特集 2019年6月5日

制限時間5分で競うオリジナルラーメン選手権

これらのラーメン、みんな5分で作りました!

ちょっと前に「ラーメン作りは10分で十分、10分ラーメン選手権開催!」という記事を当サイトで書き、勢い余って「作ろう!10分ラーメン」という同人誌まで作った。

それくらいラーメンを作るのは楽しい。麺から作ろうとすると大変だが(そこが一番楽しいけど)、市販の生麺さえ買って来れば、大きな寸胴で骨を煮なくても、大量の乾物から旨味を抽出しなくても、身近な食材で気軽にオリジナルラーメンが作れるのだ。

今回はより簡単に、そして競技性を高めるべく、前回の半分である「5分」を調理時間としたラーメン選手権を開いてみた。

 

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

前の記事:トングでカニを捕まえた(デジタルリマスター版)

> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

ラーメン作りは10分から5分へ

それにしても5分である。茹で時間3分のインスタントラーメンでも、ちょっと具を用意したりすれば5分は掛かる。その刹那の時間で一体どんなラーメンが作れるだろう。

生麺の茹で時間が2分半だとして、まず最初の1分半で具材を用意し、麺を茹で始め、その間に調味料や加熱する具を煮てスープを作り、ラスト1分で丼に盛り付けるという流れが基本の調理フォーマットか。

例えば、万能ねぎを刻み、麺を茹で、鍋で豚肉と調味料(醤油、だしの素など)を煮てスープと煮豚を作り、丼に盛ったところで、別鍋で熱した胡麻油をジューっと掛けるというのはどうだろう。

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和風ネギ豚ラーメン。ネギとおろしショウガの上から熱した胡麻油を掛けたのがポイント。

これの調理時間は、頭の中で捏ね繰り出した理屈だと4分45秒くらいなのだが、実際にやってみると段取りを忘れまくって6分半。びっくりするくらい、何度も頭の中が真っ白になった。

味は見た目通り。美味しいんだけれど想像通りというか、良くも悪くも常識の範囲内。伸びしろは調味料と具材選びのセンス次第という感じか。うーん。

制作進行表の考え方で作る調理レシピ

ここから何度かの試作を繰り返しつつ、レシピを固めていったのだが、何度やっても段取りを忘れてしまう。

そこで昔やっていたウェブ制作の進行業務を思い出し、キッチンにおける『制作進行表』を作ってみた。5分のラーメンを時間通り作るために2時間くらい掛ったけど。

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台所のどの場所に立ち、何をすればいいのかが一目でわかるはず。

想定は後述する公式ルールに合わせて、二口コンロと電子レンジがあるキッチンで、片方のコンロには麺を茹でるためのお湯が沸き、またポットもお湯が用意されている状態。

横軸には15秒刻みのメモリが用意され、そこにキッチンのリソースが並ぶ。お湯が沸いているコンロ1と調理で使うコンロ2、まな板、電子レンジ、そしてテーブルだ。麺を水で洗ったりする場合も考え、あとで流し台という項目も追加した。

5分ラーメン選手権開催!

そして後日、友人宅で5分ラーメン選手権を開催させていただいた。参加メンバーは最近会った友人の中から、興味を持ちそうな人を適当にご招待。

前回の10分ラーメン選手権と基本的なルールは一緒で、食材はすべて会場近くにあるスーパーで買い揃えなければならない。

麺は市販の生麺で、細麺(1分45秒)、太麺(4分)、ちぢれ麺(2分30秒)の3種からセレクトする。茹で時間6分の極太麺もあったが、選んだ時点で減点決定だ。

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選手権参加者の何名かは、事前にこの買い出しをする店舗まで来て、何が売っているのかを確認したと聞いて驚いた。そんな本気にならなくても。でも、ありがとうね。

選手達へ事前に連絡しておいた今回のレギュレーションは以下の通り。最後の減点方式だけは、大会の最中に生まれたルールである。

■公式ルール
→ラーメンは汁ありでも、汁なしでも、つけ麺でもOK。
→集合してからみんなでスーパーに買い出しへ。そこで買ったものだけで作る。
→店で作ったお惣菜みたいなものはNG、缶詰やレトルトはOK。
→制限時間は5分以内厳守。オーバーは減点。
→コンロは2口で、片側は麺を茹でるお湯を事前に沸かしておく。
→ ポットのお湯、電子レンジの使用はOK。ミキサーなどの秘密道具はNG。
→事前の仕込み作業はNG、計量まではOK。
→作る量は1人前とする。

