特集 2018年9月18日

自宅脱出ゲームを開催した

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謎解きが好きだ。

最近、謎解き脱出ゲームが流行っている。チームで協力して部屋の中に散りばめられた謎を解き、部屋から脱出するというものだ。謎解きは楽しい。特に、難しい謎が解けた時の爽快感は、日常ではなかなか味わえないと思う。

あれを自宅でやりたい。僕が自分の家に謎解きを仕掛けるので、みんなに謎を解いてもらい、謎解きの楽しさを味わってもらいたい。というわけで、ほり家脱出ゲームを開催することにした。
1992年三重生まれ、会社員。ゆるくまじめに過ごしています。ものすごく暇なときにへんな曲とへんなゲームを作ります。

前の記事:「ターャジス」の読み方がついに判明!あのトラックの謎に迫る

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突然始まったほり家脱出ゲーム

「ほり家脱出ゲームを作ったので来てほしい」と連絡したところ、3名の友人に参加してもらえることになった。
わけのわからない企画に参加してくれる、たいへん物分かりのよい友人たち。
わけのわからない企画に参加してくれる、たいへん物分かりのよい友人たち。
暑い中わざわざ自宅まで来てもらった友人には悪いが、さっそく謎解き脱出ゲームを始めてもらうことにした。なぜなら、すでに部屋中に謎が散りばめられており、安易に部屋の中で行動するとバレてしまう可能性があるからだ。

参加者に1枚の紙が配られる。この謎を解くと、部屋から脱出するための鍵が手に入るようになっている。
参加者に配られた紙。
参加者に配られた紙。
脱出のモチベーションを上げるために用意した錠前。謎を解いていくと最終的にこの錠前を開ける鍵が手に入ることになっている。(あくまでもシンボル的な意味合いで用意しただけなので、実際には錠前を外さなくても脱出できてしまう。)
脱出のモチベーションを上げるために用意した錠前。謎を解いていくと最終的にこの錠前を開ける鍵が手に入ることになっている。(あくまでもシンボル的な意味合いで用意しただけなので、実際には錠前を外さなくても脱出できてしまう。)

まずは部屋の捜索

最初に配られた紙は、単体では解くことができない。部屋中に散りばめられた謎を見つけては解き、解答をこの紙に埋めていくとメッセージが浮かぶようになっている。(大事なことなので太字にしておいた。)

早速、部屋中の捜索が始まった。宝探しである。
エアコンの横に貼られた謎。見つけた謎は剥がして手元に持っておいても良いルールになっている。
エアコンの横に貼られた謎。見つけた謎は剥がして手元に持っておいても良いルールになっている。
饅頭の裏にも謎。
饅頭の裏にも謎。
スピーカーをずらしたところに謎。
スピーカーをずらしたところに謎。
コルクボードにこっそり貼られている謎。
コルクボードにこっそり貼られている謎。
ゴミ箱を横にずらしたところにも。
ゴミ箱を横にずらしたところにも。
ルンバもどきの自動掃除機の上に堂々と貼られた謎。こういう簡単なものは一瞬で見つかってしまう。
ルンバもどきの自動掃除機の上に堂々と貼られた謎。こういう簡単なものは一瞬で見つかってしまう。
序盤、どんどん謎が見つかっていく。部屋に散りばめた謎は全部で12個だが、10分程で半分が見つかってしまった。自分の隠した謎がどんどん見つかっていくのは、なんだかどきどきする。

