YouTubeでニュース番組を24時間配信しているテレビ局
以前「YouTubeでニュース番組をライブストリーミング配信している放送局」を色々と調べて、個人的にブログにまとめたことがあった。
放送局探しは、ひたすら「◯◯(国名) LIVE NEWS」で検索し、「ライブ配信中」となっているところをチェックしていくという作業だ。
ただし、YouTubeでニュースを24時間ライブ配信している放送局は、国によってあったりなかったりの偏りがおおい。
例えばアブハジアみたいに、規模が小さい国だとあまりそういうことをしている放送局がない。
また、大きめの国でも、様々な事情により、ライブ配信をしている局が少なかったり、なかったりするところがある。
日本も、ニュースごとの映像をアップしている局はたくさんあるものの、ニュースを24時間ライブ配信している局は少し前まではなく、先日「ANNnewsCH」が、やっとライブストリーミング配信を始めたばかりだ。
ANNnewsCHは、ニュースのライブ配信もさることながら、渋谷のスクランブル交差点のライブ配信も行っている。
日がな一日、渋谷のスクランブル交差点をボーッと眺めることができるのは魅力的だが、これはニュースではないのでひとまずおいておく。
やたらある台湾のライブストリーミングニュース
逆に、ニュースのライブストリーミング局がYouTubeにやたらあるのが台湾だ。めちゃくちゃある。
ちょっと検索しただけで、こんなにでてくる。上の画像に写っている中天新聞、TVBS新聞、民視新聞、三立新聞は、すべてライブ配信のチャンネルがある。
それぞれの放送局は、設立した主体が違うため、報道のスタンスがそれぞれ違う……ということらしいが、それよりなにより、台湾のニュース番組はめちゃくちゃ字が多くておもしろい。
字が多くておもしろい、とはどういうことか。まずは台湾のニュース番組のキャプチャ画面を見てほしい。
テレビ画面の中にあふれる文字。文字がこれでもかと詰め込まれた画面をみるとワクワクしてしまう。文字が好きなんだろうか、私は。
ちょっとじっくり見てみたい。
わかりやすくするつもりで情報の内容を書き出してみたけれど、さらにごちゃっとなった。
メインのニュースの内容の下に、ヘッドラインが横に流れるのは、CNNとかBBCみたいな海外のニュース番組でよくあるパターンだが、両脇に縦書きの最新ニュースが常に表示されている。
これは、おそらく、メインのニュースやその下のヘッドラインとも関係がない別のニュースだ。つまり、この画面の中にニュースが4つ入っている。
ここで引用した「民視新聞台」が、特別に文字が多いというわけではない。台湾のニュース番組は、どのチャンネルもだいたいこのぐらいの情報が常に表示されている。
さらに、台湾のニュース番組では、日本のワイドショーなどでもよくあるアナウンサーが情報をまとめたパネルをもとにニュースを紹介するような番組もよくやっており、そういった番組だとまたさらに文字密度があがる。
ぼくは、この「文字がやたら入ったテレビ画面」の非日常感が好きで、日本のテレビで見かけたら写真を撮るようにしている。下の写真は、2017年に選挙と台風が重なったときのニュース番組の写真だが、宝物だ。
ただ、日本のニュース番組は、文字がガビガビ入っているものは実はそんなになく、これほどになるのは、特殊な状況下でなければならないのだが、台湾のニュース番組は、ふだんからこれに近いテンションなのがすごい。
日本語や中国語など、縦書きが可能な言語の場合、文字を縦書きで表示することもできるので、文字をどんどん入れたくなるのかもしれない。
上の写真は、台湾のホテルに泊まったさいに撮影したもので「人間ピラミッド」が中国語だと「人肉金字塔」となってしまうのが、ひどくておもしろいな〜とおもって撮った写真だが、やっぱりこれも情報が多く、よくみるとその日の運勢まで書いてある。
ニュース番組でその日の運勢などを画面に表示するの、日本か台湾だけでは?
他の国はどうなのか?
