特集 2022年10月14日

明日葉がその辺に生えている! 八丈島の名物でミックスジュースを作る

明日葉というものがある。日本の固有種でセリ科シシウド属の多年生植物だ。今日摘んでも、明日になれば生えて来る、ということはないけれど、夏場を除いて1年中新芽をつけ、冬場にも枯れることはない。

東京の八丈島では昔から明日葉を食べてきた。サツマイモが入ってくるまでは、明日葉の旺盛な繁殖力より飢餓時の非常食となっていた。今回はそんな明日葉をメインにミックスジュースを作ろうと思う。

1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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明日葉=けいすけ

明日葉の存在は多くの人が知っているのではないだろうか。健康にいいということで随分と話題になったこともあるし、日本固有種ではあるけれど、今では海外でも育てられているほどの野菜になっている。 

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これが明日葉です!

明日葉の原産地はよくわかっていないけれど、八丈島ではないかとも言われている。いずれにせよ伊豆諸島であることは間違いないのではないだろうか。私は明日葉が好きである。その理由は学名だ。「Angelica keiskei」なのだ。

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どうも地主恵亮(けいすけ)です!(八丈島に来ています)

明日葉の学名はシーボルトが持ち帰った「伊藤圭介」の植物標本を基に分類し、伊藤圭介に献名する形で1867年に学名表記法に従い命名したと言われている。私の名前も「けいすけ」でして、それだけが理由でなんとなく明日葉が好きなのだ。

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明日葉です!

明日葉は本州の多くの場所ではその辺に生えている、ということはない。しかし、八丈島ではその辺に生えている。雑草のように道端に普通に生えている。それでいながら、スーパーに行っても明日葉は売られている。つまり明日葉パラダイス、ある意味、けいすけパラダイスなのだ、八丈島は。

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明日葉茶もある!
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明日葉を食べる

八丈島に行ったら明日葉を食べたいと思っていた。先にも書いたように八丈島ではその辺に生えているのだ。

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明日葉が道端に生えている

明日葉は2つの種類に分けることができる。まず1つが八丈島の八丈種。主茎や葉柄が緑色で成長が早く株の直立性が高い。もう1つが大島種。こちらは茎などが赤褐色をしていることが特徴だ。食用として市場にでているものは「八丈種」が多い。

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その辺に明日葉があることに感動する!
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食べた!

我慢できずに食べてしまった。正直に言えば特別に美味しいということはない。しかし、青臭さは少なく意外に食べられてしまう。明日葉には食物繊維やビタミン類、カリウムなどが含まれ非常に健康にいいとされる。

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明日葉アイスもございます!

八丈島では明日葉を使ったものをよく目にした。明日葉茶、明日葉の粉末を練り込んだ蕎麦、明日葉の天ぷらなど明日葉がとにかく溢れている。明日葉畑も目にした。道端にも生えているし、畑でも育てられているのだ。

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買いました!
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他の食材を集める

今回は明日葉をメインに八丈島らしいものでミックスジュースを作ろうと思う。明日葉だけで野菜ジュースを作ってもいいのだけれど、八丈島にはそれ以外にも素晴らしき食材があるのだ。 

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牛乳ですね!

その昔、八丈島の畜産は有名だった。飼料となるマグサが豊富にあり、飼育の苦労が他の地域と比べれば低かった。明治34年にはホルスタインなどを移入し、改良増殖が進められ、1日最高搾乳量4斗以上の世界記録も出ている。

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マグサです、たぶん!

森永乳業の工場があった時期もあり、島では15000頭を超える牛が飼われていた。1860年の資料を見ると1戸当たり1頭以上の牛が飼われ、戸数よりも牛の数が多かった。

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牛乳を買いました!

現在、酪農経営をしている牧場は1つだけだそうだ。その牧場の牛乳を買った。飲んでみると非常に濃厚で美味しかった。美味しいミックスジュースができる手応えのようなものを感じる。

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牧場直営のお店もあります!
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八丈フルーツレモン

八丈島では古くからレモンの栽培が行われていた。島レモンと呼ばれる菊池レモンだ。1940年にテニアン島から菊池雄二氏により八丈島に持ち込まれたものだ。このレモンを木になったまま完熟させたものが「八丈フルーツレモン」というブランド名になる。 

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お酒にもなっています!

ソフトボールを思い浮かべて欲しい。とても大きいと思うけれど、八丈フルーツレモンのサイズがそれだ。甘く酸っぱい美味しいフルーツだ。問題があるとすれば、収穫時期が1月から3月ということだ。

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いまはまだ全然小さいのよね!

農家さんを訪ねたのだけれど、残念ながら私が訪れた時期はまだ全然だった。これがやがて大きくなり黄色くなり、美味しいレモンとなる。そんなに大きなレモンを見たことがないので、いつかぜひ見てみたい。農家さんは「美味しいよ」と言っていた。

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楽しみですな、その時期にまた来たい!

農家さんが今の状態でも食べられるよ、ということでいくつかのレモンをくれた。まだ緑色の状態だ。これを炭酸水に絞って飲んでみる。驚くほど爽やかで美味しかった。この状態でも十分美味しいではないか。

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レモンを切って、
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炭酸水に絞る
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美味しい!!!

これを今回作るミックスジュースに入れようかとも思ったけれど、島に住む知り合いの知り合いが、ちゃんと成長しきった八丈フルーツレモンの果汁を冷凍して保存しているからあげるよ、ということでもらうことができた。ありがとう。

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知り合いの知り合いからもらった!
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ミックスジュースを作る

これで大体の食材が集まった。他に明日葉の粉末やパッションフルーツなども買った。パッションフルーツも八丈島では昔から作られているものだ。とても美味しいミックスジュースができるのではないだろうか。 

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材料です!!!
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ミキサーに入れていきましょう!!!

充電式の小さなミキサーを持って八丈島に来ている。それぞれの食材をそれぞれに食べてもいいけれど、それを混ぜることで凝縮した八丈島が楽しめる。それがミックスジュースだ。

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スイッチ、
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オン!!!

明日葉(生)、明日葉(粉末)、レモン(果汁)、牛乳(瓶)、パッションフルーツ(褐色)をミキサーに入れて混ぜた。美しい緑色になっていく。フルーツが2つ入っていることもあって、甘いいい香りがする。

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完成しました!

これが八丈島を凝縮した飲み物なのだ。もちろん八丈島の全てがある、とは言わないけれど、適度にある、と言ってもいいくらいに八丈島が詰まっていると思う。飲んでみると当然ではあるけれど、美味しい。飲み物として美味しい。これ売れるよ。

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美味しい!!!

口当たりはまろやかで、酸味と甘みが適度で、健康を感じる味もきちんとする。それが嫌な感じではない。今からお電話してもいいですか、と電話前に事前にメールをくれるような奥ゆかしい感じだ。つまりパーフェクトに美味しいということ。八丈島は美味しいのだ。

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飲み干した!

八丈島で健康に!

こんなにも美味しくていいんですか、というミックスジュースになった。個々でも美味しく、混ぜても美味しいという素晴らしきミックスジュースになった。空港あたりで800円くらいで売り出したいと思うほどだ。体にもいいしね。

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パッションフルーツの中!

取材協力

里正園

参考文献

「農業技術大系野菜編」農文協 農山漁村文化協会 2009

「八丈島に原生する明日葉の研究」馬場きみ江 現代書林 2007

「茄子の樹―八丈島の豊かな自然と歴史と民俗を歩く」伊川公司 新風舎 2002

「八丈島誌」東京都八丈島八丈町教育委員会 八丈町教育委員会内八丈島誌編纂委員会 1973

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