しかも自分はすぐに顔に出てしまうタイプなので、探してもらっている間にポーカーフェイスを保つのが難しい。このあたりから参加者は「僕の表情をヒントに探すエリアに目星を付ける」という技を使い始めた。
自宅で脱出ゲームを開催する際のポイント①
・主催者はポーカーフェイスを保とう
部屋の捜索が後半に差し掛かると、急速に見つけるペースが落ちていく。
テレビの裏に貼られた謎。参加者はウキウキで見つけていく。
テレビの裏に貼られた謎。参加者はウキウキで見つけていく。
キッチン棚の小瓶をどかすと、裏に謎が貼られている
キッチン棚の小瓶をどかすと、裏に謎が貼られている
机の裏に貼られた謎。
机の裏に貼られた謎。
このあたりから、「『○○の裏』に謎が隠されていることが多い」というパターンがバレ始める。でも大丈夫だ。ここからの謎はマジで難しいので、覚悟してほしい。
間仕切りになっているスライドドアをずらすと、謎が貼られている。「この紙は見つけただけですごいので、謎はありません。」と、いきなり答えが書かれているサービス問題だ。
間仕切りになっているスライドドアをずらすと、謎が貼られている。「この紙は見つけただけですごいので、謎はありません。」と、いきなり答えが書かれているサービス問題だ。
シャンパンの裏にも謎が貼られている。
シャンパンの裏にも謎が貼られている。
シャンパンの裏に貼られた謎。実は、この謎だけは、剥がしてはいけないルールにした。物分かりの良い友人たちは喜んでこのルールを受け入れてくれた。そう、紙に書かれた内容を読み取るには、シャンパンを飲み干す必要があるのだ!
シャンパンを飲みながら次の一手を考える参加者たち。酒を飲みながら脱出ゲームができるのは、自宅ならではだ。
シャンパンを飲みながら次の一手を考える参加者たち。酒を飲みながら脱出ゲームができるのは、自宅ならではだ。
自宅で脱出ゲームを開催する際のポイント②
・お酒を飲みながらやると楽しい
なんだかんだで残り1個となった。だが、この1個がほんとうに難しい。我ながらかなり意地悪な場所に隠した。
最後の1個が見つからず、途方に暮れる人。
最後の1個が見つからず、途方に暮れる人。
途方に暮れて飽きそうになっていたので、ヒントを出すことにした。謎解きは難しければ良いというわけではなく、参加者のモチベーションをコントロールすることが何よりも大切である。

ヒント:「1か所に2つの謎が隠されていることがあります!」

「あ、ひょっとして!」
最後の1個を見つけ、喜ぶ人。序盤にコルクボードに貼られている謎が見つかったが、実はコルクボードの裏にももう一つ謎が貼られていたのだ。「一度謎を見つけたところはもう探さない」という盲点を突いた、意地悪な隠し方である。
最後の1個を見つけ、喜ぶ人。序盤にコルクボードに貼られている謎が見つかったが、実はコルクボードの裏にももう一つ謎が貼られていたのだ。「一度謎を見つけたところはもう探さない」という盲点を突いた、意地悪な隠し方である。
「あったーー!!!!」

写真からは伝わらないかもしれないが、めちゃくちゃ喜んでくれた。こういうのが本当にうれしい。
自宅で脱出ゲームを開催する際のポイント③
・参加者のモチベーション維持が大事(飽きられたら終了である)

12個の謎を解く

こうしてすべての謎が見つかった。次に参加者たちは見つけた12個の謎を解いて、用紙に記入していく。
まずは1~6の謎。読者のみなさんにも解いていただきたいところだが、実はこのままの状態で解ける謎は4番だけだ。
まずは1~6の謎。読者のみなさんにも解いていただきたいところだが、実はこのままの状態で解ける謎は4番だけだ。

1の謎

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解説

いきなりトリッキーな謎である。実は「M-120151stROUND6」というのは、分解すると「M-1 2015 1st ROUND6」となり、2015年のM-1グランプリを示している。

そして、自宅のテレビ内蔵HDDには2015年のM-1グランプリが録画されており、これを見れば答えが分かるような仕掛けになっている。
2015年のM-1グランプリ1st ROUND6 は、銀シャリだ。料理の「さしすせそ」を全部「しょうゆ」で統一してしまうというネタで、このネタを観れば、□に入るのは「ソイソース」だと分かる。
2015年のM-1グランプリ1st ROUND6 は、銀シャリだ。料理の「さしすせそ」を全部「しょうゆ」で統一してしまうというネタで、このネタを観れば、□に入るのは「ソイソース」だと分かる。
実は参加者のひとりがお笑い好きだったため、録画を見ずに答えにたどり着いてしまった。でも物分かりのよい参加者たちは「用意されたギミックには全部乗る」と言い、答えが分かっているにもかかわらずちゃんと録画を見てくれた。自宅脱出ゲームは参加者の温かい気持ちで成り立っている。

2の謎

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解説

左の「つ-14-1」「み-50-2」「モ-5-5」は文庫本の背表紙の番号を表している。いずれも自宅の本棚に置かれた本だ。
これらの本の存在に気が付けば、答えが「ペンス」だと分かる仕掛けだ。
これらの本の存在に気が付けば、答えが「ペンス」だと分かる仕掛けだ。
実はこちらも、参加者の一人が「月と六ペンス」というタイトルを最初から知っていたため、本を見つけることなく穴埋めを解いてしまった。お笑い好きと本好きがいるとは、偶然にもバランスが良すぎるチームである。

