せっかくだから試してみよう
沖縄では南国フルーツが手に入りやすいのだが、それでもドリアンだけはそうそう見かけない。今回たまたま見つけたので買うことができたのだが、正直飲みながら焼肉食えるくらいの値段した。これ、本当にうまいのだろうか。一度タイの市場で食べたことがあるのだが、そのときは「くさいくさい」と騒いだだけであまり味を覚えていない。
今回せっかくドリアンを買ったので食べる前にひとつ試してみたいことがった。現地マレーシア等では、飛行機やホテルへのドリアンの持ち込みが禁止されているのだという。なぜならばくさいから。王様なのにひどい扱いだ。ならば国外ではどうだろう。日本のホテルにドリアンを持ち込んでみた。
わかりやすいように裸のドリアンを持ち歩く。ドリアンは手の中でずっしりと重く、表面のトゲトゲが容赦なく突き刺さってくる。においは、まあくさい。しかし熟したドリアンは表面に亀裂が入ったりしてそこからにおいを散らすのだが、今回手に入れたものは幸いにも無傷だったので、がまんできないほど強烈なにおいというわけではなかった。しかし落としてはじけてホテル中腐敗玉ねぎ臭に、なんてことにならないよう気をつけなくてはいけない。
こんなに目立つ割にエントランスでもロビーでも誰にも注意されなかった。たまにすれ違うベルボーイ風のホテルマンにも笑顔で会釈される。日本では持ち込み禁止じゃないのだろうか。直接フロントで聞いてみた。
「いらっしゃいませ」
あの、ドリアンなんですけど、ホテルに持って入っても大丈夫ですか。
「……。」
……。
「しばらくお待ちください」
問題ないみたいです
対応してくれたフロントの女性は困った顔をして奥に下がってしまった。面倒くさそうな上司とか連れてきたらどうしよう。とげとげの王様を抱きながら所在無く回答を待っていると、ほどなくしてさっきの女性が一人で帰ってきてくれた。
「切らなければ、問題ないようです」
好きになりそうだった。
口ぶりからして日本にはドリアンに関するガイドライン的なものはないのだろう。あんまり持ち込む人がいないからだと思う。一般的に考えて他のお客様の迷惑となるようなくさいものは持ち込みできません、という程度のようだった。
あと一つ、ドリアンに関する情報の中で「酒と一緒に食べると死ぬ」というのが気になったが今回は見ぬふりをする。次のページではいよいよご飯と一緒にドリアン食べるよ。