味の素=グルタミン酸ナトリウム
味の素の成分はほとんどがグルタミン酸ナトリウムで、これは昆布のうま味と同じだ。以前は小麦粉のグルテンを加水分解したりして作っていたらしいが、今はサトウキビを発酵させて作っているらしい。
よくこの手のうま味調味料を「化学調味料」という人がいるけど、発酵で作ってるなら化学調味料ってのも変な話だなって調べながら思った。発酵で作った味の素が化学調味料なら、ビールも発泡酒も化学アルコールになってしまう。多分そうは言わない。変な話だ。
発酵で作られるアミノ酸という点では、納豆や味噌、醤油のうま味と同じって事じゃないか。
うま味って面白い
粒をよく見ると細長い結晶になっている。直接なめると、最初は意外に味がしないが、舌全体に広げてみると包み込まれるような丸くて優しい美味しさを感じられる。
美味いぞ、これ。これがグルタミン酸ナトリウム本来の味なのだ。昆布を直接舐めた味にも確かに似ていた。
うま味というのは、舌の飽和量が決まっているそうで、いっぱい掛けても飽和量を超えたら同じ味にしか感じられないらしい。なので、味の素を使うときは飽和量を超えない程度の少量で十分みたいだ。
さて、では色々な料理に味の素を掛けて食べ比べてみよう。
炊きたてご飯に味の素を振りかけて
まずは基本のご飯だ。炊きたてのご飯そのままと、味の素を掛けたもの2種類を用意して食べ比べてみた。なお、僕の舌だけでは信用ならないと思うので妻にも食べてもらった。
味の素無し
松本:新米は美味いね!甘くて美味しい毎日食べられる味。
妻:普通に美味しいね。
味の素アリ
松本:コンビニのおにぎりみたいな美味しさ。甘みとうま味が一体となって強制的に美味いと思わされている気がしてくる。うん、でも美味いよ。これ。
妻:おにぎりにして山に持って行くなら味付きでもいいけど、普段食べるなら掛けない方がいいな。おかずを食べて舌をフラットにするためにご飯食べるんだから。
味の素を掛けた方が美味しいとは思ったけど、白飯にはそういう役割を求めてないので掛ってない方がいいかと思いました。
もやしの塩胡椒いため味の素をあしらって
次はもやしの塩胡椒炒め。シンプルな味で肉料理の付け合わせにしたりします。
味の素無し(塩胡椒)
松本:ふつうにもやし。まずくはないが美味くもない。ちょっと塩が足らなかったかも。
妻:アッサリしていて美味しい。(※僕は濃い味が好き、妻は薄味が好きです)
味の素アリ
松本:美味い。明らかに美味い。塩だけだと物足りなくて、塩を足そうかと思ったくらいだけど、味の素を掛けたら十分美味しくなった。食塩の摂りすぎを抑える効果があるんじゃないか、これ。
妻:カップ焼きそばっぽい味がする。わたしは塩胡椒の方がアッサリしてて美味しいと思う。
僕は味の素を掛けた方がおいしいと思った。塩だけの方を食べたときは物足りなく感じたけど、味の素を掛けた方は同じ塩分量でも明らかに味が濃くて美味しく感じた。塩分控えめとか気にしてる人は味の素を使うと良いかもしれません。
豚肉の塩焼き味の素をかけて
豚肉を焼いた。最近ご飯を作るのが面倒くさいときはキッチン焼き肉をよくやっている。その豚肉にも味の素を掛けたら美味しくなるんじゃないかと思ったのだ。
味の素無し(塩味)
松本:美味い。豚肉って超美味い。塩を掛けたけど、掛けなくてもよかったんじゃないかってくらい美味い。
妻:美味しい!肉はやっぱり豚肉だよね!
味の素アリ
松本:たしかに美味いけど、豚肉自体にうま味があるのでもやしほど差を感じない。掛けても掛けなくても良いくらい。っていうか豚肉すごい。
妻:だから焼きそば調にしないで!(意味がわかりませんが言ったとおりです)
豚肉はそれ自体がうま味の塊なので、あとから味の素を掛けてもそんなに美味しさは変わらなかった。この豚肉自体、買ってから5日ほど冷蔵庫で熟成させているのでアミノ酸の量が増えていたのかも知れない。こういう、素材自体のうま味が多い食材には味の素は掛けない方がいいかもしれない。
しめじのバジル風味バター炒め味の素をちらして
秋の味覚きのこ。っていっても最近は人口栽培で一年中同じ値段で同じ味のきのこが売られてますが。でも秋にはきのこが食べたくなるのでしめじを買ってきました。
味の素無し(バターと塩味)
松本:シメジ美味い。シメジ自体にうま味があり、甘みもあり、木の香りもあり美味い。秋だね!秋!
