特集 2020年6月22日

30秒で考えた「悪魔の無限レシピ」集

近年、Twitterの文字数制限である140文字で説明できてしまうくらい超簡単な手順なのに、あまりにも美味しくていくらでも食べられてしまう「悪魔の!」「無限!」みたいなレシピが、よくSNSなどで話題になっていますよね。「いやいや、大袈裟でしょ」とは思いつつ、つい試してみたくなってしまうし、実際に作ってみると本当に美味しい。

ああいうの、自分でも生み出してみたいんだけど、いざ考えはじめると、ついつい考えすぎちゃって、こじんまりとした無難なものに落ち着いてしまう。ああいうバズり系のレシピって、とにかく勢いが重要な気がします。

そこで思いついたんですけど、「30秒以内に考える」っていう縛りを設けてみるのはどうでしょう? 考えすぎない環境を強制的に作ってみる。想像してみてください。僕が今から30秒カウントするので、その間に悪魔的に美味しいオリジナルレシピを考えてみてもらえませんか? はいせーの、スタート!

1978年東京生まれ。酒場ライター、他。酒カルチャー雑誌「酒場人」監修をはじめ、いろいろとやらせてもらってます。(インタビュー動画)

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明日、スーパーからパセリが消える!? 揚げ玉パセリバターうどん

この企画を思いついた瞬間、とりあえずあれこれ考えすぎないうちに、僕も「30秒レシピ」をひとつ考えてみることにしました。時計の秒針を見ながら、いざカウントスタート!

「え、え、えーと、なんだ? バター! バターを使おう。レンチンした冷凍うどんに、バター醤油を混ぜる。そこに、あ、あ、揚げ玉? うん、揚げ玉! やば、もう15秒経ってる。あと何かもうひと素材足したい。大葉だとありがちすぎだし……うわーやばい! 5、4、3、2、1、パ、パ、パセリ!?」

追い詰められた自分のなかから最後に出てきた食材は、特に大好物というわけでもない「パセリ」でした。バターとか揚げ玉は、完全に僕のなかにあった「悪魔的レシピ」のイメージですね。これ、実際やってみると人それぞれの悪魔観が浮き彫りになるような気がする。しかしパセリはどっから出てきたんだ? ともあれ、実際に作ってみることにしましょう。

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「揚げ玉パセリバターうどん」

ところが、これがですね、はっきり言って、めっっっちゃくちゃ美味しかったんですよ! まぁさ、バター醤油揚げ玉うどんまでは美味しいに決まってますよ。そこに加えた不安要素、大量のパセリ。これがなぜかまったく苦味を感じず、独特の香りだけがアクセントになって、めちゃくちゃ爽やかなんですよね。もしかして、パセリをいちばん美味しく食べる方法ってこれなんじゃないの? ってくらい。もう、今日のお昼にもまた食べたいもん。自画自賛になっちゃいますが、ちょっとすごいレシピを生み出してしまった気分です。

あ、そういえば、悪魔的レシピにはちょっと大袈裟すぎるくらいのキャッチコピーがつきものですよね。ほら「レンチンだけで三つ星レストランの味!」「気づかないうちに米が胃袋に消えている!」「とろとろの玉ねぎがもはや飲み物!」みたいなさ。それも考えてみましょう。これは、30秒以内とは言わないので、じっくりと。う〜ん、「明日、スーパーからパセリが消える!?」とかどうでしょう? あまりにも美味しすぎて、人々がパセリを買いしめてしまうイメージで。

食べすぎ注意! 2キロ太れる「味濃いキャベツ」

さて、今回の本題はここから。こういう企画に疑問を持たずに協力してくれそうな友人知人何人かに、実際に30秒レシピを考えてもらおうと思います。

まずは担当編集の古賀さんから。古賀さんに、あまり深く説明せず、「今から30秒カウントするので、悪魔っぽいレシピを考えてみてください!」とご連絡してみたところ、

「え! え! ええと、塩昆布とキャベツと天かすをジップロックに入れて揉んで、少し麺つゆをいれてごま油をかける」

と、きちんと30秒以内でレシピをひねりだしてくれました。さすがデイリーポータルZの人。話が早い!

