像するけれど、低緯度オーロラは赤色だ。それは昔からそう。日本では昔から低緯度オーロラが出現し、「赤気」や「白気」などと言われていた。

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吾妻鏡にもオーロラのことが書かれています
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ここ!

 吾妻鏡は鎌倉時代に成立した歴史書だ。その頃は北海道以外でも低緯度オーロラが出現したという。この後も何度も低緯度オーロラは出現するけれど、オーロラを知らない庶民は「火事だ」と言っていることが多い。

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1770年のオーロラ(猿猴庵随観図絵)

 明和7年(1770年)には規模の大きい低緯度オーロラが出現している。猿猴庵随観図絵でその時の様子を見ることができる。やっぱり赤い。このオーロラは非常に大きく、宮崎でも観測されている。上記の絵の様子は名古屋あたりのものだ。

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これは陸別の低緯度オーロラ!

では、なぜ赤いのか。オーロラの色は太陽からやってきた粒子が、大気中のどの原子とどうぶつかるかで変わる。大気の高度により原子の密度や種類が異なり酸素の発光の仕方が異なる。高度の高い部分(200キロメートル以上)だと赤色になるのだ。 

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こういう感じ!

 猫がかわいいですね。高度が高い部分に出現するオーロラは赤いので、低緯度から見えるオーロラは赤いということだ。昔の庶民はこのオーロラを「火柱のような気」、「鯣の槍の形」などと表現している。オーロラはローマ神話の女神「アウロラ」に由来するので、日本的ではないのだ。

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日本書紀にもオーロラの話があります!
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これがオーロラのこと!

 現代の日本で低緯度オーロラ

上記からわかるようにオーロラの出現には太陽の活動が関わってくる。太陽活動周期は11年周期と言われており、その時に低緯度オーロラが出現する可能性が高い。陸別で前回観測されたのは2015年だ。 

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銀河の森天文台の日本最大級の115cm反射望遠鏡

2015年のその時は、太陽のコロナ質量放出が起きている。2015年以前は、2013年、2004年、2003年にそれぞれ低緯度オーロラの写真が撮られている。若干ズレがあるけれど、11年周期とすれば、次に観測できるのは2026年ということになる。 

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この日の夜、当然低緯度オーロラは見えず!
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だって雨だもん!(網走にて)

 観測を期待できる時期は9月から4月の寒い時期だ。陸別は日本一寒い町で、冬はマイナス30度を越える。さらに平成元年に国内で初めてオーロラのカラー撮影に成功した町なので、期待はできる。ただ2026年頃だけど。

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銀河の森天文台に夢の装置があります!

ただ安心して欲しい。銀河の森天文台にオーロラ発生装置があるのだ。これを使えば、いつでもオーロラが見れちゃうのだ。しかも、私はフェアバンクスで見たオーロラよりクッキリハッキリ見える。

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綺麗ですね!

 でも、である。私はいつでもオーロラを見ることに成功した。基本的には室内だとは思うけれど、駅などでもいい。オーロラは明るいと観測が難しいけれど、私の考えた方法は明るくなくてはならない。つまり、そういうことだったのだ。

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蛍光灯を見ればいいんだね!

同じ空を見ている

テキスト蛍光灯とオーロラの光が同じような原理だったので、オーロラじゃなくて、蛍光灯を見ればいいんだと気がついた。本物が見たいけども。低緯度オーロラとオーロラは別物だと思っていたけれど同じもの。アラスカでオーロラを見ている時、北海道でも同じオーロラを見ているのだ。同じ空を見ている。世界は一つだ。感動のまとめになった。

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陸別のキャラを買いました!

 

 

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