ちょっと聞いてよ 2022年9月7日

40年前の「赤玉パンチ」を開けてみる

1977年に発売された甘味果実酒「赤玉パンチ」の、当時から未開封のものを入手しました。

開けてみて、いけそうならそのまま味見してみようと思います。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:5000円あげるから、なんか食べてきなよ ~すし銚子丸編〜


40年前の未開封品

先日、ついぼーっとオークションサイトを眺めていたところ、気になる商品を見つけてしまいました。出品名は、「アカダマパンチ 昭和レトロ 200ml」。

これがどういったものかというと、まず、壽屋洋酒店(現サントリー)が、1907(明治40)年に発売して大ヒットした甘味果実酒がありまして、それが「赤玉スイートワイン」(当時の名称は「赤玉ポートワイン」)。その人気はすさまじく、現在のサントリーの土台となったのだとか。

そして1977年、つまり今から45年前に、この赤玉ワインにパイナップルとオレンジ果汁を加え、デキャンタタイプのボトルで発売してこれまた大ヒットしたのが「赤玉パンチ」。ちなみに、現行品にも「赤玉パンチ」という商品はありますが、これは炭酸が加わったまた別のテイスト。

で、その1977年に発売された「赤玉パンチ」の現物が、なんと未開封のまま出品されていたというわけなんです。商品説明にはこうありました。

40年ほど前のものです。
未開封です。中身の保証はできません。
入れ物も可愛いので、インテリアとしてもどうでしょうか?
神経質な方はご購入をご遠慮下さい。

よく、「誕生日に生まれた年のワインを開ける」なんて話がありますが、あれはきちんと度数のあるワインを、きちんと管理して保管した場合の話。この赤玉パンチは度数6%の、あくまでも「甘味果実酒」であって、とても「飲んでも安全」と言えるものではないでしょう。

けれども僕は、その現物を手にしてみたくなってしまった。40年ものの赤玉パンチがどんな味になっているのか、なんなら香りだけでも、かいでみたくなってしまった。それになにより、ガラス製のころんとしたボトルが、めちゃくちゃかわいいんですよね。商品説明にもあったけど、中身がなくたってインテリアに欲しいくらい。

というわけで、購入決定! お値段は、送料込みで1300円。

まずは開けてみる

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すぐに我が家にやってきた赤玉パンチ
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やっぱりかわいいな〜
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ちなみにサイズ感はこのくらい

ラベルを見ると、どうやら賞味期限は記載されていないようですね。

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瓶にそれらしき記載はなし
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キャップに「冷やしてお飲み下さい。開栓後はお早めに」とだけ書いてある

ということは、まだ開栓前だし、よ〜く冷やして、開栓したら早めに飲めば、行動としては、注意書きには反していない?

とはいえ、そんなのは屁理屈。ここから先は完全な自己責任です。

とりあえず開けてみて、自分の味覚嗅覚視覚を頼りに、明らかな変質がなく、嫌なにおいなどがしなければ口に含んでみる。それで体が拒絶反応を起こさなければ、試しに少しだけ飲んでみる。というような順序で、味見をしていってみましょう。

と、まずは開栓しようとしたところ、

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アルミ製のキャップが劣化していていきなり取っ手が折れた

ので、工具やらなんやらを駆使し、

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無理やりこじ開け
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なんとか開栓
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グラスに注いでみました
いったん広告です

いざ、テイスティング!

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まずはじっくり観察

色味は、ワインのような赤というよりは赤茶色に近いかな。で、ほんのりとろりとした感じがある。けれども、「うわ、この液体はヤバい!」って感じではない。

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熟成感と言えなくもない
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続いては香りをチェック

あれ? この香り、前にもかいだことがあるぞ……なんだっけなんだっけ……あ〜! 思い出した!

17年前のビールは古酒になっているか

かつて当サイトに書いたこの記事の、うっかり17年放置してしまったビールを開けた時の香り! その時の感想が、

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「薄~い紹興酒ですね……」

だったんですが、まさに同じように、紹興酒っぽい香りがする!

これ、たぶん、大丈夫なんじゃないかな? まずはいったん口に含んで、いけそうならそのまま飲んでみよう。

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ちびり
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………………

え〜と……あ〜、うまい。うまいはうまい。まろやかで、紹興酒にフルーツ系の甘味を足してじっくりと熟成させたような。

とはいえ、うますぎ! 最高! グレイト! と絶賛するほどではないかな……。やっぱり、ちゃんと寝かせたワインやウイスキーとは違う。って、当たり前の話ですが。

というわけで、原料にフルーツも使われていることだし、そこまでリスクを冒す味でもないと判断し、飲みこむのはやめておきました。

けど、おもしろい体験だった!

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仕事場に花瓶がなかったのでちょうど良かったです
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