特集 2018年6月17日

世界のカルチャーショックを集めたサイト「海外ZINE」の記事が始まります

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ベトナム在住ライターとしてベトナムの丸亀製麺はパクチー盛り放題燃えよペンタブ!ベトナム漫画界は黎明期などの現地記事をたくさん執筆してくれていたネルソン水嶋さん。彼が編集長を務めるサイト「海外ZINE」の記事を、デイリーにも月1くらいで掲載させてもらうことになりました。

最初の記事は、同時公開の「アフリカの少年は全員バク転できる説7カ国で検証してみた」。それを記念してこちらの記事では、水嶋さんに海外ZINEについて語ってもらいます。

海外ZINEはこちら
インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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タイはアジアの日本語メディアの中心地

編集部 石川(以下、石川)
水嶋さん今どこにいるんですか?

ネルソン水嶋(以下、水嶋)
今は実家の大阪です!が、もう一週間後はタイですね。なんだかんだで今回は日本に4ヶ月いました。この6年間で最長記録

石川
水嶋さんはベトナム在住で、デイリーでもずっとベトナムの記事を書いてたんですけど、いまいったん引き払って日本にいます。

水嶋
そうそう、1月末に家を引き払って一旦帰国。一時帰国じゃなくて仮帰国だって周りには話してました。

石川
仮釈放みたいな

水嶋
やめてくださいよ、ネガティブな!
でも語呂がいいと思ってたら、それですね。仮釈放に近いがゆえの語呂のよさ。
仮帰国中に取材したヒット記事、「幕末っぽい写真で今を撮る」</a>より。左が水嶋さん。
仮帰国中に取材したヒット記事、「幕末っぽい写真で今を撮る」より。左が水嶋さん。
石川
それで一旦ベトナム編第一部は完ということで、次はタイに。どのくらい住む予定ですか?

水嶋
といってもタイも一年くらいで、その間もちょくちょくベトナムは行くと思います。

石川
なんでタイに?

水嶋
前からちょくちょく行ってたので友達も多いし不安もないし。あと今ライター以外に海外ネタ専門の編集者のお仕事もさせてもらっていて、そのへんを広げるためにまずバンコクに行かなきゃって経緯です。

石川
バンコクってそういう海外ネタのメディアというか、そういうの中心地だったりするんですか?

水嶋
たとえば現地の日本人向けフリーペーパーも、ベトナムだと4,5誌だけどタイだと3倍の15誌くらいあるんですよね。
で、在住日本人も、5倍は多いなんて言われてます。人口はベトナムの方が多いのに。
ライター、カメラマン、イラストレーター、このあたりの人たちもまたバンコクを中心にタイは多いんです。同時に、アジアや、ほかのエリアからも、バンコクはハブになっている。
編集者をするなら、そういう人たちともっと会いたいので、とりあえず一年!いるという感じですね。

石川
なるほどー、日本でいう東京にメディアや出版社が集まってるみたいな
それがアジアの日本語メディアだとバンコクなんですね

水嶋
そうそうそう!

海外ZINEとは

石川
で、水嶋さんがデイリーみたいなライターの立場ではなく、編集者として運営をしているのが、それで今日ご紹介する「海外ZINE」ですね。
こんなページ
こんなページ
石川
いまDEE沖縄さんとかはまれぽさんとかの記事を月1くらいでデイリーに載せさせてもらってるんですけど、今回から海外ZINEさんの記事も掲載させていただくことになりました、というお知らせの対談です。これは。
簡単に概要を説明していただいてもいいですか

水嶋
海外在住ライターが、世界各地のカルチャーショックを紹介するサイトです。

石川
あーいいですね、一言で説明できる!いいですねー!
デイリーの説明をするのにいつも困るところ。

水嶋
どちらかといえばネタを例に挙げたいけど、一例すぎてだいたい「えっ、どういうサイト?」ってなっちゃう。
実例はいっぱいありますよ!ぐっと押さえているだけで。たとえば、

石川
えっと

水嶋
アフリカの少年はほぼバク転できるとか、韓国は雨の日にチヂミを食べたくなるとか、ドイツのクリスマスは40日間つづくとか、アルゼンチンのシエスタ(昼寝)は4時間とか
……すみません先走りました

石川
パッションが溢れた

水嶋
言いたいんです!マイクお返しします

石川
じゃあもう個別の記事を見ていっちゃいましょうか

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水嶋
韓国にも日本と同じ時期に梅雨がありまして、そんなときに韓国でカルチャーショックなことってないの?と思ってライターさんに書いてもらったものが、「雨が降るとチヂミを食べたくなる」ってやつ。
理由は、「雨音が鉄板の上でチヂミを焼く音に似てる」から!パチパチ、ってやつ。