■審査基準
→美味しさ:50点
→意外性:25点
→作ってみたい度:25点
※複数の審査員が独断で採点し、その平均を得点とする。

■減点について
→5分を過ぎたら、1秒ごとに1点減点。
※例:90点で5分15秒なら75点
→ 完成の宣言後、入れ忘れた食材や調味料を加える場合は5点減点。

ちなみに事前の計量をOKにしているのは、レシピをまとめる際に数値化されてないと困るという意味合いが強い。普通に作るなら、みんなだいたい目分量だ。

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競技をする順番は、厳正なあみだくじで公平に決められた。
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向かって左から競技順に並んだ本日の選手たち。
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そして審査員の4名。芸能事務所の女社長とその所属芸人ではない。営業のお仕事お待ちしてません。
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誰が何を作るかは、もちろん秘密である。ネタ被りの可能性は高い。
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希望者には例のフォーマットで制作進行表を書いてもらった。あんまりピンと来ていなかったけど。
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エントリーナンバー1:オカヤイヅミの「焦がし味噌バターコーンラーメン」

最初の選手は、同人誌「趣味の製麺」シリーズにも毎回描いてくれている漫画家・イラストレーターのオカヤイヅミさん。

オカヤ:「急ぐのが苦手なので出来るだけ簡単なレシピを考えましたが、着地点が霞んで見えています!」

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漫画の中に自作の料理が登場することも多いオカヤさん。

今回の参加者で唯一、これまでの10分ラーメンに選手としても審査員としても参加しておらず、またこの家のキッチン(私の家じゃないよ)にも慣れていないという不利な状況でのトップバッターだ。

なんかごめん。

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いのまま」、「ものするひと」など著書多数。
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用意された食材をみると味噌ラーメンっぽいのだが、そこに焼き鳥缶がどのように使われるのか。
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清書したオカヤさんの制作進行表。拡大版はこちら

よーい、スタート!

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ほぼ初めて立つキッチンにて、フワッとしたテンションで調理スタート。
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焼き鳥缶に残ったタレも残さず使い切る。

もともと余裕を持ったタイムスケジュールだったためか、慣れないキッチンでのトップバッターにも関わらず、4分51秒で余裕のフィニッシュ。

スープを作る際にお湯がドバっと出てしまったようだが、果たして味への影響は如何に。

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一見すると正統派の味噌バターラーメンだが、その隠し味は焼き肉のたれと焼き鳥缶だ。

審査員からの寸評はこちら。

・少しスープが薄い。トップバッターで焦ってしまったか。
・簡単で美味しい。もっと濃かったら高得点を出せた味。
・トップバッターかつ慣れないのキッチンの戸惑いが見えましたが、大健闘でした。
・優しいお味でした。日曜の昼にぴったり。

オカヤ:「思ったよりだいぶ自分が焦ると大変なタイプだということがわかりました。落ち着いて作ったらいいと思います。試合後のビールは美味しかったです」

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私の仕事は終わったとばかりに、ここまで我慢していたビールを飲み干した。早くから酔えるのはトップバッターの特権だ。

エントリーナンバー2:ぶち猫の「カルボナーラー麺」

二番手は「日々をたのしむ器と料理」という本を出した人気ブロガーのぶち猫さん。正月に手作りのお節をごちそうになった。

ぶち猫:「レシピに多様性があった方が面白いと思ったので、『ラーメンっぽくない素材をラーメンっぽくアレンジする』がコンセプト。5分間で味がきちんと決まるように、事前に4回くらい試作。珍しくがんばりました!」

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「本の宣伝をしていいと聞いて」と、前回は審査員だったが今回は選手として登場したぶち猫さん。今回の記事制作では料理等の写真もお願いしました。
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このラーメンらしくない食材達が、丼の中で中華麺とどのようにまとまるのか。
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ぶち猫さんの制作進行表。拡大版はこちら

よーい、スタート!

