40年前の未開封品
先日、ついぼーっとオークションサイトを眺めていたところ、気になる商品を見つけてしまいました。出品名は、「アカダマパンチ 昭和レトロ 200ml」。
これがどういったものかというと、まず、壽屋洋酒店(現サントリー)が、1907(明治40)年に発売して大ヒットした甘味果実酒がありまして、それが「赤玉スイートワイン」(当時の名称は「赤玉ポートワイン」)。その人気はすさまじく、現在のサントリーの土台となったのだとか。
そして1977年、つまり今から45年前に、この赤玉ワインにパイナップルとオレンジ果汁を加え、デキャンタタイプのボトルで発売してこれまた大ヒットしたのが「赤玉パンチ」。ちなみに、現行品にも「赤玉パンチ」という商品はありますが、これは炭酸が加わったまた別のテイスト。
で、その1977年に発売された「赤玉パンチ」の現物が、なんと未開封のまま出品されていたというわけなんです。商品説明にはこうありました。
未開封です。中身の保証はできません。
入れ物も可愛いので、インテリアとしてもどうでしょうか?
神経質な方はご購入をご遠慮下さい。
よく、「誕生日に生まれた年のワインを開ける」なんて話がありますが、あれはきちんと度数のあるワインを、きちんと管理して保管した場合の話。この赤玉パンチは度数6%の、あくまでも「甘味果実酒」であって、とても「飲んでも安全」と言えるものではないでしょう。
けれども僕は、その現物を手にしてみたくなってしまった。40年ものの赤玉パンチがどんな味になっているのか、なんなら香りだけでも、かいでみたくなってしまった。それになにより、ガラス製のころんとしたボトルが、めちゃくちゃかわいいんですよね。商品説明にもあったけど、中身がなくたってインテリアに欲しいくらい。
というわけで、購入決定! お値段は、送料込みで1300円。
まずは開けてみる
ラベルを見ると、どうやら賞味期限は記載されていないようですね。
ということは、まだ開栓前だし、よ〜く冷やして、開栓したら早めに飲めば、行動としては、注意書きには反していない?
とはいえ、そんなのは屁理屈。ここから先は完全な自己責任です。
とりあえず開けてみて、自分の味覚嗅覚視覚を頼りに、明らかな変質がなく、嫌なにおいなどがしなければ口に含んでみる。それで体が拒絶反応を起こさなければ、試しに少しだけ飲んでみる。というような順序で、味見をしていってみましょう。
と、まずは開栓しようとしたところ、
ので、工具やらなんやらを駆使し、
いざ、テイスティング!
色味は、ワインのような赤というよりは赤茶色に近いかな。で、ほんのりとろりとした感じがある。けれども、「うわ、この液体はヤバい!」って感じではない。
あれ? この香り、前にもかいだことがあるぞ……なんだっけなんだっけ……あ〜! 思い出した!
かつて当サイトに書いたこの記事の、うっかり17年放置してしまったビールを開けた時の香り! その時の感想が、
だったんですが、まさに同じように、紹興酒っぽい香りがする!
これ、たぶん、大丈夫なんじゃないかな? まずはいったん口に含んで、いけそうならそのまま飲んでみよう。
え〜と……あ〜、うまい。うまいはうまい。まろやかで、紹興酒にフルーツ系の甘味を足してじっくりと熟成させたような。
とはいえ、うますぎ! 最高! グレイト! と絶賛するほどではないかな……。やっぱり、ちゃんと寝かせたワインやウイスキーとは違う。って、当たり前の話ですが。
というわけで、原料にフルーツも使われていることだし、そこまでリスクを冒す味でもないと判断し、飲みこむのはやめておきました。
けど、おもしろい体験だった!