特集 2024年5月3日

JR鶴見線“だけ”全駅下車RTAの旅、どれぐらいでできる?

9時9分弁天橋駅発→扇町駅

さて、気を取り直して今度は一気に終点の扇町を攻める。

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扇町駅

扇町駅。この周辺の埋立地は、先ほど登場した浅野総一郎が埋立を進めたため、浅野家の家紋であった扇から名付けられた。

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浅野(あさの)の名前が残っているセメント関連会社のうち、いくつかは、今でもこのような扇の形の社章をつかっている(アサノコンクリート深川事業所)

扇町駅は終点なので、折り返しの電車に乗らない場合、は乗り換え時間が長くなってしまう。こんかい、折り返しの電車に乗らなかったので、40分も時間がある。せっかくなので駅周辺を歩いてみる。

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一軒だけ、ビジネス旅館と食堂があるが、土曜日は営業してなかった

扇町駅周辺には、意外と民家っぽい建物もちらほらある。川崎市の住民基本台帳では、2024年3月末時点で33世帯43人の人が住んでいるようだ。
ただし、男性33人に対して、女性が10人となっているので、社員寮などに住んでいる人が多いのだろう。

ちなみに、鶴見線は、扇町駅、昭和駅、浜川崎駅、大川駅が川崎市川崎区にあり、それ以外は横浜市鶴見区となっている。

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10時5分扇町駅発→安善駅 

続いて向かったのは、安善駅。

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安善駅こちらで〜す

安善。みなさまご想像の通り、この駅も人名由来だ。「銀行王」と呼ばれた安田善次郎の名前をとって安善である。

なぜ、ここだけキムタク風の略し方をしたのかは謎だが、昔から、エノケン、アラカン、バンツマみたいな略し方はあったので、アンゼンも「安全とかかっててちょうどいいや」ってことで、決まったような気がしないでもない。

安田善次郎は、同郷(富山県)の浅野総一郎との関係が深く、善次郎は浅野の事業を陰に陽に助力している。しかしながら、われわれにとっての安田善次郎は、オノ・ヨーコの曽祖父であるということのほうがピンとくるかもしれない。

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安田善次郎(坂井磊川『銀行王安田善次郎』1925・喜文堂書房)
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10時39分安善駅発→昭和駅

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昭和駅でございます!

昭和駅。昭和肥料の工場があったため、昭和と名付けられた駅だ。昭和肥料はその後、日本電工となり、現在はレゾナックホールディングスとなっているが、その関連会社が今も駅前にある。

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錯視を利用した注意喚起のペイント。なぜか直接肉眼で見るより、カメラを通して見たほうが、より立体に見えた。広角レンズのせい?

そして、ここで重要なことに気づく。

スイカの履歴を見てみたところ、なぜか浅野駅の乗車記録がされていなかった。
うっかり、キセル乗車をしてしまったかと焦ったが、そうではなく、スイカの履歴に記録されるのは、下車した駅名だけらしく、乗車だけした浅野駅は記録されてないことがわかった。

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新芝浦駅の次にあるはずの浅野駅が記録されていない……

そこで、急遽予定を変更し、これから浅野駅に向かうことに。

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10時52分昭和駅発→浅野駅 

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本日2回目の浅野駅です

浅野駅で下車の記録を済ませると、すぐにホームに戻る。

さっき来た時は気づかなかったけれど、浅野駅のホームの屋根と鉄骨の梁の間に、大量の雀の巣があるらしく、よく見ると雀のさえずりがものすごいことになっていることに気づいた。

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すごい数の雀がいるようだ。浅野駅に行く用があるひとはぜひ気にしてみてほしい

ウィキペディアの浅野駅の項目を見ると、国鉄時代に鳥小屋があったとの記述があるけれど、なにか関係があるのだろうか……。

などとぼんやり考えているうちに、次の電車がやってきた。

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11時18分浅野駅発→浜川崎駅 

次の駅は浜川崎駅だ。

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浜川崎駅。おばちゃんとおじさんに道を聞かれた。初めてきた人には分かりづらいかもしれない

浜川崎駅、1926年の鶴見臨港鉄道開業の際の、オリジンステーションのひとつである。
現在、JR南武線の浜川崎駅と接続しているが、駅舎が別々になっているので、乗り換えする場合もいったん改札をでなければいけない。

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木造ホーム、よく考えたらこれほど木造なのってけっこう珍しくないですか?

浜川崎駅のホームは、柱も屋根もすべて木造であり、かなりの趣がある。これほど木造の駅舎って東京近辺の駅ではけっこう珍しい気もしないでもない。

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11時34分浜川崎発→武蔵白石駅 

次はいよいよ最後の駅、武蔵白石駅だ。

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ついに、武蔵白石駅に到着!

武蔵白石。「鋼管王」と呼ばれ、日本鋼管の初代社長を努めた白石元治郎の名前が由来となっている。

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白石元治郎(井東憲『鋼管王白石元治郎』共盟閣版)

鶴見線の実業家由来の駅名は、かならず「なんとか王」になぞらえられているのが面白い。大川は「製紙王」、浅野は「セメント王」、安善は「銀行王」で、白石は「鋼管王」である。

いま、この中にこっそりカワサキあたりと関係ある会社が混じってないか調べたが、そういうことはどうもないっぽい。もしあれば「バイク王」も追加できたのにと臍を噛んでいる。
※川崎重工のカワサキは創業者の名字、川崎からきており、神奈川県の川崎市とは関係がない。


鶴見線RTAタイムは、約4時間半で回れることがわかった

というわけで、鶴見線13駅だけを完乗、全駅下車は滞り無く終わった。途中、漏らしそうになったのと、鳥にフンをかけられた以外のトラブルはなかった。

朝、7時12分に鶴見駅を出発し、行ったり来たりを繰り返しながら武蔵白石駅に到着したのが11時37分。4時間25分ほどで鶴見線の全駅下車は可能であることがわかった。(※始発にした鶴見駅は、入場のみでカウント)

始発駅と開始時刻をもっと工夫して、途中で徒歩やバスの移動手段も使っても良いことにし、ダイヤをもっとうまくやりくりすれば、おそらく4時間を切るタイムで、鶴見線全駅下車のスケジュールも組めるかもしれない。

そして気になる運賃の合計は、1878円(ICカード料金)かかった。これも、167円で移動する区間をうまく増やせば、もうちょっと少ない金額で回れるだろうか。

なお、鶴見線の駅はほぼ無人駅で、券売機もない駅もあるので、ICカードを使わず、切符で乗る場合はなにをどうすればいいのかちょっとわからない。
もし、鶴見線全駅下車RTAをやりたい人は、スイカを使ってやったほうがいいとおもう。

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鶴見線RTAのスイカの履歴こちらです! よろしくどーぞ
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