特集 2019年5月9日

足元の地下を覗く

銀座と、その地下です


地面の下には、もう一つの世界が広がっている。ふだん歩いている地面の下がどうなっているのか、いろんな場所の地下を覗いてみました。
 

1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

前の記事:駅が一部だけ暗い

> 個人サイト ツイッター(@mitsuchi)

すぐ足元の地下をのぞいてみる

地面の下には、下水道とかの地下施設がある。それって知識としては知っているけど、ふだんはあまり意識しない。

そこでこんな方法を考えた。
 

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神田駅近くの「神田下水」という下水道。明治時代のレンガが残る。

これは東京の神田駅ちかくの景色と、その足元の地下の景色(ここでは下水道)を縦に並べたもの。

地上と地下の写真を並べただけなんだけど、下水道ってほんとに地下を流れてるんだなーという気持ちに、ちょっとなる。どうでしょう、なるといいな。

こんな感じで、いろんな場所の地上と地下の風景を並べてみたら面白いんじゃないかというのが今回の趣旨です。

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東京、永田町

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東京メトロ永田町駅

東京メトロ永田町駅では、ホームのカーブが、その真上の道路のカーブと同じになっていて面白い。

地下鉄のホームや線路は、道路の下に作られることが多い。だから道路がカーブしてるときは、その下の線路も似たような感じでカーブしていたりするのだ。
 

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丸の内、行倖通り

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丸の内駐車場

最近整備された東京駅前の行幸通りの地下を覗いてみると、時代を感じさせる薄暗い駐車場になっていた。観光気分の地上とぜんぜん違ってびっくりする。

ここは60年も前に、日本初の大規模地下駐車場として作られたものだそうだ。地上と地下一階は最近キレイに再整備されたけど、地下二階の駐車場だけはもとのままこんなふうに残っている。
 

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栃木県、足尾

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足尾銅山だ。備前楯山という山の地下に、総延長1000km以上にもなる坑道が続いている。

足尾銅山ときくと、条件反射的に学校で習った公害と田中正造のことを思い出す。というかそれしか知らない。でも現地に来ると、それは田中正造である前に圧倒的な山と坑道であるという当たり前のことを思い知らされる。

春だったけど、中はとても寒かった。この中で働くのはさぞや大変だっただろうと思う。
 

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東京駅、八重洲

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東京駅八重洲口には広い地下街がある。ポテトチップスをその場で揚げるカルビーのお店があったりして有名だ。

そのカルビーの真上は、だいたい八重洲中央口のみどりの窓口脇を出たあたりだ。だからどうということはないんだけど、地下のお店にいて真上がどこかみたいなことは意識しないので、改めて示されるとちょっと新鮮ではある。
 

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千葉県、館山

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赤山地下壕

一枚目の奥に見える山の地下は、広い地下壕になっている。

地質的に掘りやすかったのか、海軍の人たちの防空壕として作られたのではないかという。しかも終戦間際だそうだ。大勢で苦労して掘ったろうに、すぐ終戦になったんじゃあんまり役にたってない。すごく象徴的だ。

 

東京、水道橋

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神田川分水路

東京の水道橋、東京ドームシティ近くの地下には、神田川分水路という施設がある。下のほうで黒く見えるのは川の水だ。

神田川のすぐ横にこういうバイパスをつくることで、豪雨のときに本流が氾濫せずにすむ。こういう大掛かりな施設が地下にあることでぼくたちの安全は守られていたりするんだけど、目に見えないだけにふだんは忘れている。ごめん、いつもありがとう。
 

東京、溜池

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東京メトロ

一度だけ、地下鉄の電車の窓が空いていたことがある。電車が走りだすと、すごい轟音と、たまに金属をひっかいたような高い音がトンネル内に反響する音がありありと聞こえた。

地下の暗い管のなかを、轟音を反響させながらすごい勢いで移動してるんだな、自分、ということをそのとき初めて実感した。窓、たまに開いてるといいと思う。
 

東京、銀座

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銀座共同溝

銀座の松屋の入口脇には、地下の共同溝が覗ける窓がある。

ていねいにラベルがはられていて、ガス管、電話ケーブル、電気ケーブル、下水道管、上水道管などがそこを通っていることが分かる。共同溝というのは、こういうインフラをまとめる通り道だ。

工事のたびにいちいち地面を掘り起こす必要が減るし、頭上から電線がなくなったりもする。共同溝の見学ってあまりやってないようなので、松屋脇はおすすめです。
 

東京、方南町

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善福寺川取水施設(連絡管渠)

東京の善福寺川という川が豪雨のときに溢れないように、近くに掘った大きなトンネルに川の水を逃がす施設が方南町の地下にある。

これもぼくたちの安全を守ってくれているけど、地下にあるので気づかれない。埼玉にある首都圏外郭放水路も同じような役割だけど、あちらは地下神殿とか言われてもてはやされているのでうらやましい。

地下の写真は、善福寺川の水を環状七号線の地下につくったでかいトンネル(調節池)に導くための通路である、連絡管渠と呼ばれるもの。実際に見学に行った知人である吉村さんのブログ(「暗渠さんぽ:地下に眠りし人工河川、環七地下調節池のおはなし」)からお借りしました。

東京、日本橋

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日本橋の地上2階から地下2階まで

東京の日本橋は、歴代のインフラの積み重ねだ。一番上には首都高、その下には日本橋、そして日本橋川があり、一番下には地下鉄が走る。

かつては日本橋川の上を船で移動し、いまでは首都高の上を車で移動する。役割は変わっていない。

というようなことを当サイトライターの大山顕さんがかねてから言っていたので、いつかこんなふうに積み重ねた写真を撮りたいと思っていた。この機会にできてよかった。
 


セットで見ると実感しやすい

地上と地下をセットで見るのはなかなかいいと思う。地下には共同溝というものがあるというより知識よりも、いまこの足元にこんな共同溝がある、のほうが地下を自分にひきつけて実感できる。おすすめです。


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