3の謎

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解説

こちらはスライドドアの裏に隠されていた謎。見つけるだけで難しいので最初から答えが書いてあるサービス問題だ。決して楽をしているわけではない。
いきなり答えが書いてあるというのが逆に斬新なせいで、「ひっかけなんじゃない?」と疑われてしまった。ひっかけじゃないです。答えはドアーです。楽をしてごめんなさい。

4の謎

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こちらは、このままの状態で解くことのできる謎だ。読者のみなさんにも解いてほしい。
解説

両方に同じマークがあるように見えるが、実はあるマークだけ片方にしか存在しないようになっている。答えは、アンド(&)となる。
けっこう簡単なので参加者にはすぐに解かれてしまった。今回謎を作ってみて思ったのだが、こういう一般的な謎解き問題は想像以上に簡単に解かれてしまう。

5の謎

こちらは先ほどのシャンパンに書かれた謎。剥がしてはいけないやつ。
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シャンパンを飲み終わると、ようやく紙に書かれた文字が見えるようになった。楽しそうでなにより。
シャンパンを飲み終わると、ようやく紙に書かれた文字が見えるようになった。楽しそうでなにより。

解説
シャンパンを飲み干し、ボトルを覗き込むと、紙には「のみたがり」と書いてある。
さんざんお酒を飲ませておいて最後に出てくる文字が「のみたがり」とはなんとも失礼な話だが、参加者たちには大ウケだったのでよかった。

6の謎

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解説

これは、キッチンで見かけるアレを表している。
砂糖など調味料が入った箱。
砂糖など調味料が入った箱。
3つの箱の内、謎は真ん中の箱を示しているので、真ん中の箱の調味料が何かを当てる必要がある。
味見をする参加者たち。「うーん、、、片栗粉!」。正解です。
味見をする参加者たち。「うーん、、、片栗粉!」。正解です。
普通の謎解き問題だけでなく、自宅ならではの問題が楽しんでもらえているようだ。自分で仕掛けておいてなんだが、お酒を飲んだり味見をしたりとなんだか大変そうだ。
自宅で脱出ゲームを開催する際のポイント④
・家にあるアイテムを使って解く問題が盛り上がる
あっという間に半分が解かれてしまった。残り半分の謎はこのようになっている。
7~12の謎。8番、9番、10番、11番はこのままの状態で解けます。
7~12の謎。8番、9番、10番、11番はこのままの状態で解けます。

7の謎

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解説

7の謎も、自宅のアイテムを使う謎だ。実は、自宅のある地域の、ゴミ出しに関係している。
電池は土曜日、ヤカンなどの小物金属は第1・第3木曜日なので、答えは「サーズ」デーだとわかる。
ゴミの分別の紙に気が付いて喜ぶ参加者たち。
ゴミの分別の紙に気が付いて喜ぶ参加者たち。
問題がシンプルすぎるため、手掛かりが少なく悩んでいるようだったが、答えが分かった時はとても喜んでいた。なんだかこっちも嬉しいです。ありがとうございます。

8の謎

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8の謎は、このままの状態で解くことができる。解けたらすっきりするタイプの謎なので、読者の皆さんもぜひ解いてください。
解説

日曜夜の某国民的アニメの家系図を表している。答えは「カツオ」
我ながら良い問題だと思っていたのだが、1分ぐらいで解かれてしまった。早い。しかもそんなに感動してもらえなかった。おかしい。

今回謎解きを作ってみて感じたのは、問題作成時に設定した難易度が全然当たらないということだ。簡単だと思って作った問題にとても苦戦されたり、難しいと思って作った問題をあっさり解かれたりする。そして、後者の場合、結構くやしい。

9の謎

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9の謎もこのままの状態で解くことができる。いかにも謎解きっぽい問題。
解説

迷路をクリアする際に通過する文字は「なすからにんじん」である。そこで、ナスの絵からニンジンの絵までたどると、通過する文字は「れんこん」となる。答えはれんこんである。
迷路を作るのは楽しい。子供の頃、ひとりで迷路を紙に書いては、誰に解いてもらうこともなく自分で解いていた。そんな寂しい思い出がよみがえってくる。

10の謎

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10の謎もこのままの状態で解くことができるが、かなりの難問だ。読者の皆さんもぜひ挑戦してほしい。この問題はさすがに難しいのでヒントを出すと、「クケトエ」という言葉が出てきた人は、ゴールに近い。あと少し。答えは、ある動物の名前だ。
解説

