特集 2019年4月15日

カニミソがシュウマイの価値を倍にする「サーフ&ターフ&チープ」

「うにく」ってご存知ですか?

ほら、見るからにとろけそうな美しいサシの入った牛肉で、ウニを巻いたりする料理。
グルメ情報サイトの記事や、TV、雑誌なんかで、近年よく目にするようになりましたよね。
ああいった、魚介類と肉類を合わせた料理には「サーフ&ターフ」というジャンル名があるそうです。
サーフ=海、ターフ=牧草地、というわけで。

この、高級料理のイメージのあるサーフ&ターフを、もっと身近な食材で作れないか? 手ごろに手に入る組み合わせにも、実は超うまいサーフ&ターフがあるんじゃないか?

そんなことを思いついたので、検証してみたいと思います。
 

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:あらためて、水うまい


ウニと肉の相性

ただし、僕はまだ「うにく」ってやつを食べたことがなく、それがどんなに美味しいものか、というか、本当に美味しいのかすら知りません。

これではお話にならない。

まずはその味を知っておくことが大前提ですよね。

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スーパーにおあつらえ向けのものが売ってました

ど〜れ、パクッ……うんうんうん、ぜんっぜんわからん! お菓子としては美味しいけど!

というわけで、素直にうにくを出しているお店を探してみたところ、広尾や六本木にしかないのかと思っていたら、なんと地元の大泉学園に「絶品うに巻き刺し」というメニューを出すお店を発見。

しかも練馬価格ということなのか、想像していたよりはだいぶリーズナブルな、1皿1800円で出されているそう。
なんとか手が届きそうなので、行ってきましたよ。

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これか〜「絶品うに巻き刺し」!

心していただいてみましたけれどもね、これがま〜うまいこと!

例えるならば、非の打ち所のないほどに性格のいい美男美女のカップルが結婚しました、って感じ。

ふたりともスラリと身長が高く、どこへ行っても目立つんだけど、決して気取ったところがなく、嫌味がない。
そりゃあ彼らのことを知らないやつが、ひがみややっかみから陰口を言うこともあるでしょう。
もしもそんな声が耳に入ったとしても、彼らは気にもとめない。

そして陰口を言っていた人物も、何かのきっかけに彼らの人柄に触れると、過去の自分が間違っていたことを反省し、彼らのことが大好きになってしまう。
今はまぶしく遠い存在に見えるけれども、いつかは対等に付き合えるようになりたい。
そう思い、休日を使って自分磨きを始める。
それは新しい資格の勉強か、ヨガか、ボランティア活動なのか。

ともかく、もはや人の陰口などのために使っている時間は1秒たりともない。
そう、私の人生は、今、本当の意味で始まったのだから。
そんな相性の良さです。

なるほど、これは流行るのも納得だ。
あと、これで1800円はむしろ破格なんじゃないだろうか……。

と、美味しさを確かめたところで、あらためて、サーフ&ターフ&チープ検証スタートです。

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検証スタート!

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スーパーでいろいろ買ってきました

今回は、魚介系食材5種類に、肉系が6種類。
計30通りの相性を見ていってみようと思います。

方法としては、まず肉類の土台を並べます。

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右から「豚バラ」「生ハム」「シュウマイ」「焼鳥」「サラミ」

基本加工品で、豚バラのみ塩少々を加えて炒めたもの。

ここに魚介類を乗せては食べ比べてみようというわけです。

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甘エビ

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甘エビをダシ醤油に15分ほど漬けておいたもの

これを先ほどの土台に乗せてみたところ、

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わはは!

あるある! こういう、創意工夫でがんばってる系の居酒屋!
っていう、なんともかわいいサーフ&ターフプレートが完成しました。

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では実食していきま〜す

数も多いんで、ここからはただただ感想を書き連ねていくことにしますね。

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甘エビ&ターフ

・甘エビ×豚バラ
え? いきなり超うまい! 脂身たっぷりで厚みのある豚肉を選んだのが良かったのか、それぞれの甘さが見事に調和し、例えるならば、佐々木健介と北斗晶夫妻のような安心感というか。
もしかして魚介×肉、なんでもうまいんじゃないの!?