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生ハムにマスカルポーネチーズと、ちょっと高級な食材を当然のように使う。商売じゃないので原価を無視できるのが手作りラーメンの良いところ。
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ふと窓の外をみると、最後に登場する鬼頭選手(左)がすでに出来上がっていた。

カルボナーラー麺の名前通り、パスタの定番であるカルボナーラとラーメンを融合させたメニューが5分ちょうどで完成。

業界人が通う人気カフェの裏メニューみたいなヴィジュアルだが、果たしてそのお味は!

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器にこだわるぶち猫さんらしく、わざわざ持参した丼に盛り付けた。鮮やか!

審査員からの寸評はこちら。

・カルボナーラは裏切らない!
・さすがのお手前。コクがあり美味しいラーメンに仕上がっていました。
・ベビーリーフがおしゃれな、はじめて食べる味でうまい。
・掃除しながら作っていたのが好印象。これが5分とは、完成度が高い。

ぶち猫:「慣れないキッチンで心配だったのですが、無事に5分以内に完成できてよかったです。他の参加者のレシピも、どうやって短時間でラーメンをおいしくするための旨みと食感を作り出すか、よく考えられているものばかりで勉強になりました」

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エントリーナンバー3:マダラさんの「シーチキンチキンラーメン油そば」

3番目に登場したのは、前回の10分ラーメン選手権で衝撃の正統派煮干しラーメンを作って、見事優勝をかっさらったマダラさんだ。

マダラさん:「5分で作れる既存の麺料理を5分で作っても何も面白くないなとオリジナリティを出したかったのですが、意外や難しくギリギリまで何も思いつきませんでした。でも前日にスーパーをうろうろしていたらチキンラーメンと目が合って、某NHKのドラマでも話題になっていたし、これだ!とひらめきました」

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某カレー大会でも優勝しつづけ、「そろそろ敗北の味を知りたいんです」とほざく男。
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ラーメンの材料にチキンラーメンを用意したマダラさん。この奇策で連続優勝なるか。
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マダラさんの制作進行表。拡大版はこちら

よーい、スタート!

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唐突にグーパンチでチキンラーメンを砕きだした。安藤百福さん、ごめんなさい。

シーチキンの油ごと太麺と和えて、様々な具と調味料で食べる、汁なしの油そば(まぜそば)スタイル。

ベビーリーフとシュレッドチーズはぶち猫さんからのインスパイア。さすがは勝ち方を知っている男、4分57秒で見事に完成。

と思ったら、まさかのチキンラーメン載せ忘れが発覚。アルコールが彼の気を緩ませたのか、5分というプレッシャーか、メインのトッピングを忘れるという凡ミスだ。フィギュアスケートの選手が、大舞台で得意のジャンプをし忘れたようなものである。

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焦りまくる前回の優勝者。もちろん会場は大爆笑だ。
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写真だとわかりにくいが、シーチキンで麺が合えてある。

完成後に手を加えるというのは明らかなルール違反。協議の結果、5点の減点となった。

審査員からの寸評はこちら。

・悪い意味で意外性抜群の展開に驚きました。さすがチャンピオン。
・トッピングのチキンラーメンがうまい。
・B級な美味しさ。チキンラーメンあればこその味だから、やっぱり忘れたのは減点!
・味は申し分ないが、口(具の種類)が多すぎる。

マダラさん:「慢心、アルコール、緊張……いろんな要素があったとは思うのですが、まさかメイン食材を使い忘れるとは思いませんでした。それが無かったとしても周りのレベルに至ってなかったと思うので、また一から出直してきます!」

エントリーナンバー4:小松ヌンチャクの「麻辣小魚花生風油そば(マーラーシャオユイホワション)」

さあ4番バッターは、アジア各地のスパイシーな料理を得意とする小松ヌンチャクさんだ。

小松:「台湾のおつまみ、小魚入り麻辣ピーナツを油そばで、というコンセプト。キャッチコピーは『5分で作れてすぐムセる!』です」

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なんで「ヌンチャク」を名乗っているのか、誰も知らないけれど誰も突っ込まない愉快な関係。
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柿の種は、できれば亀田の「シビ辛ラー油味」で。胡麻油でなくラードを使いたかったが、売っていなかったそうだ。
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小松さんの制作進行表。拡大版はこちら

よーい、スタート!