石川
ほー。ちょっと思いつかなかったタイプの風流さですね

水嶋
そうなんですよ、風流なんです。情緒、という点では、日本にもありそうでないでしょ。

石川
油物の話なのに情緒的。

水嶋
それと同時に合理的な理由もあって、雨が降ると外に出られない、家にあるものでご飯をつくる、小麦粉があるからチヂミを焼こう!っていう。

石川
チヂミって韓国料理でそういうポジションなんだ。
日本でいうと炒め物とかかな?家にあるものでさっと作る

水嶋
韓国は鉄板文化なのかもしれません。朝食のひとつに、鉄板の上で食パンを焼くっていうのもあるらしいですし。
ただただ驚くばかりじゃなくて、こういう背景にある歴史や国民性まで説明することを大事にしてます。

石川
鉄板でトースト?うまそう
ホットサンドみたいなものかな

水嶋
トーストの上にハムやチーズを載せて焼いて、くるくるっと巻いて紙コップに入れて売られているようです。日本に「ありそうでない」ものが韓国には多いのでおもしろいですね。

石川
たしかにそうですね。似たものはあるし味も想像できるんだけど、日本にはないなという。パラレルワールドっぽい

水嶋
正直海外ZINEをはじめる前は興味なかったんだけど、韓国めちゃ行きたい国になりました。
どの国でもそうですが、見てるうちになんか好きになっていきますよ。

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水嶋
シエスタは名前を知ってる人も多いと思いますけど、ラテン系な国でよく見られる習慣です。
そのひとつがアルゼンチンなのですが、なんと長いところでは4時間!13時から17時までたっぷりと昼休憩をとる。寝る人もいれば、読書をしたり、思い思いに過ごします。

石川
これ記事読んでびっくりしたんですけど、ただシエスタで休んでちょっとしか働かないわけじゃなくて、そのあと遅くまで働くんですね。

水嶋
そう。実はシエスタ後に、夜遅くまで働くんですよね。で、夕食は10時以降。現地のレストランも営業開始時間は夜10時なんだそうです。
「シエスタ=ぐうたら」ではない

石川
単に順番の違いなんだなと思って。
シエスタの時って家に帰るんですか?

水嶋
ライターさんの話を聞いている限り、帰る人が多そうですね。
そこはシエスタだからというより、めちゃくちゃ家族が好きというところが理由みたいです。毎週末は家族とのBBQが当たり前みたいで

石川
東京だと通勤時間も長いし、一回帰るのなかなかむずかしそうですね。

水嶋
まぁ、これについては都市部と地方の違いもあるかもしれませんね。
実はこの記事を見た都市部にいる日本人の方から「都市部は違う!」って言われました。

石川
記事でも触れられてますね。
そこちょっと「一緒にするな」みたいな意識あるんですかね。俺らは昼も働いてるぞみたいな

水嶋
でも夜遅くまで働いているんですけどね。
ちなみにどうしてそんな習慣があるかというと、日射量が強く暑いから。とくに外で働いている人は熱中症などの弊害も出てくるので、太陽が高い時間は家に引っ込んで、夕暮れからまた働く、という、大変合理的な背景があるんです。そう考えると、都市部はオフィスワーカーが多いから、シエスタをガッツリとる必要がないんでしょうね。気候も違ってくるだろうし。

石川
シエスタってのんびりした暮らしの象徴みたいなイメージですけど、完全に合理的な制度なんですね

水嶋
知らないうちに先入観持って見てたりするんで、こうやって知ることによりスッキリ解消されます

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水嶋
一年の間でも最大のイベントごとだそうで、なんと40日間もつづきます。新年に入ってもちょっとつづいて、1/6で終わる。
日本は24,25とあって、そのあとドタバタと正月ですから、それだけにギャップが大きい。

石川
1か月以上お祭りが続いてる状況って日本でないからなかなか想像つかないです

水嶋
そうですよね。といってもずっとお祭り騒ぎという訳ではなくて、もみの木を買って飾り付けをしたり、焼き菓子を焼いたり、厳かなものみたいですよ。むしろ、日本の伝統的な正月の方が近いです。

石川
あー準備をするんだ。しめ縄買ってきたりとかですね。おせち作ったり

水嶋
焼き菓子焼くって聞いて、おしゃれだな!と思いましたけどね。

石川
こっちは豆煮てますからね。小魚とか。だいたい煮物

水嶋
もしかしたら向こうにとったら焼き菓子が庶民くさくて、豆煮てたらCoolだな!と思うかもしれませんね。

石川
それありますよね。コトコト煮る感じが手間暇かかってて良いじゃん、みたいな

水嶋
編集してて思ったのは、一概には言えませんが、キリスト教の影響が強い国は、日本と正月とクリスマスの雰囲気が逆なのかもしれません。クリスマスが厳かとで、年越しカウントダウンがどんちゃん騒ぎ。

