特集 2018年6月6日

自分の本が印刷され製本されているところを確認してきた

印刷所と製本所を見せてもらった!
印刷所と製本所を見せてもらった!
先日、本を出版した。

出版社の編集の方に「本にしましょう」といわれてから、実に3年と半年。取材の期間も含めると、8年もの時間がかかっている。
ことし4月に原稿が校了したとき、印刷と製本にどれぐらいの日にちがかかるのかきいてみたら、作業時間だけをみると、それぞれ2日、トータル4日ほどでできてしまうという。
2日ってあなた。8年かかってんだこっちは。ってべつに怒るところではないが。怒るべきはじぶんの遅筆である。

しかし、いったいぜんたい2日ってどういうことだろう。かなりの量を刷るのに時間かからなさすぎじゃないか。ぜひとも、自分の書いた本が印刷され、製本されている様子をみせてもらいたい。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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本がでました。

というわけで、がでている。

中公新書より『ふしぎな県境』というタイトルの本だ。Amazonはこちら→『ふしぎな県境
中公新書カラー版『ふしぎな県境』よろしくおねがいします
中公新書カラー版『ふしぎな県境』よろしくおねがいします
一読すれば、日本のふしぎな形の県境が、どんなふうになってんのかだいたいおわかりいただけるとおもう。と、のピーアールはここまでにしておいて、自分の本がどんなふうにできているのかだ。

本ができるまでの基本

本は、筆者が原稿を書き、編集者が原稿を取りまとめ、その原稿をDTPデザイナーがパソコンでもって印刷できるデータの形に組む。
ここまでは、いちおう、ぼくも編プロに勤務していたので(たいした仕事はしてなかったけれど)、だいたいの流れはわかっているつもりだが、問題はこのあと。
デザイナーがパソコンでもって組んだ印刷用のデータは、印刷所に送られ、巨大な印刷機でザーッと印刷され、印刷された紙を今度は製本所に持っていって、ガシャコーンと折ったり切ったりして本の形になる、らしい。

らしい、というのは、実際に見たことがないからだ。

本の執筆者だとか、編集者やDTPオペレーターでも、印刷や製本のしくみやようすは、知識としては知っているけれど、実際には見たことがない、というひとも多いかもしれない。

中公新書は印刷所と製本所が別

印刷所と製本所は、両方を兼ね備えたところも多いが、製本を専門にやっている工場というもある。今回、ぼくの本を出版してくれた中公新書の奥付(おくづけ・本の情報が書かれたページ)をみると、印刷所と製本所が別になっている。
本文印刷 三晃印刷、製本 小泉製本とある
本文印刷 三晃印刷、製本 小泉製本とある
ということで、まずは三晃印刷の習志野工場へ伺った。
ぼくの隣にいらっしゃるのは、本のデザインを組んでくださった市川さん
ぼくの隣にいらっしゃるのは、本のデザインを組んでくださった市川さん
三晃印刷は、1928年創業の印刷会社である。江戸川橋にも本社や工場などはあるが、千葉県の習志野にもかなり大きな工場を構えている。

デザイナーさんがDTPで組んだぼくの本のデータは、すでに工場へ送られ、ある程度印刷が行われているという。さっそく、みせてもらうために、工場の中へはいる。

外観からはいったいなにを作っている工場なのかさっぱりわからないが、中にはいると、ひとの背たけほどの巨大なロール紙が、天井近くまで積み上がっており、ここが印刷工場であると、たちどころに得心がいく。
ロール紙には製紙工場の名称と使う雑誌の名称が書き込まれている
ロール紙には製紙工場の名称と使う雑誌の名称が書き込まれている
紙と出身地が同じだ
紙と出身地が同じだ
ロール紙だけではなく、四角いおおきな紙も積みあげてあり、その紙を載せている木製のパレットには「王子製紙米子所有」とかいてあった。この紙はぼくと同郷の鳥取出身だ。日野川のほとりにそびえたつ紅白のあざやかな煙突と、すすけた工場のすがたをおもいうかべた。