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唐辛子を潰す小松さんの、適当な器が見つからなかった感が泣ける。

さすがは毎年のように東南アジアやら中東やらへ海外旅行に行く男、4分32秒というこれまでの最短タイムで異国情緒あふれるラーメンを仕上げた。

ちなみに小松さんは第1回10分ラーメン選手権(趣味の製麺7号に載ってます)で、30分以上の時間を使ってブーイングを受けた男でもあるが(この逸話は一生言われ続ける予定)、人は変われば変わるものだ。

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食感が楽しそうな一杯が、たっぷりと時間を余らせて完成した。

と思ったら、なんと仕上げに麺と和えるはずだったレモン汁の存在を、すっかり忘れていたらしい。またか!

どうせ正解のレシピを誰も知らないので、レモン汁くらいなら、「お好みで掛けてください」とか、「味変用のレモン汁もどうぞ」と言い張れるような気もするが、最初から麺と混ざってないと納得できないということで、5点減点の上で試食前に掛けたのだった。

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こうしてまた一つ、永遠に語り継がれる小松ヌンチャク伝説が作られた。

審査員からの寸評はこちら。

・これは好きな味。具と調味料、全体のバランスが高い。
・すごくおいしい、辛くてビールに合う。簡単にエスニックな麺、いいですね。
・調理中の香りが過去最高!
・辛い!うまい!花椒が強い!

小松:「本当はラードで作るハズだったんですが、以前は置いてたスーパーで取り扱ってなくて急遽ごま油に変更。4分30秒くらいで作り終わって、『優秀な進行じゃないか……』と浮かれてたら、仕上げのレモン汁を入れ忘れてました」

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そのころ控室では、皮から作る手作り餃子が作られていた。
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エントリーナンバー5:ツジムラの「ココナッツカレーラーメン」

5番目は前回の10分ラーメン選手権で準優勝のツジムラさん。本業はプロダクトデザイナーでありながら、月一で完全予約制の料理店『くせものやツジメシ』を開く、左利きの本格派である。

ツジムラ:「視察したスーパーでカレーにちょい足し用のココナッツミルクペーストを発見し、これは使わねば!と決めました。最近開発した、食べるラー油でカレー的なものを作る調理法を応用した、タイのココナッツ風味のカレーラーメン、カオソーイのようななにかです」

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5分にしてはちょっと盛り込み過ぎたそうで、時間内に仕上がるかが勝負のカギか。
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もともとムスリム(イスラム教徒)料理なので肉は牛をセレクト。ココナッツミルクペーストがどう使われるのか。
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ツジムラさんの制作進行表。拡大版はこちら

よーい、スタート!

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複雑なメニューを冷静に調理していくツジムラさん。
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香味油は、干しエビ、カレー粉、食べるラー油の順で入れて中火にかける。この順で重ねると上から油が回って混ぜる必要がないそうだ。

今回のルールでは、5分という制限時間内に作り終えることが、優勝への必須条件。

制作進行表を見てもわかる通り、ツジムラさんのラーメンは作業工程や材料が多いメニューなのだが、場慣れしているだけあって余裕しゃくしゃく。途中からビールを飲みだした。

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調理中に格好よくビールを飲むと、芸術点がポイントされるという都市伝説。

途中でビールを飲みながらも、10秒以上を余らせて4分49秒でフィニッシュに成功。さすがは納期をも守る男。

と思ったら、なんとせっかく作った香味油を掛け忘れるというミステイク。でた、3人連続のマイナス5点!

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さすがにこれは「味変用です」とは言えない大きな忘れ物だ。
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その様子をニヤニヤと見守る参加者達。
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香味油にニンニクとショウガを入れるのも忘れたそうで、「お好みで」と言い張って添えていた。

審査員からの寸評はこちら。

・ココナッツミルクが効いた複雑な味で、バランスが良くうまい。
・スープの味が少し弱く、パクチーが飛び出しすぎている。ニンニクとショウガを入れ忘れたからか。
・酔った上で勝つというプライドの高さが仇となったな。
・入れ忘れ、超うける。でもスパイスとココナッツミルクの甘味がマッチしている。

ツジムラ:「家での試作時に5分に収まらないまま緊張しつつ当日を迎え、『今日は自分の番がくるまで飲まない!』と宣言した直後にビールとサワーを飲んで試合に臨んだのですが、やってみたらけっこう余裕で、調子に乗って余裕アピールでビールを飲んだところ、もろもろ入れ忘れて減点になりました」