ちなみに、「塩昆布、天かす、ごま油、麺つゆ。悪魔のレシピのイメージこれです」とのことで、やっぱり人それぞれに悪魔的レシピのイメージってあるんだな。古賀さんのイメージは、けっこう僕と近いかもしれない。

それと、考えてもらったあとに、「麺つゆがいらないかもしれませんなこれ」という追記もいただいたんですが、残念ながら30秒以降に思いついた修正案に関しては、今回は聞けませんのであしからず。きっちりと「塩昆布とキャベツと天かすをジップロックに入れて揉んで、少し麺つゆをいれてごま油をかける」の手順で作らせていただきます。

もちろん「食べすぎ注意! 2キロ太れる」のキャッチコピーも、古賀さんに考えてもらったもの。キャベツで2キロ太るって、どんだけ食えばいいんだ……。

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「味濃いキャベツ」

しかしながら、こんなもんもう間違いないですよね。たぶん、30秒縛りにあわてて加えためんつゆ。これが「味濃い」パートをきっちりと担っていて、ご飯のおかずにもなりそうな味。大量に作れば、白米2キロぶんくらい食べられると言えなくもない。そう考えれば「2キロ太れる」もまったくの嘘ではないのかもしれません。

古賀さんが30秒で考えてくれた「味濃いキャベツ」、ちゃんとおすすめです!

キムチと卵が悪だくみ! 30秒で食べ終わる「欲望むさぼり丼」

続いては、デイリーポータルZのライターでもあるスズキナオさん。ざっくりと趣旨説明すると「わかりました〜」って感じでちゃんと30秒以内にレシピを考えてくれるあたり、本当に信頼できる男ですね。レシピは以下。

「キムチと卵を混ぜて、ご飯にかける。わかんねー!」

「わかんねー!」がリアル。ちなみにナオさんは、「悪魔というと卵のイメージ。キムラーのイメージも。それの融合ということしか思いつきませんでした」とのこと。「キムラー」とは、漫画家の谷口菜津子さんがTwitterに投稿し、話題になって、本家日清食品から商品化までされた、チキンラーメンのアレンジレシピですね。

それにしても、生卵とキムチ。スタンダードそうでもありつつ、人生で一度も食べたことがない組み合わせ。うまいのか? そうでもないのか? ものすごく気になります。

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「欲望むさぼり丼」
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よ〜く混ぜて食べてみると……

うわー、超美味しい! キムチの辛味や酸味を玉子がまろやかにまとめ、本当に悪だくみしてる。なんで今までこれをやってこなかったんだ。強いて言えば、もうひと食感欲しいので、白ゴマあたりをふりかけてもいいかもしれません。

いや〜、30秒レシピ。これ、かなりおもしろいんじゃないか。

薬味好きならどんぶりでいける!「薬味のパラダイス和え」

さて、続いては、先ほどキムラーの産みの親としてお名前の出た谷口菜津子さん。幸いにも知り合いで、こういうお願いにも広い心で対応してくれそうなのでお願いしてみたところ、

「なんだそれ!! マグロのたたきに練りゴマと寿司酢と胡麻油と醤油を入れて練る。刻んだ薬味も入れて混ぜる」

と、すぐにお返事が返ってきました。さすが。

ただ、詳しく聞いてみると、これは昨日の夜に作って食べてたメニューとのこと。そうか、料理上手な人って、たった30秒でも頭のなかの引き出しから絶品レシピを出してきちゃうことができるんですね。そこであらためて、「今考えた新しいレシピで!」とお願いしてみたところ、

「薬味をどっさり刻んでゴマ油と醤油とワサビで和えて、卵黄乗っける!」

とのこと。薬味のみ!? さっそく作ってみましょう。

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薬味をどっさり刻んで
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ゴマ油と醤油とワサビで和えて、卵黄乗っける!
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よく混ぜて食べる!

これがなんとですね……死ぬほどうまい! なんでこんなに要素多いのに味がきれいにまとまってるのか。最後に加えた卵黄が、全体をまったりとまとめあげ、箸でのつまみやすさがアップしてるのもすごい。これ、本体薬味だけなのに、単体でぜんぜん料理ですよ。ご飯やうどんに乗っけても最高だと思う。さすがプロ!

その後、キャッチコピーも考えてくださいとお願いすると、「食べてないのに考えるんですか!?」と、至極真っ当な返答が。はは、それは盲点だったなー。

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1分で作れる幸福袋! 乳脂肪と炭水化物を甘い油揚げが包みこむカロリーのマトリョーシカ!「バターいなり」

続いては、これまた料理上手なデイリーポータルZのライター、玉置標本さん。玉置さんも話の早い人で、すぐに、

「生のピーマンに、タケノコと豚肉のみじん切り、オイスターソースなどでいためたものを乗せる。生青椒肉絲」

というお返事が返ってきました。が、続いて「写真も必要ですか?」とのこと。出た。料理上手の「引き出し」案件。

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ちなみにこういうものだそう。うまそう

でも、あらためて、今考えた新しいレシピでお願いします!