倉庫をぬけて、巨大な印刷機が置かれた別棟に入る。ここには、すでに印刷がおわった紙がいくつも置いてある。

工場の方に、こちらですね。と、案内されたさきに目線をうつすと、あった。ぼくがかいた原稿が印刷された紙のかたまり。
ぼくの書いた本が積み上がってる
ぼくの書いた本が積み上がってる
たしかに、ぼくが書いて、校正したあの内容のまま印刷され、ここに置いてある。背筋がピンとなってしまう。
みてくださいこれ
みてくださいこれ
この印刷された紙は、片方を印刷したらしばらくおいておき、乾かしたのち、裏面を印刷するという。

これを印刷した機械がめのまえにある。

オフセット印刷機だ。
巨大すぎる、オフセット印刷機。横にインクの缶が積みあがっている
巨大すぎる、オフセット印刷機。横にインクの缶が積みあがっている
巨大すぎて写真に全貌が入らないのだけれど、でかい箱状の機械が6個ならんでるのがわかるとおもう。右端に写真に写ってないものがもう1個あるのでつごう7個あるが、これぜんぶひとまとめでひとつのオフセット印刷機だ。

この機械は、2年前に導入した最新型だという。なんとなく金額をきくのをためらってしまったが、おそらく、フェラーリなんかが数台買えるぐらいの値段は確実にするだろう。

オフセット印刷に至るまでの流れ

ここで、オフセット印刷の大まかな流れをお伝えしておきたい。

まず、印刷工場に送られてきた印刷用のデータは、アルミの板に転写され、「刷版(さっぱん)」と呼ばれる印刷用のハンコが作られる。この刷版の工程については、のちほど説明したい。

そして、データが転写された刷版は、オフセット印刷機にセットされ、印刷が行われる。

つまり、見学の順番としては、途中から見始めてしまったことになる。
おおざっぱな印刷の流れ
おおざっぱな印刷の流れ
印刷物がカラーに印刷されるのは、シアン(C・青)、マゼンタ(M・赤)・イエロー(Y・黄)、ブラック(K・黒)の色をくみあわせて、刷り合わせてカラーになる。
CMYKのしくみ
CMYKのしくみ
カラー印刷の場合、CMYK4色の刷版をそれぞれ作成し、その4色の刷版を、オフセット印刷機の「箱状の機械」にひとつずつセットし、ザーッとやるとカラーで印刷された紙がでてくるというぐあいになっている。
つまり「箱状の機械」が7個あるということは、このオフセット印刷機は、基本的な4色以外に、3色プラスして印刷することが可能ということになる。

この3色の部分に、金色だとか、銀色、蛍光ピンクといった、CMYKを混ぜても出せない色を使って印刷できる。こういった色を「特色」と呼ぶ。
三晃印刷では、『コロコロコミック』の印刷なども行っているが、表紙をよく見てみると、たしかに金色や蛍光ピンクが使われている。
コロコロコミックの表紙は7色つかっているそうです
コロコロコミックの表紙は7色つかっているそうです

オフセット印刷機の性能がすごい

最初、オフセット印刷機は停止していたが、ぼくが訪れたタイミングで印刷を再開してくれた。機械は、ウィーンという低いうなりごえをあげ、続いてガシャガシャと何かが整う音がしたかとおもうと、ものすごい轟音とともに、めちゃめちゃ早いスピードで印刷された紙をはきだしはじめた。
写真なので停止しているけれど、これめちゃめちゃはやいスピードで印刷されています
写真なので停止しているけれど、これめちゃめちゃはやいスピードで印刷されています
ものすごいスピードの印刷と同時に、脇のモニタ画面では、現在印刷されている面のチェックもおこなっており、インクのシミや濃度の異常がみつかると、自動的に機械がとまるというしかけになっている。
現在印刷をおこなっている折のチェック
現在印刷をおこなっている折のチェック
――変なことというか、わりとよく聞かれると思うんですけど、やっぱりそのセクシーな雑誌とか、……ありていにいったら、エロ本なんですけど、そういうのもあるんですよね。

三晃印刷さん「あります」

ちょっと食い気味にこたえる印刷所のかた。そういうものは、目のやり場に困ったりしないだろうか。

三晃印刷さん「まあ、仕事になればそういう目では見なくなりますよ(笑)芸術といえば芸術ですから、もう慣れましたね」

――たしかに、ああいうのは慣れますよね。

ぼくも、20年くらいまえ、エロ本みたいな本の編集をやっていたころ、毎月アダルトグッズ店から送付されてくる電動こけしやらリモコンバイブといった大人のおもちゃの紹介原稿を書いていたことがある。最初は、はじめてさわるそういったものに、いちいち目がさめるような感動を感じていたが、半年ぐらいたつと感情が無になった。

――これって、例えば週刊誌だとか、そういうものだと、発売前に読めちゃったりするんですよね?

