特集 2024年12月9日

一般には公開されていない「マクセル」の史料館へ行ってみる

割と最近のものだと思っていたものが結構、過去

こちらはDVD-RAMですね。

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DVD-RAM、あったな

――あ、DVD-RAM。1998年には出ているんですね。割と最近まで見たような

ビデオカメラ用に使われていたカートリッジタイプのものもありました。

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カートリッジタイプのものやビデオカメラ用のDVDディスクも

――こんなものがあったとは、知りませんでした。

こちらは放送用のハイビジョンビデオテープで、テレビ局などで使用されていたものですね。

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業務用らしい渋めのデザインもまた良し

――個人的に、CD-RやDVD-Rでもマクセルのロゴをよく見かけていた気がします。でも最近あまり使っていなくて……。記録メディアってどんどん変化していきますよね。

そうですね。パソコンも、最近はデフォルトではディスク用のドライブが搭載されていなくて。外付けが主流になっていますよね。

――そうですよね。

そうなると、なかなか目にする機会が減りますね。今はデータをそのまま送ることもできますから。

――たしかに。そもそもデータの記録メディアというもの自体をあまり使わなくなった気がします。それはちょっと味気ない気もします。かつてを知る者としては。

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これは、最初にご説明したタイヤのバルブの部分に搭載されるセンサーですね。

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今のマクセルの主力製品になっているタイヤ空気圧監視システム用電池

――あ、これがそうなんですね。これが2005年で、このあたりからだんだんと普段目にしないものが増えていきますね。

そうですね。あとは、「iVDR」というハードディスクを発売していたこともありますが、こちらは製造はすでに終わっています。

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2007年に登場したリムーバブルハードディスクドライブ「iVDR」

――「iVDR」というのはなんですか?映像用のものですか?

リムーバブルハードディスクといったようなもので、一番左のものが民生用です。デジタル放送を録画できるハードディスクです。デジタル放送は暗号化されていて「ライトワンス」などの著作権保護の仕組みがありますが、そういったシステムに対応した製品です。カセットを差すような形で録画機器にセットして録画し、同じ規格の機器であれば、他の機器でも再生できるというような製品です。

――デジタル放送の暗号化か……たしかに一時期話題になった気がします。

今は映像データを持ち出すということ自体が少なくなってきてしまって、みなさんダビングをされないんですね。録画自体もあまりしない方が増えていて、録画してコレクションするというようなことがもう……。

――旧時代的なものになってきているんですかね(笑)保存して取っておこうという気持ち自体が古いんですかね。

お子さんの映像をDVDに保存してというようなことはあると思います。

――たしかにそうですね。家庭用のビデオカメラって今はどうなっているんでしょう。

ハードディスクが搭載されていたり、SDカードに保存するタイプのものが主流になっていますね。

――そうだ!SDカードの容量がいつの間にやらすごく増えましたもんね。

このCMはご存知ですか?

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2007年にACCのグランプリを受賞したマクセルのCM「ずっとずっと。新留小学校篇」

――いや、見たことがないと思います。

当社のDVDのCMなのですが、廃校になる小学校の最後の7日間を追ったものです。このCMはすごく反響が大きかったんです。ACC CM FESTIVALでグランプリとジャーナリスト賞ダブル受賞しており、殿堂入りしているCMです。

――へー!後で検索してみます。

一度は廃校になってしまったんですけど、今また新たに私立小学校として立ち上げようというクラウドファンディングがあるそうなんです。当時の映像に写っていた先生たちも集まったプロモーションビデオがまた新たに作られていて、それを見て感動しました。

――そうなんですね。それこそ、まさにそんな風に映像をディスクに残しておくというようなことが今は無くなりつつあるわけですもんね。

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ここから先は、ほとんど現行品に近いものが並んでいます。

――なるほど、これが67年間の歴史っていうことですね。時代の変化を感じます。

展示の中央には、こちらはさきほどの「Analog Core Technologies」で展示されていた機械とは別の機械なのですが、筒形乾電池を製造するためのものですね。ここには一つ一つ、芯があって。

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乾電池を製造する時に使われていた古い機械

――あ、これが電池の中に入っていたんですね。これは今とは全然違うシステムですよね。

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機械は、乾電池の中に芯を入れる用のものだったという

そうですね。今は自動化されていますから、人がこのように作業することはないですね。

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機械でできる部分以外は人が作業して乾電池を作っていた時もあった

こちらは、カセットテープの製造用の機械です。磁性粉を塗布したものを巻き取って切っていく行程に使われていたものですね。それをこのように裁断していたんです。

――おお、やっぱり製麺機とかパスタマシンに似ているような感じです。

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製麵機好きの玉置標本さんに見せたい機械だ

そして裁断したものをまた巻き返して、ケースに収めていくという製造工程でした。

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カセットテープの作られ方、考えたこともなかった
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――これも人が介在してやっていたと。繊細な作業だったでしょうね。なんだか遠い時代までやってきたような気がします。

長くなってしまいましたが、以上のような展示内容になっています。どうでしょうか……あまり「デイリーポータルZ」として面白いところがなかったような(笑)

――いやいや、こういう機会でなければ知れないことばかりでした!こうして一気に見ていくと、創業時にやられていたことと現在やられていることが無縁じゃないというのが分かるというか。あの技術がこれに繋がって次の何かになって、というのがわかりますね。

そうですね。それが当社の今の製品群に繋がっています。

――それが本当によくわかりました。ありがとうございました!

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濃厚なひとときでした!ありがとうございました!

帰宅後、片峯さんがおっしゃっていたCMを見てみた。

最後の方は泣きながら見て、こんな風に、誰かが撮った映像とか音とか、そういうものが記録されて残るということの良さを改めて感じた。でも、マクセルの歴史を通じて改めて知ったように、技術の進化に応じて、私たちの身近にあるメディアも電化製品もどんどん変化して、また今は今なりのあり方になっている。そんなことを知れた貴重な機会だった。

ついつい古いメディアに愛着を持ってしまう私は、久々にカセットテープに録音したドリカムでも聴こうと思った。

今回取材させてもらった「Maxell Technology Gallery」の展示内容は以下のURLから見ることができます!

https://www.maxell.co.jp/technology_gallery/

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