妻:あたしきのこ嫌い。
味の素アリ
松本:うま味が濃い!味を濃く感じる。なんかビール欲しくなってきたな。
妻:あたしきのこもビールも嫌い。
シメジにもアミノ酸は含まれているけど、人口栽培されたシメジの場合はクセや風味が弱く、もやしのように調味料との親和性が高い。なので、この場合も僕は味の素を掛けた方が美味しいと思いました。
なすのバターソテー味の素仕立て
シメジもうまいけど秋なすも美味い。学生時代によく行った居酒屋で出たナスのバター焼きが美味しかったのでそれ以来真似して作っている。ざく切りのナスをバターで焼いて味を付けるだけなので簡単で、ビールにも合うのです。
味の素無し(バターと塩胡椒)
松本:ストレートになすの味。秋なす美味いよ秋なす。甘みを感じつつ秋の香り。柔らかい果肉にバターのコクと焦げた香りが最高。
妻:ナスも嫌いだから食べないよ。
味の素アリ
松本:味を濃く感じる。秋なすの風味に味の素が勝っていて、美味いんだけど風情はない。ただ、ビールとの相性は抜群。なんかの味に似てるなーと思ったらあれだ、ポテトチップの味。油とアミノ酸でポテトチップ風味になったのだった。
妻:ナスはなんか、食感が気持ち悪い。
こいつぁ美味いね。食べていて嬉しくなる美味しさ。今まで味の素を使ってなかったけど、そういえば店で食べたのはこんな味だった気もしてきました。
ハンバーグきまぐれ味の素風味
ハンバーグにも味の素を。タネを練るときに塩と味の素を混ぜ込んだ。もう結果とかわかってる気もするけど食べ比べてみました。
味の素無し(塩胡椒)
松本:肉と玉葱の甘みがナイス。鉄板の美味しさ。カリッと焦げた肉の食感と香ばしさ、じゅわっとしみ出す肉汁の甘みとうま味。ハンバーグ最高。
妻:しょっぱい。塩入れすぎ。
味の素アリ
松本:塩だけの場合よりもぐっと味が濃い。ハンバーグ一口で茶碗半分のご飯を食べられる勢い。ご飯が進んで進んでしかたない。
妻:舌に残るね。味の素も塩も入れすぎなんじゃない?
味の素がどうとか言う以前に、僕が塩と味の素を入れすぎ、って事がわかった。そういえば最近、ご飯を作るたびに味が濃いって言われてるんだよね(僕は炊事担当なのです)。
バニラアイス味の素の雪景色に見立てて
デザートはバニラアイス。バニラアイスに味の素を掛けてみた。果たしてスイーツも美味しくなるのか。
味の素無し
松本:冷たくて美味しい。
妻:冷たくて美味しい。
味の素アリ
松本:ないね、これは。バニラアイスと味の素が真っ向勝負してる感じで味がバラバラに感じる。三角定規のイメージ。
妻:これは!ポテトチップスにバニラアイスを付けたときの味だ!ポテチの食感は無いけど味は同じだ!(※「ナオミの奇妙なメニューを」を参照してください)
僕はちょっと……と思った味なのだけど、これまで味の素に否定的だった妻は喜んでいた。どうも、僕らは味の好みが全然違うようだ。これでよく僕の料理を毎日食べてるね、と聞いたら。
「うーん、美味しいときもあるよ。」
「え、不味いときもあるの?」
「それは言わぬが花よ。」
と言われた。この記事を書いてわかったのは、僕らの味の好みが正反対と言っていいほど違うと言うことなのでした。どうでもいい結論で申し訳無い。
味の素を掛けるとなんでも美味くなるけどかけ過ぎには注意
母にどうしてうちでは味の素を使わなかったのか聞いてみた。
「なんかほら、化学調味料でしょ、あれ。イメージが悪いわよね。それに食べ物本来の味ってものがあるじゃない。それで十分なのよ、わたしは」
との事だった。化学調味料との点については電話で面倒だったし好き嫌いもあるだろうから説明しなかった。
確かに味の素を掛けるとなんでも味の素味になってしまってしまう。それはそれでお酒にも合うしご飯も進むけど、なんというか不健全な気もする。インスタント過ぎるというか。楽しすぎというか。
ただ、やはり味の素は美味い。舌と脳がそういう風に出来てるのだから仕方ない。僕にとって美味いもんは美味い。 味の素は美味かった。
ちなみにこの記事、別に味の素のPR記事というわけじゃなくて僕が勝手においしいと思って書いてるだけですので、そこんとこよろしくお願いします。