三晃印刷さん「えぇ、発売日までに内容を漏らさないように、というものはたまにあります、必ず工場外に持って出ないとか」

――ただ、お仕事されているところを拝見すると、内容を読むようなヒマはなさそうですね。

三晃印刷さん「そうですね、内容までじっくり読むようなことはありませんね」

刷版とオフセット印刷

オフセット印刷機で、印刷するさいのキモになるぶぶんといえるのが「刷版」である。刷版がなければ、印刷も何もできない。

出版社から送られてきた印刷用データは、印刷工場で「面付け(ページを順番に並べる作業)」が行われる。
刷版も最初はただのアルミの板
刷版も最初はただのアルミの板
面付けされたデータは、レーザーで刷版に照射され、転写される。すると、レーザーのあたったところは感光層が剥がれ、当たらなかった部分は残る。その残った感光層にインクがのり、はんこのような役割を果たす。
レーザー照射する機械
レーザー照射する機械
刷版のしくみ(インクが乗った状態でレーザーが当たるわけではありません)
刷版のしくみ(インクが乗った状態でレーザーが当たるわけではありません)
ここでポイントになるのが、レーザー照射された刷版は印面が左右逆になってない。つまり、正像である。正像を紙に印刷したら、鏡像になっちゃう。とご心配の向きもあるかもしれないが、大丈夫だ。
刷版に、水をつけたあと、インクをつけると、レーザー照射した部分だけインクがのらない。その状態で、ブランケットにインクがいったん転写され、さらにブランケットから紙にインクを転写する。このとき、正像(刷版)>鏡像(ブランケット)>正像(紙)となり、めでたく、正しい向きで印刷される。
ブランケットにいっかい転写(OFF)し、さらに紙に印刷(SET)するので、この印刷方式をオフセット印刷という。
オフセット印刷のしくみ
オフセット印刷のしくみ
よく、グラビアアイドル、グラビア写真集なんてことをいうが、このグラビアというのは、グラビア印刷という凹版印刷の一種のことである。

昔は、写真などの印刷はグラビア印刷を使うことがおおかったため、いまだに「グラビア」の言葉だけがのこっているが、現在グラビアアイドルの写真集や週刊誌のグラビア写真といわれるものは、ほぼすべてオフセット印刷だ。
つまり、グラビアアイドルは、ほんらい、オフセットアイドルである。
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刷り上がった紙は製本所へ送られる

さて、自分の本の印刷の工程はひととおりみせてもらった。

現在、両面が印刷され積み上げられている紙は、検品され、製本工場へ運ばれ、製本作業へバトンタッチということになる。

数日後、埼玉県新座市の小泉製本の工場へむかった。
製本所です! 右から西村、社長の小泉さん、顧問の山本さん
製本所です! 右から西村、社長の小泉さん、顧問の山本さん
ぼくのちょっとしたおもいつきで、ほんの軽いきもちで工場をみせてほしい。といったところ、わざわざ社長が対応してくださった。
社長みずから対応してくださるので恐縮すぎる
社長みずから対応してくださるので恐縮すぎる
「うちは、雑誌はやってなくて、書籍専門なんです」と、小泉社長はにこやかにいう。

すこし話が脱線するが、雑誌のような速報性(といってもそんなに早いわけではないけれど)のある本は、印刷工場で、印刷から製本までまとめてやってしまう場合がおおい。
さらにいうと、雑誌や新聞というのは、いわゆる「印刷輪転機」というものをつかい、紙も、ロール紙を機械に装着し、高速で印刷と製本をおこない、印刷工場でみたオフセット印刷機とは形がまったく違う。
よく、ドラマかなんかで、輪転機が回るシーンをバックに、新聞の題字がググーッと画面に出てくるシーンがあるが、まさにあのシーンにでてくるのが輪転機だ。

閑話休題。書籍の製本の話にもどる。
――雑誌みたいな中綴じ(真ん中を針金でとめる)の本以外は作っておられるということですね。

小泉社長「はい、ジョウセイ……ハードカバーから、ナミセイまでやりますね」

――ハードカバーのことをジョウセイっていうんですね。

小泉社長「ふつうのひとはハードカバーっていうんだな、われわれだけだな、ジョウセイとかナミセイっていうのは」

――漢字はどうかくんですか?