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自分の過ちを消化しきれないツジムラさん。
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その横でスパークリングワインを吹きこぼすマダラさん。前回のトップツーが今回はボロボロだ。

エントリーナンバー6:玉置標本の「肉あんかけ春菊チーズラーメン」

6番目のエントリーは私である。誰よりもルールを熟知し(というか私がルールブックだ)、そして完璧な制作進行表を持参したので、今度こそ負けるわけにはいかない。

玉置:「ラーメンに合う野菜を考えた結果、春菊という絶妙な答えを導き出しました。最後のプレゼンテーション込みで採点をお願いします!」

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いつものクセで半額になった春菊を買ってしまったが、試合なので新鮮なやつで勝負すればよかった。
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このシンプルな材料で、大胆なラーメンを作ってやるぜ。
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玉置の制作進行表。拡大版はこちら

よーい、スタート!

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最近物覚えがものすごく悪くて、この制作進行表がないとまったく作れない。
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仕上げに春菊の上から熱した香味油を掛けてジューっといわせるつもりだったが、火加減が強すぎて油が跳ねまくってしまった。
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スープを作る後ろで跳ねた油をふき取る審査員。これは大きな減点材料では。
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せっかく熱した油が冷めてしまい、あんまりジューっていわなかった。プレゼン失敗。

調味料を混ぜただけのシンプルなスープに麺を泳がせ、そこにひき肉の餡をたっぷりと掛け、ドサッと春菊とチーズをトッピングして、熱した香味油で仕上げた多重構造ラーメン。

途中で油を加熱しすぎるという失敗もあったが、5分ちょうどで無事に完成。入れ忘れによる減点を、前の3人でストップさせたところを評価してほしい。

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油で半煮えにした春菊が好きなんですよ。

審査員からの寸評はこちら。

・意外性が春菊で高まっている。癖もなくラーメンに合う。
・ちょっとチーズが多かったのか、しょっぱい。でも春菊とチーズは良い組み合わせで好み。
・構成はシンプルながら味わい深い。
・生の春菊をかなり大量にぶち込んでいたのに、さわやかにまとまっている。

玉置:「台所を汚してすみません。油を温め始めるタイミングをミスりました。家での試食時に味見のし過ぎで、だんだん味が濃くなってしまっていたかも。チーズよりも白髪ねぎが正解だったかな。というか最初の試作の方がうまかった疑惑」

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そして餃子が美味しく焼きあがった。余ったラーメンの具を何でも入れた闇餃子だ。
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エントリーナンバー7:鬼頭哲の「酸辣乱卵麺(スーラーランランメン)」

最後に登場するのは、すでにどう見ても酔っぱらっている鬼頭哲さん。CHIZ渋さ知らズ東京中低域などでバリトンサックスを演奏するミュージシャンだ。

自作ラーメンを食べる頻度は、このメンバーの中ではダントツの一番。誘ったときは「5分じゃなにもできないよ」とブツブツいっていたが、しっかりと準備をしてきたようだ。

鬼頭:「使える食材のルールや5分という制限で思いつくのは調味料を混ぜ合わせる程度のジャンクな味わいだったので、あえて『まろやか』になる方向性を目指しました。茶碗蒸しにうどんが入った『小田巻蒸し』が昔から好きなので、『玉子豆腐でイケるんじゃ?』と。試作1号は『白だし+柚子胡椒』でこれもウマかったんですが、ラーメンっぽくはないなと、玉子と相性の良い酸辣仕立てにしました」

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麺棒でチャルメラを吹くくらいは酔っぱらっている鬼頭さん。怪我だけはしないでください。
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食材の種類が少ないのだが、仕上がりの想像が全くできない組み合わせだ。
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鬼頭さんの制作進行表。拡大版はこちら

よーい、スタート!

