特集 2023年6月27日

長崎県佐世保市の老舗「白十字パーラー」の2階レストランが70年の歴史に幕。これまでの歩みを聞いた

7色に光るオブジェを乗せた支店もオープン

当時はまだ珍しかった喫茶店と看板商品が大当たりし、白十字パーラーはお店の規模をどんどん拡大していった。

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レストランの規模を3階まで拡大した。
画像提供:白十字パーラー

本島本店は四階建てに増改築。軽食を提供するレストランも2階と3階に設け、熱帯魚の水槽や植物に彩られた空間に魅せられてさらに多くの客が訪れた。

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お土産のお菓子販売と喫茶、レストランが融合!夜の街を照らすネオン看板がさらに客の心を惹きつけた。画像提供:白十字パーラー
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余談だが、右隣の建物は「スターナカムラ」という文具店だった。わたしが初めて漫画入門セットやスクリーントーン、コピックマーカーを購入した思い出深い店である。画像提供:白十字パーラー
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内装の一部。家具やインテリアにもとてもこだわった。調度品は初代と二代目がメインで収集していたらしい。
画像提供:白十字パーラー

「二階の奥の席に座れば先生に見つからない」と、高校生カップルに密かな人気だったという。

さらにはお祝い事やパーティー、プロポーズといった、人生の節目を飾る舞台にもなった。

さらに、国道沿い(現・京町支店)と戸尾町にも支店をオープンした。

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佐世保市街地に向かう国道沿い。現在の天津包子舘隣に新しいビル店舗をオープンした。ここは改装し現在も営業している。画像提供:白十字パーラー
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かつて戸尾町にあった支店。二代目が考案したお菓子「チョコローゼ」の文字が躍る。まるで宇宙船のようなぽるとのオブジェがインパクト大。現在は駐車場になっている。
画像提供:白十字パーラー

――じゃんぼ餃子でおなじみの、天津包子舘さんとなりのビルですね!現在も営業されています。そして、戸尾町にもあった支店のオブジェがこれまた素敵です。宇宙船のよう。

近藤社長「これ、夜になると7色にキラキラ点滅するんです。老朽化で30年前に撤去したんですけど。ご年配のお客様が、これがなくなったのが本当に名残惜しいとおっしゃっていて。帰省や、旅行から戻られたときに見ると『佐世保に帰ってきたな~』と思ってらっしゃったらしいんですね。ちなみに、このオブジェは2箇所あったんです」

――え、京町支店には無さそうでしたけど、どこでしょうか。

近藤社長「上町という場所に工場があったとき(現在は柚木町に移転)、すぐ横に初代夫妻の自宅がありまして。ほぼ自宅の屋上なんです」

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工場兼自宅、と言ってもよい建物の屋上にも丸いオブジェがあった。屋上が、7色に光る家とは。画像提供:白十字パーラー

――「『今日も綺麗かよね~ぽるとさんトコ』って、地元の方は愛着を持って呼んでたんでしょうね、きっと」

佐世保の風景そして名物の1つとして定着した白十字パーラー、ぽると総本舗。その礎を築いた初代・徳治さんは、69歳で生涯を終えた。

65歳で英三さんの父親に二代目を譲り、自宅で盆栽の手入れや愛犬とふれあうなどして余生を過ごしたらしい。

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趣味の盆栽が彩る自宅の庭園にて。画像提供:白十字パーラー
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本店入口。ひょっとしてこの立派な松の盆栽は徳治さんの作品?
画像提供:白十字パーラー

それは、当時まだ幼かった英三さんの目から見ても、とても穏やかな姿だったという。

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撮影者は不明とのことだが、豊かな人生の年輪が表情に現れている。とても良い写真だ。画像提供:白十字パーラー

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