特集 2023年10月9日

シャンプー台で思ってる疑問ぜんぶ聞く

美容院でシャンプーしてもらっていると、いろいろなことが気になり始めてシャンプーどころではない時がある。

異様に小さく感じる目隠しする布のサイズ、持ち上げてもらう頭の重さ、寝てしまったあとの流れなど、疑問は湧き出るばかりだ。

そんな聞くに聞けない美容院でのシャンプーに関する疑問を、美容師さんにとことん答えてもらった。

1988年静岡生まれ・静岡在住。平日は制作会社勤務、休日は大体浜名湖にいる。
ダイエット目的でマラソンに挑戦するが、練習後温泉に入り、美味しいものをたらふく食べるというサイクルを繰り返しているため、半年で10kg近く太る。

前の記事:カルディのオマール海老めんつゆが箱買いしたいほどうまい


美容院でのシャンプーは無防備

あなたは美容院でシャンプーをされている時、どんなことを考えているだろうか。仕事のこと、家のこと、趣味のこと、髪型のこと…考えごとをしたり寝てみたり、過ごし方はさまざまだ。

わたしは毎度同じことを考えている。考えているというより、考えてしまう。それは、今まさに行われているシャンプーのことだ。

人はシャンプーをされている時、無防備である。
促されるがままシャンプー台に上り、頭を洗われ、時々投げかけられる質問に「はい」と答える。

目隠しされた向こうの世界では、いったいどんなことが行われているのか。

いつもお世話になっている美容師さんに無理を言い、普段見られない自分のシャンプー姿を撮りつつ、これまで溜めに溜めた疑問を一気にぶつけてみた。

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話の早い美容師さん

今回の企画にご協力いただく、美容師の村松 奈緒さん。

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笑顔とショートカットが素敵な村松さん。好きな食べ物は餃子とキムチ

静岡県浜松市の美容室で計20年美容師を務められたのち、昨年自身のサロン『ToRAn Hair&Body creation』をオープン。海外で美容技術を学ぶため2年間ドイツで修行されていた経験もある、バイタリティあふれる美容師さんだ。

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今回お伺いした『ToRAn Hair&Body creation』。踊れるほど広いしきれい

ちなみにドイツ修行時代村松さんはドイツ語が読めず、ボディクリームだと思って買ったクリームが実はボディソープで、半年間ボディソープをからだに塗り続けていたそうだ。

不安要素があってもまずは行動を起こす、とても大事な生き方だと大きくうなずいた。

取材依頼は自分の描く企画が相手にうまく伝わるか不安で毎度ビクビクしてしまうが、村松さんは快くOKしてくれた。村松さんの美容師人生の中でも、自分のシャンプー姿を撮ろうとしているエッジの効いた客はわたしが初めてだろう。

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シャンプーしながらシャンプーの話を聞く

腰を据えて話を聞くのもいいが、今回はシャンプーの話だ。せっかくなので実際にシャンプーをしてもらいながら、あれこれ聞いていこう。

村松さんに聞きたい質問はこんな感じ。

・目隠しする布のサイズを自ら確かめたい
・シャンプー中、美容師さんに喋りかけても気にならない?
・お湯は何度に設定している?
・「熱くないですか?」の質問に「熱い」と答える人はいる?
・「かゆいところないですか?」の質問に「ここがかゆい」と答えても迷惑じゃない?
・お客さんの頭を洗うと、普段のシャンプーがきちんとできているかわかる?
・自宅での自分のシャンプーも念入りにやる?
・お客さんの頭を持ち上げるの、重くない? 
・寝ても大丈夫? など

わたしと同じ思いを持っていた方は、ぜひこの記事でモヤモヤを解消してほしい。 

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今日はよろしくお願いします。
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よろしくお願いします。
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早速なんですが、美容院でシャンプーしてもらう時ずっと気になってたことがあります…目隠しする布って、すごく小さくないですか!?落ちないか毎度不安になっちゃいます。
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一度見てみますか?
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おぉ、これが例のあの布!初めてちゃんと見た!
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村松さんのサロンでは、ガーゼを10×15cmくらいのサイズに折りたたんで使っている
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想像より全然大きかった!目隠しするんだからそりゃそうか。これはお客さんにリラックスしてもらうためにかけるんですか?
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それもありますし、どうしても水が飛んでしまうので顔に水がかからないようにするためですね。
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ではその布をかけまして、洗い流していきますね
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今日は取材なので喋り倒しますけど、普段シャンプー中に喋りかけても美容師さんは気にならないですか?
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気にならないです。ただシャンプー台でカラーを入れる場合もあるので、そういう時はカラー剤のことを考えてたりして、たまに返事がおろそかになります。すみません!って謝りますけど。
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これもずっと思ってたんですが、カットしながら喋れるのもすごいスキルですよね。
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新人の頃、先輩のお客さんに入った時喋ってばっかりいて、あとで先輩から「喋りながら動くね」(低い声)って注意を受けたこともあります。
喋りが自分自身の緊張をほぐしてくれるのもあって、新人の頃は喋りすぎてしまうことがよくありました。
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先輩が言ってることもよくわかるけど、わたしだったらできないな。
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質問に答えながら、テキパキとすすぎをこなしていく村松さん
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お湯って何度くらいに設定してるんですか?
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美容師は大体はじめに習うんですが、手首の脈打つところあるじゃないですか。あそこで必ず温度を確認してるんですよ。
それを基準に調節しながら、お客さんに「お湯の温度は大丈夫ですか?」と確認します。あ、大丈夫ですか?
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大丈夫です!これ、絶対大丈夫って言っちゃうじゃないですか。
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言っちゃう言っちゃう(笑)
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「熱いです」って言うお客さんはいるんですか?
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全然います。季節要因もありますし、あとはお子さんや10~20代の若い子は代謝がいいから30~40代よりも熱く感じるみたいです。

わかってるので、あらかじめぬるめに設定することもあります。

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なんと!人によっても変えるんですね。
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常連のお客さまはお好みの温度がわかるので、一人ひとり合わせてるんですよ。
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お湯の温度までカスタマイズしてくれてたとは知りませんでした!ありがてぇ!
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とても気持ちがいいのでどの写真も終始笑っていました
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あと質問つながりでいうと「かゆいところはありませんか?」って質問も、仮にあっても「大丈夫です」って言っちゃいますよね。
「ここがかゆいです!」って言っても迷惑じゃないですか?
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迷惑じゃないですし、むしろ言ってください!美容院って意外とシャンプーの存在が大きくないですか?気持ちよく帰ってほしいですし、言ってもらった方がありがたいですね。

これは聞いた話だが、関東の人はわたしのように大丈夫と答える人が多く、関西の人はかゆいところをしっかり伝える人の方が多いそうだ。

そんなところにも地域性が出るなんて、以前さまざまなものごとの境目を調べた記事を書いたが、この「かゆいところはないですか?」に対する答えの境目も調べてみたくなった。

フォッサマグナが境目になる物事の多さよ 

⏩ 次ページに続きます

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