特集 2024年4月23日

つくば市の学校給食レシピ本が素晴らしかった!

昨年末、友人達とつくば市に遊びに行きました。今回はそこで出会った素晴らしい冊子を皆様にご紹介いたします。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

前の記事:「就業中の眠気問題」、アンケート結果発表!

> 個人サイト 片手袋大全

 初めてのつくば探訪

私はこれまでつくばという都市にまったく縁がありませんでした。強いて言えば、何かと鋭い幼少期の私に「この子には何かがある!」と感じた母親が、筑波大付属小学校を受験させるということはありました。まあ、あそこも東京の文京区だし、受験もかすりもしませんでした。

それが昨年、つくば在住の方と知り合う機会があり、遊びに行くことになりました。その方の手厚いアテンドにより、高エネルギー加速器研究機構を見学させて頂いたり、とんQのとんかつを堪能したり、初めてとは思えないほど充実したつくば探訪となりました。

image6.jpg
ここを見学していたおかげで、Netfrixドラマ『三体』の理解が深まった
image9.jpg
とんQ、肝心のとんかつの写真がなくて、キャベツしか撮ってなかった
いったん広告です

コーチャンフォーで出会った冊子

昨年と言えば、DPZで大々的につくば特集が組まれた年でもあります。特集の中で私が一番気になったのが、巨大書店コーチャンフォー。勿論、私の名前が「公二」なので小さい頃は「こーちゃん」と呼ばれていたからです。余談ですが、コージーコーナーも自分のコーナーだと思い続けてる節があります。

image16.jpg
コーチャンフォーの前に佇むコーチャンワン

噂通り巨大なコーチャンフォーの書棚を隈なく物色していると、平台に積まれた一冊の無料冊子が目に留まりました。

image13.jpg
これがその冊子。『つくば市学校給食レシピ本』

なんとなく手に取りパラパラめくってみて、すぐに分かったのです。「これ、めちゃくちゃ良い冊子だ!」。

いったん広告です

なんだ、この可愛い冊子は!

冊子の内容はつくば市の教育局健康教育課が発行している、学校給食レシピ集。1月から12月まで、その季節ならではの給食メニューのレシピがイラスト付きで紹介されています。

image14.jpg
最初に見た時はまさか無料の冊子とは思いませんでした

まずイラストが可愛い&美味しそうで最高です。どなたのイラストなのかクレジットはないのですが、食べ物への愛情に満ちています(ちなみにネットにPDFも公開されています)。

image15.jpg
この皮目の色使い!
image12.jpg
湯気の表現と丼から少しはみ出たうどんが絶妙

レシピだけじゃなくて食材や行事にまつわるトリビアなんかも書かれていて、読み物としても楽しい。

image11.jpg
「むくみ解消」などの情報もあるので、子供だけでなく保護者への意識も感じられる

特に10月の学校給食の日に添えられた文章を読んで、私は不覚にも泣いてしまいました。

image10.jpg
ほうれん草と玉ねぎのように、我々も手を取り合おうじゃないか!

あのね、地球上の人間で一回集まって給食食べましょうや!

いったん広告です

私は学校給食が大好きだった

それで思い出したんですけど、私は「給食の為に学校に通っている」というくらい、給食ガチ勢でした。

私の学校、給食のおかわりは早い者順だったので、少しでも有利に試合を運べるよう、席替えでは一番前の席になるよう努力していました(努力=目が悪い、と先生に訴える等)。

運悪く一番前の席が確保できなくても、まだできることはあります。前席の椅子の後ろに勝手に献立表を貼り、登校するとまずその日の給食をチェックしていました。

image5.png
授業中もうっとりと献立表を眺めていました

あとは学年の初めに、アレルギーなどで牛乳が飲めない友達と年間契約を結ぶんです。「お前の牛乳は俺にくれ」と。巧みな交渉術により、おかげさまで牛乳は一日3本くらい安定して確保していました。

皆さんの学校にも廊下なんかにその日の給食の見本が置いてありませんでしたか?うちの学校は食品サンプルではなく、本物が置いてありました。ある日、三時間目の授業中にトイレに行きたくなってしまい、教室を出たことがありました。すると他のクラスの同級生が廊下のショーケースを開けて、そのサンプルを食べてたんです。(見てはいけないものを見てしまった)と思うと同時に、給食に前のめりなその姿勢に共感もしました。

とにかく給食にまつわる思い出は無尽蔵に掘りおこせるくらい、本当に美味しくて大好きな時間でした。今回この冊子に出会ったことで、私の小学校の栄養士さんの顔なんかもはっきりと思い出せました。

image7.jpg
給食当番に励む幼き日のこーちゃんを見てくださいね(右)
いったん広告です

せっかくだから作ってみよう

当然、読むだけではなく作って食べてみたくなりますよね?既に幾つかやってみてるのですが、例えば「鶏肉のレモンソース」。

image3.jpg

揚げ物なのにレモン香る甘酸っぱいソースのおかげでサッパリした味わい。うちの子もたくさん食べてくれました。

image8.jpg
ダイエット中なのでもも肉ではなく胸肉を使いました

メインだけではなくて、「もう一品欲しいな」なんて時にちょうど良いメニューもあります。こちらは「ちくわのレモン漬け」。

image1.jpg

作る前は「これ、ちくわ入れる意味ある?」って思ったんですけど、野菜のザクザク食感とちくわの柔らかさが良い対比になっていて納得しました。

image4.jpg
給食でしか見ない食べ合わせってあると思うんですけど、これなんかまさにそう

昔懐かしい給食を食べさせてくれるお店もありますが、どうしても「ソフト麺」「揚げパン」「わかめご飯」などの最大公約数的メニューになりがち。

しかしこの冊子の中にはリアルで現在進行形の給食が詰まっています。レシピはクックパッドにも掲載されているので、興味がある方は是非作ってみて下さい。

いったん広告です

手軽に味わえる他人の人生

これまでまったく縁がなかったつくば市という土地。しかし、気付いたらそこに住む子供たちと同じものを食べてるんだから不思議な話です。調べてみると他にも給食レシピをクックパッドに掲載している自治体はたくさんありました。

静岡県富士宮市の学校給食レシピ
新潟県三条市の学校給食レシピ

見知らぬ土地の子供たちが心待ちにしているメニューを、四十過ぎの私が自宅で味わう不思議。空間も時空も超えて味覚から誰かの人生を味わえるんですから、これは面白いですよ。
 

▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