デジタルリマスター 2023年3月3日

味のあるフォントづかいコレクション(デジタルリマスター)

デイリーポータルZではだいたい毎日1本、デジタルリマスターと称して過去の記事の画像をAIにより画像を拡大し、再掲載している。

なにぶんむかしの記事なので粗が目立つことも多く、気づいたときは加筆修正する場合もある。

しかし本日掲載する記事はどうにも加筆修正でフォローできなかった記事である。

14年前に書いた自分の記事。月日が経って編集者として経験を積んだ僕が、当時の自分の若さと対峙し、原稿に赤を入れていきたい。

青で書かれた部分が訂正した原稿、赤文字は注釈である。以下、本文です。

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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> 個人サイト nomoonwalk

パソコンの普及で、昔に比べて手書きの文字を書く機会がずいぶん少なくなった。僕みたいに悪筆な人間にもやさしい時代の到来だ。

でも、だからといって気を抜いてばかりもいられない。悪筆問題をやりすごした先には、パソコン特有の問題「フォント選び」がたちはだかっている。するとこんどは「フォントを選ぶ」という新たな自由が生まれた。

🖊️フォント選びを「問題」と称し、正解と不正解があるかのように語っているのが気になりました。このことが次の段落のネガティブな表現につながっています。ニュートラルな形で書きたいです

しかし世の中には、そんな問題が潜んでいることにまったく気づかないで書かれてしまった文字がある。自由を与えられても人はえてして無難なフォントを選んでしまいがちだが、中には独特のフォント選びにより何とも言えない「味」が生まれてくる場合がある。今日はそんな文字たちを鑑賞していきたい。

🖊️妙な上から目線を感じるので、ネガティブではなくポジティブに書くこと。さらに「忙しい生活で張り詰めた表情筋を一瞬ほころばせてくれる」くらい書いてもいい。


不適切な味のあるフォントづかいとは?

🖊️「不適切」という表現も正誤判断に基づいているので、「味のある」が良いです。

🖊️以下の囲み部分、正誤がある前提で書かれているのですべてカットします。

 

まずは下の画像を見てほしい。

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花屋さんのポップ

花屋さんのポップだ。注目してほしいのは、数字に使われているポップ体。文字のウキウキした感じにつられて、私も1束買っていこうかしら、なんて気分になってしまう。うまいフォントづかいだ。

🖊️花を買うのは女性という固定概念があるように思います

しかし、これはどうだろう。

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数字は適当です

🖊️プレゼン資料をなぜ印刷したのですか?キャプチャでよさそう

おかたい資料に、うかれた文字。TPOをまったく意識していないフォント選びだ。この資料で予算達成状況の説明をされても、半笑いで説明されているみたいでぜんぜん説得力がない。

フォントなんて何を使っても自由だけれど、文書の内容に応じて向き・不向きがあるのは確か。ゆえに、このようにどうしてもしっくりこない、「それ違うよ!」といいたくなるフォントづかいが生まれてしまうのだ。

🖊️面白い写真で例を見せる導入部に書き換えた方がいいでしょう。以下、例。 

例えば、この写真を見てほしい。 

DSCN3418_photos_v2_x2.jpg
たぶん噛まれても痛くない。

「その時の気分でかみつきます」と、かなり深刻な警告が丸文字でコロコロと書かれているので思わずなごんでしまった。これが内容とフォントのギャップで発生している「味」である。

そんな間違った味のあるフォントづかいを集めて、分類した。ポップ系、ホラー系、3D系、その他、の4種類だ。順に紹介していこう。

🖊️「間違った」はやはり正誤に基づいており言葉が強すぎるので「味のある」で。 

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ポップ系

まずは定番のポップ系からだ。

世の中にあふれている間違った味のあるフォントづかいのなかでも、いちばんよく見られるのがポップ体。会社で、街で、お店で、駅で、いたるところでTPOをわきまえてないポップ体を見ることができる。Microsoft Officeに入っているので、気軽に使いやすいのだろう。今回は、定番のポップ体にくわえて、丸文字やまんがみたいな文字もポップ系に分類した。

ウキウキした文字は緊張感をそぐ。注意書きや、謝罪文、警告にはもっとも向かないフォントだと組み合わせると味わいが生まれがちだ

🖊️強い表現を削除し、ポジティブにしました。また、ポップ体に対するツッコミはありがちなネタなので、このセクションごと削ることも検討したいです。

DSCN3300_photos_v2_x2.jpg
緊張感ゼロ。

 🖊️写真が暗いのでレタッチしてください

DSCN3403_photos_v2_x2.jpg
手塚治虫風?看板つきやぶって突っ込んでいくのが正しい対応ではないか。

 🖊️昔のマンガっぽい文字を適当に「手塚治虫」と言っていませんか?

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途中まで笑いをこらえて言えたのに、「調整中」のところで噴いてしまった、みたいなフォントづかい。
DSCN3418_photos_v2_x2.jpg
たぶん噛まれても痛くない。

  🖊️これは先に貼ったので削りましょう

DSCN3324_photos_v2_x2.jpg
いまいち信用できない。本当に17時に開くだろうか。赤文字にしたことで日曜祝日は一層ウキウキしているように見える

   🖊️批判的に書かないでください!

DSCN3273_photos_v2_x2.jpg
子供がぐったりしてるのにそんなとぼけた文字を!

 🖊️これだけは正直そんな気がする 

ポップ系の中でも、いちばん浮き足立っている浮かれているのはやはり丸文字。猛犬注意がまったく緊張感をかもしださないのはもちろん、営業時間案内ですら、ちょっと信用できない印象なのだ。猛犬注意からも営業時間案内からも、ついついウキウキが漏れ出てしまう。

 🖊️「浮き足立っている」は逃げ腰のときに使われる表現とされているので書き換えた方がいいでしょう。

TPOのわきまえてなさ、空気の読めてなさこそが、ポップ系のフォントづかいの醍醐味といっていいだろう。

 🖊️嫌味を書かないで

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ホラー系

意外に多いのがこのホラー系。インクが途切れるように、太い部分と細い部分が混在する文字たち。なんとなく人に恐怖心を呼び起こさせ、不安にさせるフォントだが、うっかり食べ物なんかに気軽に使われていることが多い使われると別の味わいが出てくる

 🖊️強い言葉ではないが、悪意がにじみ出ているので書き換えました。

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魚を殺して焼いて食ってしまうという恐ろしい定食。
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一くち黒棒。食べたら死ぬ。
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右の黒い文字。「夢」「住空間」ときて、「たたみ」で唐突にホラー。ギャー!
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店内に入るとそこには血まみれになった着付美容師が…
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別の店。血まみれになった着付美容師が組合を組織。

特徴のあるフォントだけに、個性的なフォントを使おうと思った人がうっかり手を伸ばしてしまうのかもしれない。これが恐ろしい文字であることに気づかないままに。

しかし、これは地雷だ。うっかり踏んでしまったら一気に紙面全体がどんよりと霊気に包まれる。万全の注意を払いたい。

個性的なフォントだけにいろいろ想像が広がってしまう字体たちである。

 🖊️大げさに煽るところにおかしみはありますがやはり正誤の感覚に基づいて書かれているので、シンプルなものに置き換えました。

⏩ 次ページに続きます

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