漢字の「落」「啓」「音」「演」読み方「ラク」「ケイ」「オト」「エン」のうち、欠けている「ク」「ケ」「ト」「エ」じゃないほうを読むと、「ラ」「イ」「オ」「ン」となる。答えはライオンだ。
懺悔しておくと、この問題は、僕が以前何かの謎解きで見た問題から発想を流用したものだ。12個も謎を考えるのは、大変なのだ。謎を考えるのは楽しいのだが、本当に頭を使う。世の中には謎解きサークルがいくつもあるが、解きがいのある問題を次々と作れるのは本当に凄いと思う。

参加者には「この問題めっちゃクオリティ高くない?」と言われた。ごめんなさい僕の発想ではないです。

11の謎

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11の謎も、自宅のアイテムを使わずに解ける問題だが、ちょっと知識が必要な問題。
解説

この謎は東急東横線の各駅の頭文字が並んでおり、数字の書かれた駅の頭文字を順に読むことで、答えは「ひきだし」となる。
東急東横線は、僕の自宅に来る途中に乗る路線である。「自宅に来る時からすでに伏線は始まっていた」というオチである。ただそういう伏線は伝わらなかったようで、謎を解いた参加者には「ほりくんは東横線が好きだなあ笑」と言われた。なんだそれ。

12の謎

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最後の謎は、僕の自宅のアロマの香りを答える問題。なんのひらめきも必要としない、嗅覚だけが頼りの問題である。
このアロマの香りを当てる問題。嗅覚だけが頼りとなる。
このアロマの香りを当てる問題。嗅覚だけが頼りとなる。
解説

普通にラベンダーの香りがするので、こたえはラベンダーだ。
おもむろにアロマをONにするといい匂いが漂い始める。香りをノーヒントで当てるのは意外と難しいようだ。それでも最終的には答えの「ラベンダー」に行きついていた。

飲んだり味見したり匂いを嗅いだりと、記事では伝わりにくい謎が多くなってしまった。とにかく現場は楽しかったので安心してください。
自宅で脱出ゲームを開催する際のポイント⑤
・五感を使う問題は新鮮で楽しい

12個の謎を解いて

計12個の問題であったが、なんだかんだで40分程ですべて解かれてしまった。自分が作った問題を解かれるのは、悔しさとうれしさの両方が混ざった、変な感情になる。

さて、最初に配られた用紙に12個の問題の答えを記すと、次のメッセージが浮かび上がる。
答えを用紙に記入していきます。複数の謎を解くとひとつのメッセージが浮かび上がるというのは、謎解きではよくつかわれる手法だ。こういうのを一度作ってみたかった。
答えを用紙に記入していきます。複数の謎を解くとひとつのメッセージが浮かび上がるというのは、謎解きではよくつかわれる手法だ。こういうのを一度作ってみたかった。
浮かび上がったメッセージは「スペードのかずが示すものをカレンダーから読め」だ。

スペードのかずが示すもの

スペードの数とは、12個の謎のそれぞれに書かれたスペードのマークのことである。
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よく見ると、謎の周りにトランプのマークが描かれていて、謎ごとに微妙に模様が異なっている
よく見ると、謎の周りにトランプのマークが描かれていて、謎ごとに微妙に模様が異なっている
各謎の番号とスペードの数の対応を調べると、次のようになる。
各謎の周りに描かれたスペードの数について調べたもの。1~12のうち、5番は3個と多く、6番は0個。これが示すものは…
各謎の周りに描かれたスペードの数について調べたもの。1~12のうち、5番は3個と多く、6番は0個。これが示すものは…
そして、カレンダーとは、部屋の中から見つかったスケジュールノートのことだ。
部屋の中から見つかった、いかにも謎解きのアイテムっぽいスケジュールノート。実は、最初の謎探しの段階でこのノートが見つかってしまい、「これ絶対あとで使うやつだ!」と言われてしまった。伏線丸出しのアイテムは脱出ゲームならではという気がする。
部屋の中から見つかった、いかにも謎解きのアイテムっぽいスケジュールノート。実は、最初の謎探しの段階でこのノートが見つかってしまい、「これ絶対あとで使うやつだ!」と言われてしまった。伏線丸出しのアイテムは脱出ゲームならではという気がする。
自宅で脱出ゲームを開催する際のポイント⑥
・伏線丸出しのアイテムを目立つ位置に置いておこう
部屋から見つかったカレンダー。2019年の1月から12月まで、謎の文字列が並んでいる。いかにもあやしい。
部屋から見つかったカレンダー。2019年の1月から12月まで、謎の文字列が並んでいる。いかにもあやしい。
12個の謎番号に対して、0~3個のスペードの数が対応する。カレンダーには謎の文字列。これが示すものは何だろう。
微妙に飽き始めている参加者たち。あと少しなので頑張ってください!
微妙に飽き始めている参加者たち。あと少しなので頑張ってください!
「12個の数字は12の月を表しているんじゃない?」
「5月が3個で6月が0個ということは、祝日の数?」
「でもそれなら12月が0個なのはおかしくない?天皇誕生日があるはず。」
「んーーーー」

