ペンション感覚の実家と懐かしむ方法
今年の5月から実家が佐賀県にある。
僕が上京してからも、実家は大分県、東京都、香川県、そして佐賀県とどんどんと場所を移している。子供の頃は知らない土地に引っ越すことは、なんだかワクワクして楽しかったが、上京してからは、実家だけが知らない土地に移るので複雑な心境だ。
久々に実家に帰っても周りは見たことのない風景ばかりで「懐かしい」という感想はまず持たない。
実家が知らない土地にあっても母親がいわゆる「お袋の味」的なものを出してくれれば「懐かしい」と思うはずだけれど、母は僕が上京してしばらく経って亡くなってしまった。なので、いま実家に帰ると、父が台所に立っている。
母が生きていた頃は父が台所に立つことはなかった。
そのためなのか、そういうのを見ると、なんだか脱サラした人が経営するペンションに来た気分になり、実家じゃない気がして全然懐かしくないのだ。
どうにか行ったことがない実家でも懐かしいという感想を持てないだろうかと考えた。その結果、小学校時代の通学路(家~小学校までの道)を今の実家周辺(佐賀)に置きかえて歩いてみることにした。
福岡の通学路を佐賀で歩く
小学校に入学したとき、僕は福岡県古賀市(当時は市ではなかった)に住んでいた。そして、家から5、6分歩いたところにある千鳥小学校に通っていた。その道順を今の実家(佐賀)に置きかえて歩いてみる。
夏の日差しの中、当時の家の地図と今の実家周辺の地図を照らし合わせて歩く。
福岡の通学路を佐賀の実家に置き換えて歩いてみて思うのは、「やっぱりまったく懐かしくない」ということだ。なんとなく分かっていたけれど、初めて歩く道を懐かしいと思うはずがない。目に入るすべてが目新しく新鮮だ。
ただ、その道順で歩くとどこに着くのか、というワクワクがある。
福岡の学校は佐賀ではカレー
ついに福岡では学校だった場所に着いた。
そこは佐賀ではココイチだった。カレーハウスCoCo壱番屋だ。正しくはその営業所兼工場だった。
実際に目的地についてみても思うのは「やっぱり懐かしくない」だった。
着いた瞬間「ココイチか…」と思った。決してココイチは嫌いではないし、むしろ好きだけれど懐かしくはない。実家に帰った時にワザワザ行く場所でもない。
たとえば、行き着いた先が駄菓子屋とかだったら行ったことがなくても「懐かしい~」と思わず言ってしまったかも知れないがココイチ。しかも、ココイチは福岡県古賀市にはないから小学生時代には一度も見たことがない。
でも、冒険気分が味わえたからいいかということで、次は鹿児島県の谷山小学校の通学路を佐賀県で歩いてみようと思う。