小泉社長「上に製本の製で、上製、ならぶの並で並製ですね、上とか並とか、まったくウナギじゃないんだから(笑)」

――あ、上と並ってそういう意味だったんですね。松竹梅よりかはわかりやすいですよ。

上製、というのがいわゆるハードカバーの本。そして並製、というのが、背表紙を接着剤で固めた無線綴じの本、つまり新書や文庫、漫画の単行本など、現在刊行されている本のほとんどがそうだ。
上製(左)と並製(右)の本
上製(左)と並製(右)の本
小泉製本では、1日で上製の本がだいたい2万5千冊、並製の本は7万5千冊製本できるという。

――上製の本でも、辞書なんかは、製本がむつかしくないでしょうか。

小泉社長「たしかに、たいへんですね。ページ数が多いのももちろんありますし、あとは紙がうすいのもむつかしいですね、紙がうすいですから、印刷もむつかしいし、製本もむつかしい……辞書や聖書をつくることができる製本業者は東京でも何軒もないです」

――あ、そうか、聖書も紙うすいですもんね。

山本さん「こういった紙に限るわけではないんですが、印刷されて納品されてきた紙が波打っちゃってるときがあったりすると、さらに紙を切るのがむつかしくなりますね」

――波打つんですか。

山本さん「オフセット印刷は印刷のとき水をつかうんですが、その水がちゃんと乾燥していないと、波打ちます。あとは、湿度にもよって波打つこともあって、逆に乾燥しすぎても紙が反っちゃってだめなんです」

――ものすごく繊細ですね。

小泉社長「接着剤が、ハードカバーの場合は膠(にかわ)をつかうんですね、これがまた乾かないので時間かかるんです、ひと晩寝かせないとダメなんです」

――えーっ、膠ですか。もはや伝統工芸じゃないですか。ハードカバーのどのへんにつかってるんですか。

小泉社長「背表紙、背固めですね、なかみの本と、背表紙をくっつけるためにつかってます」

――膠じゃないとだめですか。

小泉社長「だめですねー、膠は乾燥には時間がかかりますが、接着力は強いんですよ、上製のしっかりしたつくりの本はやっぱり膠じゃないとだめですね」

裁断と折機で折丁をつくる

――もちろん、ぼくもふくめてですが、本ってどうやってできているのか、いがいとみんな知らないとおもうんです。

小泉社長「はい、ではまず、裁断のところに行ってみてみましょう」

ということで、まず案内されたのが、印刷所から送られてきた印刷済みの紙を裁断する機械。
裁断機
裁断機
印刷所から送られてきた大量の紙は、この裁断機でトンボ(裁ち切り目安になる線)にそってグサっと余分なところを切られる。
余分なところ。貧乏性なので、なにかに使えないかかんがえてしまう
余分なところ。貧乏性なので、なにかに使えないかかんがえてしまう
10センチはあろう紙の束を、ものの1秒ほどでグサっと切ってしまう裁断機。そして、切られたものがこちら。
こういう状態のものを「刷り本」とよぶ
こういう状態のものを「刷り本」とよぶ
上の写真に写っているものは、裏表あわせて64のページの本文が印刷された刷り本だ。この刷り本を、こんどはページがうまい順番にならぶよう、折機という機械で折っていく。
これまたものすごいスピードで刷り本を折っていく
これまたものすごいスピードで刷り本を折っていく
本のページ数は、16ページが基本で、16ページで「1折の折丁」という。上の64ページの刷り本は、折ると、折丁4折分ということになる。このように、本のページ数は、基本的に16の倍数プラス2ページか4ページか8ページになっているものがおおい。

「乱丁」「落丁」とはなんなのか

折丁になった刷り本は袋状になっており、まだめくって読むことはできないが、つづいて「丁合い」という工程にすすむ。
これまたものすごいスピードの流れ作業で折丁を自動的にかさねる
これまたものすごいスピードの流れ作業で折丁を自動的にかさねる
丁合いとは、16ページ分の折丁を、ページの順番ごとにかさねていく作業のことだ。この機械を丁合機という。新聞販売所なんかによく、折込チラシを差し込む機械があるが、それの規模のでかいやつだ。

