特集 2024年5月3日

JR鶴見線“だけ”全駅下車RTAの旅、どれぐらいでできる?

7時36分大川駅発→国道駅

大川駅から鶴見駅行きに乗り、国道駅で下車。

15.png
はい、国道駅到着

国道駅は、1930(昭和5)年、鶴見臨港鉄道が、仮鶴見駅まで乗り入れしたときに出来た途中駅だ。国道と交わる場所にあるから国道駅。国鉄っぽくない駅名の名付けかただけれど、それはもちろん当時は私鉄だったからだろう。

なお、肝心の国道は現在、国道15号となっているけれど、駅が完成した当時、この道は国道1号線だった。

16.jpg
国道駅前の国道
17.JPG
国道と反対側の出口は、旧東海道に面している

コンクリートの高架を利用して設けられた国道駅駅舎は、昭和5年に完成した当時のまま残っており、さまざまな媒体で「昭和の雰囲気が残る駅」として紹介されている。

18.jpeg
現在、営業している店舗はない

完成当時は「臨港デパート」と呼ばれ、食品、雑貨、医療品などを取り扱う店舗が入っていたと言われるが、現在はどこも営業していない。

10年ほど前までは、かろうじて焼き鳥店が営業していたらしいが、現在は閉店している。
※参考「昭和の香りがするガード下の居酒屋「国道下」に突撃!」

なお、国道駅には、第二次大戦中に受けた機銃掃射の弾痕が今でも残っていることでも有名かもしれない。 

19b.jpg
機銃掃射の痕が残るコンクリート
20a.JPG
ここにも

なんの解説もないので、言われなければ見過ごしてしまうけれど、昭和時代と地続きであることが実感できる貴重な痕跡だ。

なお、機銃掃射の銃撃痕は、さきほど訪れた大川駅から武蔵白石駅に行く途中にある鶴見線大川支線第五橋梁にも残っている。

20b.JPG
大川支線第五橋梁の銃撃痕、鉄板に穴が空いている

国道駅の滞在時間は11分予定なので、もう時間がない、次の駅、海芝浦に向かう。

いったん広告です

8時3分国道駅発→海芝浦駅

さて、3駅訪れただけでこのボリュームになってしまった。

残り10駅もあり、この調子でいくと、ネットの記事ではちゃんと読んでもらえない分量になってしまうので、これから先はテンポ良くチャッチャと紹介していきたい。

次に来たのは海芝浦駅。

21.png
電車の扉が開くとすぐに海
22.JPG
電車・ホーム・運河

海芝浦は、ご覧の通り京浜運河のすぐ脇にあり「電車を出るとすぐに海」というシチュエーションで、観光スポットとしても意外と人気のある駅だ。

夜は、運河向かいの扇島の工場夜景が美しく、それでも人気があるようだ。

23.jpg
海芝浦駅

本来は東芝の工場に行くための駅であり、東芝の社員以外は駅の外には出ることができない。
ただし、改札を出ることはでき、駅の横に整備された小さな庭園を鑑賞することができる。

24.png
小さい公園(海芝公園)だけには行ける

折り返しで発車する電車に乗りたいので、駅での停車時間は3分しかない。うろたえて電車に戻ると入った瞬間に扉が閉まった。次の新芝浦駅まで乗る。

いったん広告です

8時15分海芝浦発→新芝浦駅

25.jpg
新芝浦駅こちらです

新芝浦駅も、東芝の事業所のすぐ目の前にある駅だが、こちらは敷地外に出ることは可能となっている。

海芝浦駅もこの駅も、芝浦というのは東芝の旧社名である芝浦製作所の芝浦が由来であるため、東京の地名が横浜の駅名になっているという珍しい例かもしれない。

新芝浦で下車すると、電車は先に行ってしまうため、交通手段がない。立入禁止の事業所しかない場所で、1時間近くも次の電車を待つのは面倒だ。

川崎駅行きのバスもあるものの、平日の朝に1本しかないというハードスケジュールである。

26.JPG
平日の朝に1本だけのバス路線。夜勤明けの人が使うのかな?

というわけで、10分ほど歩いて浅野駅に向かう。

27.png
浅野駅まで徒歩移動
いったん広告です

新芝浦→浅野駅

28.jpg
浅野駅

浅野駅は、1926(大正15)年に貨物駅として開設され、1930(昭和5)年に旅客の取り扱いがはじまった。

駅名は「セメント王」と呼ばれ、京浜地区の埋立事業に功績のあった浅野総一郎の名前から取られている。

29.jpg
浅野総一郎(浅野総一郎『父の抱負』1931・浅野文庫)

浅野セメントは、現在太平洋セメントとなっているけれど、浅野総一郎は他にも札幌麦酒(現・サッポロビール)など多数の会社の設立に関わっている。若い頃は、竹の皮を売ったり、公衆トイレを作って糞尿を肥料として売ったりしていたらしい。 

いったん広告です

8時40分浅野駅発→鶴見小野駅

浅野駅の次は、鶴見小野駅に向かう。 

30.jpg
鶴見小野駅です

鶴見小野駅の小野も人名由来だが、ここは他の駅の実業家の人名とちょっと違っており、江戸から明治にかけて新田開発を行った地主、小野家から来ているらしい。

31.JPG
駅前には商店街のような建物がある

小野駅前は、今までの工場しかないような駅とは違い、人家や商店などが立ち並んでおり、駅の利用者もけっこう多い。

しかし、駅の公衆トイレには紙が備わって無く、仕方なく、数十メートル離れたコンビニまで、乗り換え時間の13分の間にダッシュで行って帰ってきた。

別に、乗り遅れても死ぬわけじゃないのに、トイレに行っている間中、生きた心地がしないのはなぜだろう。

なんとか、次の電車の時刻に間に合ったので、褒めてほしい。

いったん広告です

8時57分鶴見小野発→弁天橋駅 

32.jpg
弁天橋駅です

鶴見臨港鉄道の当初の終着駅として1926(大正15)年にできた、鶴見線オリジンステーションのひとつ、弁天橋駅。現在は、JFEとAGCの事業所が目の前にある。

へー、さすが大企業の目の前にある駅だから、きれいで新しいな〜なんて思いながら、改札外に出て駅の写真を撮ろうとしたところ、なぜかスマホの画面に鳥のフンがべったりとついていた。

同行してくれていた妻に見えないところを点検してもらったところ、どうも背中に鳥にフンを落とされていたらしい。と、鳥め!

33.jpeg
証拠写真抑えてもらったぞ!

ちょうどよいところに、駅の目の前にコンビニがあったので、ウェットティッシュを買いにいこうとすると……。

34.png
生体反応がないコンビニ……

土曜日曜休みのコンビニでした〜。土日休むならコンビニエンスを名乗らないでほしい。(鳥のフンはティッシュできれいに拭き取りました)

⏩ 家紋が由来の埋立地

<もどる ▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

記事が面白かったら、ぜひライターに感想をお送りください

デイリーポータルZ 感想・応援フォーム

katteyokatta_20250314.jpg

> デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」が届きます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