石川
年越し、行く年くる年みたいな感じじゃないんだ。除夜の鐘とか

水嶋
新年が明けたら爆竹や打ち上げ花火を打ちまくったりするそうです。爆竹でいうと、イタリアのナポリのカウントダウンは相当やばいそうです。戦争状態で。どうやらどこでも、新年のタイミングで死者は出るみたいですね。
まぁ日本は餅詰まらせて死にますけど。

石川
ヨーロッパの祭りって人死ぬイメージありますよ。牛追い祭りでしたっけ、あれとか。

水嶋
丸太落としたりもしますよね

石川
でも日本もだんじりとかあるから一緒か

水嶋
あぁ、いっしょですわ。

石川
日本で40日間続く祭りって何かなって考えたんですけど、春のパン祭りですね
1か月かけてシールためて、送るっていう

水嶋
あれのお皿ね、フランスのある村でつくっていて、それで経済が回ってるって話を聞いたことがあるんですよ。
フランスのライターさんが見つかったら絶対取り上げたい!って思ってたんですけど

石川
お、いいネタ

水嶋
山崎パンさんの広報にきいてみたら、「聞いたことない」と回答したそうです。めちゃくちゃガッカリ!!!

石川
あはは

水嶋
本当に悔しかった、そもそも嘘なのに。
でも、イタリアの地方には地面に刺さった聖剣とかすごいネタがまだあるので、いつかチャンスがあったら記事にしたいなとは思ってます。
次のページも記事の紹介が続きます!
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デイリーと海外ZINE

石川
ライターさんはどんな人が多いんですか?

水嶋
そうですねー、本当にさまざまで書籍も出していてキャリア数十年のベテランさんとか、青年海外協力隊出身のブロガーさんとか、現地の旅行会社で働かれている方とか、まだ書いてないけど最近はこれから現地で日本食店をはじめる方とか、ほんとうにさまざまですね。

石川
水嶋さんから声をかけるんですか?むこうから?

水嶋
両方ですね。こちらから声を掛けた方は、文章を見て相性が良いと思った方に声を掛けました。なにげに基準のひとつに「デイリーっぽさ」があるのかもしれません。

石川
それが巡り巡ってデイリーに転載させていただくことになったわけですね。因果!

水嶋
最初に参考にしたサイトはいくつかあるんですが、デイリーの存在デカイですよ。対談記事だからといって持ち上げたい訳じゃなくて!

石川
あはは、ありがとうございます

水嶋
めっちゃくちゃ参考にしてますからね。編集方針はとくに。なので、そういう意味でも、こうして月イチで載せていただくことはうれしいです。
ライターさんにとってもいい機会になると思うので。海外にこんなおもしろいネタが、そしてそれを書けるライターさんがいるということを、とにかく多くの方に伝えたいと思っていたので。まぁ本当にうれしいです。自分でおもしろいと言うのもあれですけど

石川
でもいま海外ZINEに似たような、単に情報じゃなくて読み物っぽく読ませる気概のサイトって他にないと思うので、ぜひ引き続き面白い記事をよろしくお願いします!

水嶋
ありがとうございます!そのへんの気概はデイリーゆずりのつもりなので、がんばります!

というわけで対談はこのあたりにして、ここからは水嶋さんおすすめの記事を5本、さらにご紹介します。

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実はヌーディストビーチが多いドイツ。その背景を探ると、冷戦時代の監視社会下、「開放感を得たい」という庶民のやむにやまれぬ事情がありました。スプレーで印を付けられただけの偽ヌーディストビーチにはご用心!(水嶋)

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動物に優しい国といえばミャンマー。理由は、仏教を背景として、弱者を助けると来世で幸せになれるから。しかし動物たちには知ったこっちゃなし!態度はますます横柄になるばかり。(水嶋)

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街中に古代遺跡が溢れかえっている、ローマ。しかし首都でもあるので、街も近代化せざるを得ない訳で…地下鉄工事がぜんぜん進まないという市民の悩みをご紹介。京都でも似た問題があるそうです。(水嶋)

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一世紀前の租界時代には「魔都」と称された上海、実はその当時の建物が保存されています。川を挟んで対岸にはまるでSF映画のような摩天楼が天空を突いており、まるで夜景のタイムトラベル。(水嶋)

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写ルンですで海外の街並みを撮ってみたらどうなるの?インドネシア編。働く人をテーマに、大道芸人、リヤカー引き、獅子舞踊り、ミュージシャン、さまざまな仕事人が90年代の写り映えに。(水嶋)

というわけで今後は海外ZINEの記事を月1本のペースで掲載していきます。
記念すべき1本目は「アフリカの少年は全員バク転できる説7カ国で検証してみた」。未読の方はぜひ!
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