「おいなりさんの皮(味付き)に、ご飯とバターを入れて食べる」

な、なんだそれは! ぜんぜん想像がつかないけど、確かに悪魔っぽいぞ。ちなみにそのあと「あれば炒りごまと刻んだ紫蘇を。紫蘇、刻まなくても、広げて突っ込めばいいかな」との連絡もいただいたんですが、残念ながら30秒以降の追加要素に関しては対応できません。

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おいなりさんの皮(味付き)に、ご飯とバターを入れて
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「バターいなり」

見た目が普通のおいなりさんすぎるにもほどがありますが、さてお味は……うわー、なんだろうこれ。確実に初めての感じ。いつものおいなりさんを食べてたら、ガツンと濃厚なバターの風味が攻めてくる。あまじょっぱくて、なんだ、理解が追いつかない。うん、でも、もうひとつ食べたいかと聞かれれば、食べたい。っていうか、一度この味を知ってしまった以上、今後の人生ずっと、たまに無性にバターいなりを食べたい瞬間がやってきそう。そういう意味で、完全に悪魔的一品ですね、これは。

令和の夏のスタンダード! 「豆苗そうめん」はじめました

続いては、以前スズキナオさんが書いた記事「友達の家でもなく、本当の店でもない『ひとんち酒場』が楽しい」に登場し、豆腐を味なしで食べているという日常生活が衝撃的すぎた、ハヤトさん。僕も何度かお会いしたことがあるので、いきなり連絡させてもらったところ、「いいともー!」という軽快なお返事をいただきました。

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ハヤトさん
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ハヤトさんの食生活

で、考えてくれたレシピが、

「そうめんに、豆苗を万能ネギみたいに刻んでふりかけて食う!」

というもの。

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「豆苗そうめん」

な〜にが「はじめました」だって感じですが、実食してみましょう。

ほほ〜、これは、究極にあっさりしている! そうめんにも豆苗にもクセがないから、ものすご〜くさらりとした印象。さすが豆腐が主食のハヤトさん。これのどこに悪魔要素があるんだって気はしますが、夏バテで食欲のないときなんかにいいかもしれない。この組み合わせなら、めんつゆじゃなくてポン酢でもいいかもな。

ゼロカロリーのこんにゃくが完全食に!「刺身こんにゃく巻」

最後は、デイリーポータルZのWEBマスター、林雄司さん。

あの、この企画って、僕が無茶ぶりをし、聞かれたほうが慌てるっていうのが基本の構図なんですが、林さんから15秒くらいで返ってきた答えに、

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こっちが慌てる

ただ、よくよく聞いてみれば、これは実際にやったことがあるレシピだそうで(なぜ!)、改めて考えてもらったのがこちら。

「刺身こんにゃくでごはんを巻く」

わー、よくわからない!

林さんは刺身こんにゃくが大好きらしく、「好きなものにはごはんを入れたくなるんですよね。赤いきつねの汁にごはんいれたり、ごはんにコーラかけるのもそうですが、美味しいから、ごはん入れちゃおう! みたいな」とのこと。味つけも、「付属の酢味噌で食べてください」だそうで。

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ほかほかご飯にこんにゃく乗せて
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「刺身こんにゃく巻」

これがですね、まさかの……超〜うまかった! ついてたのが柚子風味の酢味噌だったのもよかったのかな? ものすごく上品かつ爽やかで、こんにゃくなのにご飯が進む進む! それが証拠に思わず、

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がっつり丼でおかわりしちゃいましたからね

ただし、キャッチコピーの「完全食」には全然納得いってませんが。


以上、いろんな方に勢いで考えてもらった悪魔の無限レシピ。新しい発見がたくさんでかなりおもしろい結果になりました。個人的な大ヒットは、やっぱり「刺身こんにゃく巻」かなぁ。

この記事を読み、先入観ができてしまったかもしれませんが、よかったらみなさまも、忘れた頃に「#30秒レシピ_DPZ」を考えてみてください。そしてそれを僕に教えてください!

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