こういう会話を横で聞くのが面白い。「わかる。わかるなぁ。」と心の中で共感しながら僕は横で傍観している。

「あ、待って。今年で平成が終わるから来年は12月の天皇誕生日が変わるんじゃない?」
「まぁ試しにカレンダー見てみよ」
「あ!読める!!!!読めます!!!!!!」
答えは、「えとでおってA~Hとけいまわり」
解説

スペードの数は、各月の祝日の数を表していた。そして、カレンダーの各月の祝日に記された文字だけを読むと、「えとでおってA~Hとけいまわり」、すなわち、「干支で折ってA~H時計回り」というメッセージが得られる。

最後の謎

さて、「干支で折ってA~H時計回り」を頼りに、最後の謎を解く。実はこれまで見つけてきた用紙の裏側には、怪しげな絵と文字が描かれている。
裏側には、動物と文字が。あやしい。
裏側には、動物と文字が。あやしい。
「干支で折って、時計回り」
「よく見ると対角線に干支があるから、対角線で折るのかな?」
「ライオンは獅子やから干支やね」
「それ星座だけど干支じゃないわ」
「あれ、一個足りなくない?」
「いや、虎も干支やで」
「あ、できた!!!!!!」

解説
紙の対角線上に描かれた干支の動物で山折りにし、A~Hの文字を時計回りに並べると、「かしつきのたんく」という言葉が浮かび上がる。すなわち、加湿器のタンクである。
謎解きの最後が折り紙で締めくくられるのも、謎解きではよく使われる手法だと思う。これも一度やってみたかった。ただ、折り紙問題を作るのはめちゃくちゃ難しかった。本当はもっと凝った折り紙問題を作りたかったのだが、これで精いっぱいだ。

「加湿器のタンク!」

参加者たちは加湿器のタンクを開けると、中から鍵が出てきた。
タンクを開けて鍵を見つけ、歓喜に沸く参加者たち。
タンクを開けて鍵を見つけ、歓喜に沸く参加者たち。
そして、錠前を開錠し、無事に脱出成功である。
そして、錠前を開錠し、無事に脱出成功である。
こうして、僕が作った自宅脱出ゲームは無事にクリアされた。ゲームスタートから約1時間半がたっていた。参加者のみんなはとても喜んでいた。おめでとうございます。なんだか僕も嬉しいです。ありがとうございました。
自宅で脱出ゲームを開催する際のポイント⑦
・時間設定は1時間~1時間半ぐらいが良い(長すぎると飽きられる)
蛇足だが、「冒頭の宝探しの時点で加湿器のタンクを開けられたらどうしよう」と、僕は内心ずっとビクビクしていた。鍵が見つかってしまったらその時点で脱出ゲームが終わってしまう。途中で鍵が見つかることは絶対に避けたい。

そこで僕は鍵を加湿器のタンクに隠し、タンクには水を入れておいた。さすがに人の家の加湿器のタンクの水を抜いてまで捜索する人はいないだろうと思ったからだ。
自宅で脱出ゲームを開催する際のポイント⑧
・最後のアイテムは絶対に途中で見つけられない場所に隠そう

自宅脱出ゲームはハートフルだ

自宅脱出ゲームを開催して気が付いたことは、脱出ゲームには多くの喜びがあるということだ。解いてもらう人のことを考えながら問題を作る喜び、問題を解いてもらう喜び。自分の用意した仕掛けにはまってくれると嬉しいし、自分の全然想定していないところで詰まっているのを見るのも楽しい。何より、脱出ゲームをクリアして喜んでいる姿を見るのは、出題者としても嬉しい限りだ。

そして、それは脱出ゲームを解く人の優しさによって成り立っているところも多い。参加者たちは用意された仕掛けを全力で楽しんでくれたし、全力でリアクションしてくれた。そういう優しさがあって、楽しくなるのだなぁと思った。
自宅で開催するため、生活感を押し込めたクローゼットの中などは見られたくない。そういうところには「あけないで」と貼ることにした。あけないでもらえた。
自宅で開催するため、生活感を押し込めたクローゼットの中などは見られたくない。そういうところには「あけないで」と貼ることにした。あけないでもらえた。
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