丁合機で一冊分に丁合いされたのがこちら。
一冊分になったが、紙を折っただけなので、つながっていて開くことはできない
一冊分になったが、紙を折っただけなので、つながっていて開くことはできない
だんだん本の形に近づいてきた。

折丁の順番が間違っていたら、ページの順番がおかしくなる。そういうものを「乱丁」という。そして折丁が抜け落ちて足りない場合は「落丁」という。「乱丁・落丁の場合はお取替えいたします」というやつは、この工程で不具合が発生していることになる。

むかし、古本屋で途中から一折分、文章がすべて逆さまになっている新書を買ってしまったことがあった。
ただ、その本は錯視と脳の認知について書かれていた本だったため、そういう趣向なのかしら。とおもってしばらくがんばって読んだけれど、ページ数が飛んでいたので、ただの不良品だった。
おそらく、丁合いの工程で、折丁がひとつだけ逆さまにはいってしまったのだろう。

ちなみに、ページの端っこが内側に折れ込んだまま断ち切られて製本されているものにあたることがたまにある。それは「福耳」と呼ばれ、ひとによっては「得した」とおもうひともいる。ぼくだが。
福耳の例
福耳の例
この「福耳」は、折機の工程で発生し、乱丁、落丁とちがって、1枚ごとに発生するため、不良品の発見が極めてむつかしいので、乱丁、落丁よりもよくみかける。

折丁の背にある黒い印は「背丁」といい、折丁ごとに順番にずれていくようつけられていて、途中で順番が間違っていた場合はすぐに分かるようになっている。ページが多いと、いったん下までいったらこんどは上がるようにつけられる
折丁の背にある黒い印は「背丁」といい、折丁ごとに順番にずれていくようつけられていて、途中で順番が間違っていた場合はすぐに分かるようになっている。ページが多いと、いったん下までいったらこんどは上がるようにつけられる
ぼくの本がどんどんできあがっていく、これはやばい
ぼくの本がどんどんできあがっていく、これはやばい
背表紙と本を接着剤でくっつける工程
背表紙と本を接着剤でくっつける工程
ホットメルト接着剤、この粒状の接着剤を高温で溶かしてくっつける
ホットメルト接着剤、この粒状の接着剤を高温で溶かしてくっつける
背表紙くっつける「ホットメルト接着剤」は、つまりホットボンドである。
表紙がついた、あともうひといきだ
表紙がついた、あともうひといきだ
ホットボンドでくっつけ終わった折丁は、トンボにそって外側を裁ち切る。
グッサリと断ち切る機械
グッサリと断ち切る機械
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断ち切られたものは、もう、本としてよめるので、この段階ですでに書籍としては完成といえる。しかし、商品としてはまだあと一息ある。

こちらの機械で、スリップ、カバー、帯を入れたり巻き付けたりして、書店に並べるための商品に仕上げていく。
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できたー
できたー
ついに、取材と編集に8年をかけた本が完成した。じっさいに本にする工程は、あっという間で、ほんとうにあっけない。

まだ新品でピカピカの本をながめてみる。
綺麗すぎてもうしわけない
綺麗すぎてもうしわけない
まだボンドの熱がほんのりあったかい。名実ともにできたてホヤホヤである。

帯のぼくのしかめっ面が、これから何千冊と印刷され、日本全国の書店に並ぶと思うと、たいへんもうしわけない。たいへんもうしわけないけれど、みなさまにひろくよんでいただきたい。とくにインターネットをあまり見ない方々にもぜひともよんでいただきたい。

もう、祈るしかない。売れてくれー。

最後までみとどけた

小泉製本のみなさんが、ぼくのことを「先生」と呼ぶので、返答に困ってしまい、最初の二三回は「いやそんなよしてください」とか「いやいや先生じゃないですよ」と言っていたが、いちいち訂正するのがめんどくさくなって「はい」と受け入れてしまった。

いまや、インターネットでバズったというだけで本が出版できてしまう時代。だれだって先生になる可能性がある。

ただ、そんなにわか先生よりも緻密で正確なしごとをしている印刷所、製本所の人々にはほんとうに頭がさがる。
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