とくべつ企画「怖いはなし」 2018年6月25日

街角ダイイングメッセージがこわい

あなたの街のエラリー・クイーン
あなたの街のエラリー・クイーン
恐怖とサスペンスは日常に潜んでいる。我々が平和かつ文明的な生活を享受している社会の裏に秘められた戦慄の刃が、この街角ダイイングメッセージなのである。

※この記事はとくべつ企画「怖いはなし」のうちの1本です。
1975年神奈川県生まれ。毒ライター。
普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。
最近バレンチノ収集を始めました。(動画インタビュー)

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> 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー

赤くてかすれたり垂れたりしていてこわい

これはひょっとしてなんらかの事情で犠牲となった者からのメッセージなのではないかと考えたのは、8年ほど前にこれに出会ったのがきっかけだ。
売地。こわい。携帯電話の番号まで書き込まれている。
売地。こわい。携帯電話の番号まで書き込まれている。
ミステリーやホラー作品で死亡した人間が死に際に残してゆくダイイングメッセージ。

この閉塞した現代社会の中で人の心は疲弊し、警察などの公権力やメディアにも察知される事なく凄惨な事件や事故が引き起こされている。その手がかりを顕在化するべく被害者によって綴られたメッセージが、街の中には存在するのではないか。
この禍禍しさ、これは...。
この禍禍しさ、これは...。
こういう事か。ちなみに彼は撮影していたら「あ、寝ましょうか」って提案してくれてすごく戦術理解力の高い人だと思った。
こういう事か。ちなみに彼は撮影していたら「あ、寝ましょうか」って提案してくれてすごく戦術理解力の高い人だと思った。
真っ赤な鮮血で、最後の力を振り絞るように乱れた筆致で綴られたメッセージ、書いたものは何を見て、何を伝えようとしたのか。
恐ろしいさしみ。シガテラ毒(おもに熱帯域のサンゴ礁周辺に住む魚を食べておこる中毒)とかにあたった悲運な人の断末魔だろうか。そういえば刺身って字はなんか怖いな
恐ろしいさしみ。シガテラ毒(おもに熱帯域のサンゴ礁周辺に住む魚を食べておこる中毒)とかにあたった悲運な人の断末魔だろうか。そういえば刺身って字はなんか怖いな
流血だっらだらである。
流血だっらだらである。
食人植物や猛獣がはびこる原野を命がけで切り拓き、街を作った偉大な先人の残した命がけの道案内に違いない。
戸締りをしなかったばかりに……。
戸締りをしなかったばかりに……。
ちなみにこれはマジでこわかった。
ちなみにこれはマジでこわかった。

赤くなくてもこわい

ダイイングメッセージは血文字とは限らない。断末魔感があればそこにダイイングコミュニケーションが生まれる。
喫煙組と禁煙組の抗争は根深い。こわい。
喫煙組と禁煙組の抗争は根深い。こわい。
肉。ケバブ屋で回ってる肉のこん棒みたいなので殴られたのだろうか。
肉。ケバブ屋で回ってる肉のこん棒みたいなので殴られたのだろうか。
文字の上からダイイングぺイントを垂らしているアーティスティックなメッセージ。
文字の上からダイイングぺイントを垂らしているアーティスティックなメッセージ。
ノージョイサウンドだ。
ノージョイサウンドだ。
ダイイングどうこうよりここからタクシーが出てくるというのがなんかこわい。
ダイイングどうこうよりここからタクシーが出てくるというのがなんかこわい。
あと15分。農業大学のすぐ近くまでたどり着いて何らかの惨劇にあったのか。さぞ無念だったろう。
あと15分。農業大学のすぐ近くまでたどり着いて何らかの惨劇にあったのか。さぞ無念だったろう。
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お得なのにこわい

本来ならばとてもハッピーでファンタスティックなセール情報だがダイイング要素が加わるとサービス提供側の無念というか怨念が牙をむいてくる。デフレスパイラルこわい。
100円、無念。50円しか持ってなくて連行されたのかもしれない。。
100円、無念。50円しか持ってなくて連行されたのかもしれない。。
こんなに値引きさせやがって感にあふれている。
こんなに値引きさせやがって感にあふれている。
雨や雪、時に血をも吸ってきたアスファルトを踏みしめていたタイヤ達の思念がこもっているようだ。
雨や雪、時に血をも吸ってきたアスファルトを踏みしめていたタイヤ達の思念がこもっているようだ。

手書きじゃなくてもこわい

きわめて商業味の強いサイン看板などにも心胆寒からしめるダイイングメッセージが隠されていることがある。
文字数が多い。苦しんだ時間が長かったのではないか、かわいそうに。
文字数が多い。苦しんだ時間が長かったのではないか、かわいそうに。
訳すと「近くの川」こわい、探偵味のある事件の手がかりっぽい。なんか見つかったらやだから川行かない。
訳すと「近くの川」こわい、探偵味のある事件の手がかりっぽい。なんか見つかったらやだから川行かない。
渇いている。水分一切無しでかわいいカステラをわんこそばのように食わされ、口の中がネバネバになってしまう拷問にでもあったのはないか。瞳孔が開き切ったような「プ」が凄惨さを物語っている。
渇いている。水分一切無しでかわいいカステラをわんこそばのように食わされ、口の中がネバネバになってしまう拷問にでもあったのはないか。瞳孔が開き切ったような「プ」が凄惨さを物語っている。

恐ろしいダイイング三傑

三大欲求やら三大義務やら世界三大なんとやら、人類は何かと代表的なのを三つ挙げがちだが、ここでも私が恐れおののきながら過ごしてきた8年ほどの歳月の中で、三大ダイイングメッセージというべき代物を紹介したい。

いらっしゃい

いらっしゃくない、事件性しかない。
いらっしゃくない、事件性しかない。
渾身の、まさに最後の力を振り絞ってガラスにぶち投げられたいらっしゃい。ここまで心をかきみだしたいらっしゃいに今後出会う事はあるのだろうか。

マタニティ

ほんと率直に「なんで?」と思った。
ほんと率直に「なんで?」と思った。
おそろしい。言葉通り妊婦が犯人だったのか、しかしよくマタニティなんて息も絶え絶えの時に頭に浮かんだな。ミステリーのパターンとしては「股にティファールの電気ケトルをはさんだ男」とか書こうとして途中で息絶えた可能性も捨てきれない。

コインランドリー

なんかもう総合的におそろしい。
なんかもう総合的におそろしい。
洗濯といえばバイオだがこれはむしろハザードがつくほうのバイオである。完全なホラー仕様。

左右に書かれたコインランドリーがなぜか消されている。

コインランドリーを装い、洗濯を目的に飛び込む哀れな人間を捕食していたモンスターの罠。ある時命からがら生還した者が左右の文字を消すが、数日後には何事もなかったかのように(そんなことないけど)入口の上に「コインランドリー」が記され、洋服を持って駆け込む獲物を待ち伏せているのだった。おそろしや。

伝えようという執念が濁流のように溢れ出たダイイングメッセージは時として整然とデザインされた情報を凌駕するインパクトで我々の心に、発信者の意図とは違った何かを刻み付けてゆく。そういったものにこれからも身震いしていきたい。
のどか…
のどか…

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