韓国SBSのニュース番組。
韓国のニュース番組はおちついたデザインで、色も地味で文字情報も必要最低限しかないものが多い。
ちなみに右下のは小人ではなく、手話の人である。韓国のニュースは番組によっては手話の人が右下に出ることがある。
こちらは、ニュース専門局のYTN。多少文字が増えているものの、全体の雰囲気は落ち着いている。
インドは、ニュースのライブ配信を行っている局が多い国のひとつだが、画面中の文字比率も多い。
インドのニュース番組は、文字だけでなく、局のロゴや後ろの背景みたいなものまでがCGでグリグリ動いてせわしない。
なんでそんなに動くのかよ、と大泉逸郎みたいに問いかけたくなるほど動く。こればっかりは実際にみていただきたいので、下の画像からリンク先に飛んで見てみてほしい。
インドは、文字も言葉もまったくわからないので、BGMとして流しておいても、仕事のジャマにならなくてよい。インドのホテルで仕事している気分になるのでおすすめだ。
社会主義国のテレビ
「YouTubeでニュースを24時間ライブストリーミング配信しているテレビ局」を中心に見ているが、社会主義国のテレビ局は、YouTubeにはなかなかない。
中国のCCTVは、海外向けのニュースチャンネルがあるけれど、国内向けのニュースをライブ配信しているチャンネルはYouTubeにはない。
CCTVの海外向けテレビ番組は、社会主義国っぽいやぼったさなどは画面になく、欧米のおしゃれなニュース番組なんかと遜色のない仕上がりになっている。
ベトナムにもYouTubeにニュースをライブストリーミング配信している放送局はない。
その代わり、ベトナムの国営放送であるVTVのサイトに行けば、VTVの好きなチャンネルを視聴することができる。
中国もベトナムも、地上波の全国放送を行う民放テレビ局というものはない。国営のテレビ局以外のテレビ局は、あっても地方政府や政府機関などが運営するテレビ局で、公営ということになるようだ。
ベトナムはVTVという国営テレビ局が、ニュース専門チャンネル、教育専門チャンネル、スポーツ専門、エンターテイメント専門と、テレビ番組のジャンルごとにいくつも専門チャンネルを持っており、それが全国で放送されている。
中国もほぼ同じようなしくみで、地上波の全国放送を行うテレビ局はCCTV(中国中央電視台)のみで、CCTVが、ニュース、教育、スポーツ、エンターテイメントなどのコンテンツごとに専門チャンネルをいくつも持って全国放送を行っている。
日本(やアメリカ、韓国、台湾など)のように、いくつものテレビ局が、ニュースやドラマやバラエティなどのコンテンツを、局ごとに制作して放送するスタイルとは根本的に違っている。
ところで、実は日本も過去にコンテンツ専門局として開局した民放テレビ局がある。それはテレビ朝日とテレビ東京だ。
テレビ朝日は、元々「日本教育テレビ」として開局(1959年)し、テレビ東京は、日本科学技術振興財団が母体となって開局(1964年)した。
いずれも「教育専門局」という名目で免許を交付されたものの、「教育専門」という足かせは厳しいものがあったようで、後に総合放送局(教育放送だけでない、普通のテレビ放送を行う)として免許を交付(1973年)されている。
テレビ朝日を昔は「NETテレビ」といったのは、ニッポンエデュケーションテレビジョンだったためだ。
余談が長くなった。
北朝鮮のテレビをインターネットでみる
さて、東アジアにはもうひとつ社会主義の国がある。北朝鮮だ。
北朝鮮も国営のテレビ局、朝鮮中央テレビの他に、娯楽専門のテレビ局(万寿台テレビ)や教育専門のテレビ局(竜南山テレビ)などのテレビ局があり、テレビ放送の仕組みとしては中国やベトナムと同じといえる。
もちろんYouTubeに朝鮮中央テレビのライブストリーミングはないけれど、インターネットを探すと、なぜか朝鮮中央テレビの放送をライブストリーミング配信で見られるサイトが存在する。
「報道」という名称のニュース番組の力強さったらない。
北朝鮮のテレビは、平日の朝や昼間は放送をしていない。テレビをつけてもカラーバーである。15時(平壌時間だが日本と同じ)から放送がスタートし、「報道」は、毎日夕方5時と夜8時からの2回放送される。
報道では、どんなことを報道しているのか。事件や事故といったものはまず扱われず、国の動向と、現場で頑張る北朝鮮人民の方々のインタビューなどが中心だ。つまり、体制のプロパガンダである。
ぼくがみた回は、おそらく、台風被害かなにかの復興現場の応援に「楽団」がやってきて、歌をうたったということを、かなりたっぷりやっていた。
日本でも震災のあと、歌手が東北に行ってよく歌をうたっていたけれど、やっていることはおなじだ。
ただ、北朝鮮は「復興」とかではなく「被害回復戦闘」と書いてある。
画面にならべて表示させる方法は?
さて、各国のニュース番組をながめるだけで話が長くなってしまった。本題の「テレビ画面にズラッと並べる」の部分である。やり方はそんなに難しくない。
まずは、ブラウザのタブを、タイル状に並べるプラグインを、ブラウザに入れる。
ぼくは『Tile Tabs WE』という機能拡張を、Chromeにセットして使っている。たて3列、よこ2行で、1画面に6つのタブを並べる設定にしている。
ひとつのタブごとに、好きなライブストリーミング配信のニュース番組を表示させていくと、最終的にこんな感じになる。
いっきょに6カ国のニュース番組を同時に視聴することができる。
テレビ局の副調整室とか、通信指令室みたいな部屋でふんぞり返りながらボーッと画面を眺めるのが夢だったんだけど、わりと簡単にできてしまった。たまらない。
テレビにHDMI入力があれば、こんな感じで、テレビに接続して世界のニュースをBGM代わりに仕事をすることも可能だ。
もちろん、タブに表示させるものは、YouTubeのライブストリーミング動画だけじゃなくてもよく、朝鮮中央テレビやVTVといった、独自にLIVE配信しているものでもいいし、なんなら、東京アメッシュとか、どこかの町の定点ライブカメラとかでも構わない。
ただし、この画面にしていると、パソコンのCPUに負荷がめちゃめちゃかかるらしく、ぼくのノートパソコンは、どこかへ飛んでいってしまいそうなぐらいめちゃくちゃデカい唸り声をあげて、熱した豆炭ぐらい熱くなってしまう。
世界をBGMに仕事できる
ニュース番組を6局同時に再生すると、音声は、音声が重なってまったく聞き取れない。
だが、逆にそれがいいのである。自分にとって理解できない言葉なので、逆に騒音にならず、気にならない。町の雑踏が気にならないのと同じ理屈だ。
ただ、たまに、日本のことを取り上げたニュースが報道されると、日本語がかすかに聞こえ、おぉ? と思って画面をみてしまう。こんなにうるさくて耳に入ってこない音声なのに、その中から日本語だけは聞き取ることができるのはやはり不思議だ。
日本語を母語とする我々のようなものにとって、日本語はやっぱり特別なのだ。