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調理を始めるかと思いきや、まずはiPhoneから音楽をかけ始めた。制作進行表など使わずに、音楽に合わせて調理をするということか。
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ちなみに当日のBGMはこちらだそうです。
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卵豆腐を裏漉しするという謎の工程に、今日一番のざわつきが起きた。
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「早くチンっていえよ」と、怖い顔で電子レンジを睨みつける。

4分42秒のBGMが終了。それに合わせてちょうどで完成するかと観客全員が思ったが、さすがにそこまでうまくいかず、ちょっと遅れて4分53秒で無事にフィニッシュ。

できあがったのは卵豆腐の優しい味をベースとした、酸っぱ辛いラーメンだ。

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ここにきて「5分ラーメンの向こう側」を感じさせるラーメンが登場。

審査員からの寸評はこちら。

・簡単でうまい。卵豆腐がこの味になるとは。
・意外な材料過ぎて初めての味。
・簡単な材料から意外性のある味でした。軽快なリズムに合わせてノリノリクッキングでパフォーマンスも良し。
・人としての温もり、母性を感じました。

鬼頭:「買い物を終えた時点で、皆さんの多種大量な食材を見て、こりゃダメだと自分のイージーレシピが恥ずかしくなったのですが、『誰でも簡単に出来るヤツ』の枠があっても良いじゃんと開き直りました」

審査結果の発表!

これにて7人全員の調理が無事完了。5分ラーメンということで数名のタイムオーバーが予想されたが、終わってみればなんと全員が時間内に完成となった。ただ材料の入れ忘れが続発して、3人も5点減点されるという想定外のハプニングがあったけど。

さあ注目の審査結果は如何に!

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集計結果が出そろいました!

まず第3位は、総合80点、玉置標本さんの「肉あんかけ春菊チーズラーメン」でした。わー、パチパチ。

はい、私でした。ありがとうございます!

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トロフィー代わりの副賞は育ちすぎたタケノコです。がんばってメンマを作りましょう。

 続いて第2位は、総合84.5点、ぶち猫さんの「カルボナーラー麺」でした。わー、パチパチパチ。

写真撮影をしながら選手としての出場、お疲れさまでした!

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準優勝、そして出版おめでとうございます!

さあ栄えある優勝者は、総合85点、鬼頭哲さんの「酸辣乱卵麺(スーラーランランメン)」でした!パチパチパチパチ!

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卵豆腐を使うという意外性が支持を集め、堂々の優勝を飾った。
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次のライブではタケノコを吹くそうです。

鬼頭:「クジで順番が最後に決まった時点で、『あ、ヤバい』と思ったのですが、案の定自分が作る時点でかなり呑んじゃってまして(みなさんの試食してたら酒がススムんだもん!)、加えて慣れないキッチンだったこともあり、思っていたよりずいぶん手際が悪くなってしまったのが心残り。でも『5分でできる』の前に、『泥酔していても』をつけ加えることができたのでいいかな!」

前回の10分ラーメンでは、10分という制限時間で本格的な煮干しラーメンを作ったマダラさんの剛腕が優勝したのに対し、今回の5分ラーメンでは、既存のラーメンにはない味を生み出した鬼頭さんの創造力が勝利した。

どのラーメンも個性的で美味しく、作りたくなる味だったが、意外性という点で頭一つ飛びぬけていたのが、鬼頭さんだったのだろう。

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最後にもう一つ、『美味しさ』の評価が一番高かった人に与えられた審査員特別賞は、小松さんの「麻辣小魚花生風油そば」。あの減点がなければ、総合84.5点でぶち猫さんと同点の準優勝だった。
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入賞を逃してやさぐれる実力者の二人。よく見ればペアルックだし。

ということで、ご参加ありがとうございました!

この5分ラーメン選手権があくまで第一回予選大会であり、上位3名が後日行われる決勝大会に勝ち進んだことを、この時はまだ誰も知らないのであった。

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それでは第二回予選大会でまた会いましょう!

というのは、もちろんウソである。

でもおもしろかったので、またやりたいかな。

 

さてどうなるかと思った5分ラーメンだが、店では食べられないような味が、アイデア次第でいろいろ作れることがわかった。素材の組み合わせや目指す味の方向によって、ここまで多様性が生まれるとは。5分だと見ている側も飽きないし、これぞ食の文科系スポーツだ。

1人でレシピを考えていた時は、わりと頭が固かったんだなということが、こうしてみんなのレシピを見てよく理解できた。 とにかく楽しかった一日だった。

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こちらは急用で来られなかった漫画家の谷口奈津子さんによる、トマトジュースと豆乳とナンプラーとピーナッツバターと桜海老で海老のビスク風ラーメンの試作版画像。これもまたうまそうだ。
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