・甘エビ×生ハム
いや、そんなことはなかった!
塩気が強い生ハムが甘エビの味に勝ってしまいます。

・甘エビ×シュウマイ
「生エビシュウマイ」って感じで新鮮な味わい。

・甘エビ×焼鳥
これまた、味の強い焼鳥が甘エビをかき消してしまいました。

・甘エビ×サラミ
食感がぜんぜん違うので、口の中で混ざらない。

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漬けマグロ

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ビンチョウマグロをダシ醤油に15分ほど漬けておいたもの
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漬けマグロ&ターフ

・漬けマグロ×豚バラ
あ、これうまい! なんだか説明できないんだけど高級料理みたいな味がする。
そもそも、豚バラの受け皿が大きいのかもしれない。

・漬けマグロ×生ハム
まったりとした甘さと塩気で、甘エビほど悪くないです。

・漬けマグロ×シュウマイ
ここはマグロにシュウマイが勝つ。
まだ法則がつかめない感じですね。

・漬けマグロ×焼鳥
あまり気分のよくない味。

・漬けマグロ×サラミ
あまり必然性を感じない。

っていうか、今後もこの感想がバンバン出てくるので、そういう場合はすべて「必然性なし」に統一していっちゃいますね。

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タラコ

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明太子ではなくよりシンプルなタラコにしてみました
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タラコ&ターフ

・タラコ×豚バラ
どことなくもんじゃ焼きを思わせるような、子供が好きそうなおもしろ味。

・タラコ×生ハム
しょっぱい!

・タラコ×シュウマイ
これもやっぱり子供が好きそうだけど、とはいえどこかの子供が、「お母さんあれ作って〜!」とか言ってる姿は想像できないくらいの味。

・タラコ×焼鳥
鶏ササミ明太とかあるので合うかと思ったら、意外にも混ざり合わない。

・タラコ×サラミ
なんか違う。
っていうか、サラミは他の食材に心を開く気がなさそう。

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塩辛

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イカの塩辛です
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塩辛&ターフ

・塩辛×豚バラ
あら、これはすごい!
あきらかにこれまでとは違う、相乗効果というか科学変化というか、そういうものが生じています。
どちらの食材にもなかった、どこかチーズを思わせるような深みが不思議で、かけ合せる意味を感じる。
うまい!

・塩辛×生ハム
お互いの良いところを打ち消しあって、ただ塩味の食べ物という感じ。

・塩辛×シュウマイ
なぜか違和感がなさすぎて、単なるシュウマイ。

・塩辛×焼鳥
あまり気分のよくない味。

・塩辛×サラミ
必然性なし。

カニミソ

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瓶入りのこういうの
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カニミソ&ターフ

・カニミソ×豚バラ
想定の範囲内の美味しさ。
少々豚の脂っこさが際立ってしまう。

・カニミソ×生ハム
生ハムの塩気をカニミソが抑えているようで、なかなかの相性。

・カニミソ×シュウマイ
わ、シュウマイが急にカニシュウマイになった! うまい!
少しのカニミソをトッピングすることで、シュウマイの値段が倍くらいになった感じ。

・カニミソ×焼鳥
必然性なし。

・カニミソ×サラミ
もうサラミはそのまま食べよう。

結果発表!

以上で今回の検証は終了。
びっくりするような発見も、必然性のない組み合わせもありましたが、最後に個人的ベスト3を発表しておこうと思います。

第1位【甘エビ×豚バラ】
一番お互いの良さを引き立てあっていたように感じました。
っていうか、たぶんまた作る。

第2位【塩辛×豚バラ】
1位と迷ったけど、純粋に味として好きだったのが甘エビとの組み合わせだったのと、塩辛は商品によって味に幅があるので2位に。
が、もっともサプライズのあった組み合わせでした。

第3位【カニミソ×シュウマイ】
こんな単純なことでカニの風味濃厚なカニシュウマイ(風)ができるとは盲点でした。

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1位は甘エビ×豚バラ!

当然、今回の組み合わせはほんのごく一部であって、この世にはもっともっと相性の良いサーフ&ターフ&チープな組み合わせがあることでしょう。

今後も積極的に探っていってみようと思いました。

ところで、実際に「絶品うに巻き刺し」を食べに行った大泉学園の「ごち魂」というお店、すごい良くて、おもわず必要以上に飲んでしまったので、お近くにお寄りの際はぜひ。

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選べるおばんざい3種680円がかなりの満足度だったり、ホッピーセットが390円だったり
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